ドイツ語暗号解読 癖字のW、悲劇の予感④

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コラム
この手紙の書き手の癖字の困ったところは、Wの書き方がいちいち違うところなんですね。住所のWと、文の中に入っているWでもいちいち癖が違ってるんです。

カバー画像をご覧ください。
Doみたいに見えちゃう文字と、続け文字のLoに見える文字、二つありますよね。
・・・どっちもWなんでーす!!

ふっざけんなぁ!!と叫びたくなる癖字ですよね~。書き順違ってんじゃねーかよ!なんでもアリかい、お前さん方はよぅ!!

それで、私は、この人の書いたWをDと読み違えていたり、別の文字を当ててみたりと、いろいろと勘違いをしてしまっていたのです。
だが、文法的にも意味的にも、これはWと解釈する方が妥当。

さらに、この人、長い単語を書く時に、途中でスキマ開けるんですよ!!
やーめーてー!!
それ、やーめーてー!!

本来、一つの単語なのに、そのスキマのせいで二つの単語である、と解釈して進めてしまうことになるので、かなりのズレ、勘違いを誘発してしまうのです。
一つの単語なのに、妙なところでスキマを開けられたら、意味不明になる。

例えばです。
けいざ いさん ぎょうしょう
と書かれたら、さすがのエリート、経済産業省のお役人さんだって読み違いするでしょう・・・。

パパのスキマを開けて書く癖は、解読の妨げにしかならないのです。
例えば、この文字。
s12.JPG


私は、これをDr.admiralと読み違えていた。
ドクター・アドミラル・・・病院の偉い先生、提督・海軍大将というあだ名のドクターがいたのかなって。
ここが壮大な勘違いの旅の出発点だった。

今回は、この勘違いの旅から無事に生還することができましたが、ほんと、運がよかったとしか言いようがない。

ドイツ語は、名詞の場合、一番最初の文字が大文字になるという決まりがあります。文の途中に名詞が入っても、かまわず大文字になります。
例えば、テキトーなドイツ語の文を書いてみましょう。

Ich habe diesmal viele große Fehler in dem Text gemacht.
このように、文の途中の名詞を大文字で書くので、どこに名詞があるのかすぐに分かります。

「A」の書き方に癖があって、小文字みたいに書いちゃう人もいるかもだしーと自分勝手に考えてしまっていましたが、このポストカードの最後の方に
Adresse(住所)という単語があり、ここでははっきりと大文字のAが見えます。ということは、アドミラルのAがaになるはずがない。このaと見える文字は別の文字である。

ドクター・アドミラルなんてこの世に存在しなかったということになるのです!!
あぁ、これに気づいたときは恥ずかしさのあまり、夜中でしたが、一人で頭抱えてジタバタしちゃいましたよ!!
「誰、ねぇ、誰?ドクター・アドミラルって!!私、バカでしょ!!」
真夜中に女が吠えるのは、こんな理由でもあるのです(笑)
まぁ、ロマンス詐欺でドクター・アドミラルに大金振り込むよりはショックは少ないのだが。

ドクター・アドミラル・・・このアイデアを放棄しなければいけないと分かった時の私のショックを、お分かりいただけるでしょうか。
私の中ですでにドクター・アドミラルが、リアルにイメージ出来上がってしまっていたため・・・お別れするのがつらかった、ポロリ。
白髪でー、大柄でー、大胆でー、快活な人物だけど、過去に悲しい経験があり、どこか哀愁を感じさせる。アドミラルってだけあってちょっと船長さんみたいな白髭の・・・・。
ごめん、もういい・・・。ぐすぐす。

この手紙の書き手は、一つの単語の間に妙なスキマを入れる癖がある・・・これを踏まえて、ちょっと変だなと感じている部分、無理に納得させて、つじつま合わせしちゃっている部分をもう一度まっさらな状態に戻して、考え直してみました。

二つの単語だと思ってしまっている部分を、一つの単語として見てみたらどうだろうか、と発想の転換をしてみたのです。

このDr.admiralドクター・アドミラルの部分・・・Departmentじゃないか?ひょっとして?
と気づいた時、真実への扉が開かれたのです。
そして無事に勘違いの旅から引き返すことができたのでした。

これをきっかけに急展開で解読が進むお話は、次回☆
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