アイツは会社に電話をしていた。
「あの~お宅の会社では、母親が具合悪いのに本人を休ませないのですか?!」と半ばキレ気味に…。
会社はなんといったのかはわからない。
が、なにか話してから電話が切れた。
「ほら、大丈夫じゃないの!」
と…。
私は、会社の人たちに申し訳がなかった。
急に仕事を休まれると困るのに…。
まして自分のことではない。
死にそうなわけでもない。
ただ、私をコキ使いたいだけのために…。
それから度々、勝手に会社に電話をしては、私を休ませるようになった。
さすがに、上司から呼び出された。
ここもクビだな…と感じていた。
親のことも散々言われた。
私は、どうすることもできなかった。
何も会社は悪くない。
楽しかった。
唯一、私の頑張りを認めてくれた会社だった。
パートだけど、それでも周りのみんなが親切で楽しかった。
上司の話を聞きながら、私はもう辞めなければいけない気がしていた。
迷惑だからだ。
色々してもらったのに、母親の電話のせいで何回シフト変更したり、人数を揃えたり、変更があっただろうか…。
今はどうかは知らないけれど、昔はサービスカウンターはめちゃくちゃ忙しかった。
店の中では「安室奈美恵」の曲が流れていた。
同い年なのに…こんなにも人生が違うのか、ふと思った記憶がある。
その中でも、そのスーパーの中でも専務という人が、私のことをすごくかばってくれていた。
「今仕事辞めても他にいくところはないだろ?頑張ってきたんだし、もう少し頑張ろう!」
と励ましてくれた。
その専務は、母親のことも知っていながら、他の従業員さんから私をかばってくれていた。
私は、改めて頑張ろう!と思った。
なるべく期待に添えるように
そうして、半年が過ぎた。
専務の他に、女性の性格のきつい人がいた。
その女性は私をよく思っていなかった。
それも仕方がない、と思っていた。
けれど、その女性にとうとう、私は
「クビ」
を言い渡された…。
どうやら、母親が会社に、また
「前借」を頼みに電話したらしい。
そのスーパーは今でも大手のスーパーだ。
前借など到底できるわけがない。
とうとう会社を怒らせてしまったのだ…。
私はクビになったことを母親に言うと
「あんな会社、クビになってよかったわ!」
と言った。
私はもう、どうしたらいいのかわからなくなった。
仕事をすれば辞めさせられる、仕事をしなければ、お金がないと機嫌が悪くなり暴力を振るう。
途方にくれている時に、秋おばさんから今度はラーメン屋さんのバイトの話が舞い込んできた。
時間は11時~15時、休憩して17時から23時までだった。
私はラッキーだと思った。
家にいる時間が少なくて済む!
そして、そのラーメン屋さんは秋おばさんの親戚だという、これはアイツは下手なことはできないぞ!
と、思いそのラーメン屋さんに面接にいった。
とても気さくないい店主だった。
そのラーメン屋さんは夫婦でやっていて、とても繫盛している店だった。
私は接客と洗い物をすることになった。
「明日からおいでよ!」
と言ってくれたので、私は「はい!お願いします!」
と言って店をでた。
そして、ラーメン屋さんのバイトを始めた。