三為業者のメリット(3)

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法律・税務・士業全般
こんばんは、不動産契約アドバイザーの長岡です。

10/22、10/25、11/2に掲載のブログの続きとなります。

今回は、業者Bが三為契約を行うメリット(3)について解説いたします。

【(3)仲介業者として売買を進めるよりも(AさんとCさんから仲介手数料を貰う取引よりも)、業者Bの利益が上がる(場合もある。)。】

の解説ブログとなります。


Cさん所有の物件相場が3,000万円だった場合、

Cさんにとっては、業者Bに仲介手数料105.6万円を払って、売買金額3,000万円で購入してくれる人を探してもらうのがセオリーとなります。

※売買金額が400万円を超える場合の仲介手数料計算式は、

売買金額×3%+6万円(+消費税)となりますので、

本件では、105.6万円が仲介手数料となります。

そして、業者Bの仲介により、売主Cさんと買主Aさんで売買が決まった場合、

業者Bの利益(粗利)は105.6万円×2人分=211.2万円となります。

しかし、①早急に資金が欲しい、②新居購入のため早急に売却したい、③面倒な手続きを省きたい等の理由により、Cさんには、相場よりも低い金額で売却せざるを得ない場合もあります。

(3,000万円が相場だとしても、不動産業者としては、

「〇月〇日までに、必ず3,000万円で購入してくれる人をお探しします!」とは断言できません。)

その場合、本件のように、業者Bが買主として2,500万円でCさんから物件を仕入れ、業者Bが売主としてAさんに3,000万円で販売できれば(三為契約で販売できれば)、

AB間の売買金額3,000万円-BC間の売買金額2,500万円=500万円が業者Bの粗利となり、

仲介として売買を進めるよりも(2人分の仲介手数料211.2万円よりも)、業者Bの利益率が上がるということになります。

以上により、同じ物件の売買だとしても、不動産業者の販売方法によっては、利益率が上がる場合もあるのです。

なお、不動産業者が売主の場合にのみ使える『提携ローン』というものがあります。

(一般的には、不動産業者が売主の場合のみ提携ローンの利用が可能となり、

同じ物件だとしても、一般の法人・個人が売主で仲介業者として不動産業者が介入する場合は提携ローンの利用はできません。

提携ローンの利用により、業者Bは、仲介業者として販売するよりも、売主として販売した方が、

買主に有利な融資条件(借入額、金利等で有利な条件)でローンの提案ができる場合もあります。

また、銀行によっては、提携ローンの場合のみ融資可能な物件も存在する(場合もある)ため、

業者Bにとって、販売先のターゲットが広がります(場合もあります。)。

ここからは余談となりますが、

三為契約により、上記提携ローンの利用以外にも、買主Aさんには、売主に対する契約不適合の責任追及期間が長くなるというメリットがあります。

一般の個人が売主の場合(本件のように売主がCさんの場合)、契約不適合の責任期間=引渡しから3ヶ月間(目安)となりますが、

不動産業者が売主の場合(本件のように売主が業者Bの場合)は、引渡しから2年間となります。

契約不適合=購入した物件に不具合があった場合に、買主が売主に修繕を請求できる等の権利となるため、

契約不適合責任期間が長い方が、買主のメリット(リスク管理)となります。

(ただし、「期間内の不具合であれば、何でも修繕します!」というほど手厚い保証とも言えないため、

「期間が長いから安心」と断言できるわけではありませんが、

三為契約=業者Bが売主による買主Aさんのメリットの1つとは言えます。)

なお、契約不適合責任という点では、売主Cさんにもメリットがあります。

一般の個人が買主の場合(本件のようにAさんが買主の場合)、「契約不適合責任を負わない」という契約は難しくなりますが、

(「売主の契約不適合責任無」と言われたら、一般の人であれば、買うのを躊躇するはずです。)

プロである不動産業者が買主であれば(本件のように業者Bが買主であれば、)、「契約不適合責任を負わない」という契約が容易となるメリットはあります。

一般的に、中古物件の売買であれば、買主が不動産業者の場合、売主の契約不適合免責(売主が契約不適合を負わない)となる場合が多いです。

以上、業者Bが三為契約を行うメリット(3)についてでしたが、次回は、メリット(4)について、解説いたします。

賃貸・売買問わず、不動産の契約については、ぜひ、不動産契約実務の専門家へご相談くださいませ。



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