三為業者のメリット(2)

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法律・税務・士業全般
こんにちは、不動産契約アドバイザーの長岡です。

10/22、10/25に掲載のブログの続きとなります。

今回は、業者Bが三為契約を行うメリット(2)について解説いたします。

【(2) 業者BがCさんから不動産を購入する場合(仕入れをする場合)の登記費用と不動産取得税が不要となる。】の解説ブログとなります。


一般的に、不動産売買に伴い、買主は、下記の登記を行う必要があります。

(買主には、下記の登記費用が掛かります。)

①売主から買主への所有権移転登記

②抵当権設定登記(買主が銀行から融資を受けて不動産を購入する場合)

※これまでの事例のとおり、業者BとCさんの売買金額2,500万円(Bの借入金額2,500万円)を前提に解説いたします。

ア)所有権移転登記費用について

所有権移転登記には、登録免許税と登記の申請を依頼する司法書士への報酬が掛かります。

所有権移転登記の登録免許税は、固定資産評価額というものを基に算出します。

(固定資産評価額とは、市区町村が算出する税務上の評価額のことをいい、不動産に関する税金の根拠となる価格となります。)

本物件が存する市区町村において、本件建物の固定資産評価額=700万円、本件土地の固定資産評価額=800万円だった場合、

建物の登録免許税=2%、土地の登録免許税=1.5%のため、

建物分(700万円×2%)+土地分(800万円×1.5%)=26万円が本物件の所有権移転登記に掛かる登録免許税となります。

イ)抵当権設定登記について

抵当権設定登記にも、登録免許税と司法書士への報酬が掛かります。

抵当権設定登記の登録免許税=抵当権設定額(借入金額)の0.4%のため、

抵当権設定額(借入金額)2,500万円×0.4%=10万円となります。

ウ)司法書士報酬について

司法書士報酬は、依頼する司法書士事務所によって変動しますが、

本物件規模の売買の場合は、5~10万円程度が相場(所有権移転登記と抵当権設定登記の合計報酬額の相場)となりますので、

本件では、7万円とします。

上記ア)+イ)+ウ)により、本物件の登記費用=43万円となります。

エ)不動産取得税について

不動産取得税についても、先程の固定資産評価額に基づいて算出します。

※不動産取得税に関する細かい説明は省かせていただきますが、本物件=居住用の分譲マンション(中古)を前提に進めてさせていただきます。

建物分の取得税=固定資産評価額の3%、土地分の取得税=固定資産評価額の1.5%となりますので、

建物分(700万円×3%)+土地分(800万円×1.5%)=33万円が本物件の不動産取得税となります。

よって、上記のア)+イ)+ウ)+エ)により、本来であれば、業者Bには、登記費用と不動産取得税として合計76万円が掛かるのですが、

三為契約により、業者B自身に本物件に関する登記を行う必要がなくなるため、この費用が不要となります。

※CさんからAさんに所有権移転登記を行うため、業者Bに登記費用と不動産取得税が掛かりません。

また、Aさんから受領する3,000万円から、Cさんに2,500万円を支払うため、業者Bは融資を受ける必要がなく(資金調達の必要がなく)、融資を受けないのであれば、銀行の抵当権設定登記も不要となります。

なお、前回(10/25のブログ)の融資諸費用67.5万円も含めますと、136.5万円の取得費用削減となります。

本来であれば、

販売価格3,000万円(業者BがAさんに売却した価格)から仕入価格2,500万円(業者BがCさんから購入した価格)の差益500万円から、

上記136.5万円を控除した363.5万円が業者Bの利益(粗利)となりますが、

三為契約により、差益500万円のほとんどが利益(粗利)となるのです。

以上、業者Bが三為契約を行うメリット(2)についてでしたが、次回は、メリット(3)について、解説いたします。

賃貸・売買問わず、不動産の契約については、ぜひ、不動産契約実務の専門家へご相談くださいませ。






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