呼吸によるエネルギー代謝【ATP】

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こんにちは、ショウです。僕のブログを読みに来て頂いてありがとうございます。

今回は【エネルギー】の話です。これは量子力学的な目に見える見えないというような話ではなく、絶対に目に見えないものです。だけど、間違いなく存在しているものです。ちょっと深く話していくことにします。

○ATP

人は食糧からカロリーを摂取します。カロリーとは「エネルギー」の単位であり1リットルの水の温度を1℃上げるために必要なエネルギーを1kcalということにしています。

ちなみに、エネルギーといっても目には見えないし形にもなっていないですよね?エネルギーを見たことがある方いますか?今回は量子力学のような話はしません。

なので99%以上の人が「エネルギー」というものをみたことがないはずです。ただ、エネルギーは私たち人間の生きる力であることは間違いないし、人間の体の中ではエネルギーを運んでいたり利用したりしていることは間違いないでしょう。

では、身体の中でエネルギーはどんな形になっているのでしょうか?

●ADP(アデノシン二リン酸)
●ATP(アデノシン三リン酸)
※「P」=リン酸
この2つです。主な役割は「エネルギーの保存」です。

例えば、まずご飯を食べるとしましょうか。

食べた瞬間にエネルギーが生まれるかっていったら生まれないですよね。むしろ、エネルギーを「蓄えている」といったほうが正しいかもです。

その蓄えられていたエネルギーが必要な時に使われるイメージなんです。言い方を変えて説明しましょう。

夫婦でデパートに買い物に行きました。妻はウキウキワクワク状態。でも、夫は妻に半ば強引に付き合わされた状態。いつまで経っても買い物が終わらない妻をみかねて夫はどんどんイライラしてきます。荷物もたくさん持たされている状態。そこで

妻「もう2~3点買っていい?」
夫「無理無理これ以上持てないし。」
妻「何言ってるの!!持ちなさいよ~~!!!」
ってな感じで無理矢理荷物を持たされました。今回の場合は「怒り」でしたが、エネルギーが発生した段階で無理矢理荷物を持たされた夫の状態が【ATP】なんです。

イメージ湧きますでしょうか?

こんな感じで荷物を持たされた夫は家についてその荷物を降ろし「なんで毎回こんなんに付き合わされないといけないんだ!!」と愚痴ります。

このやりとりの中で【エネルギー】がデパートから家までの移動がなされたってことになるんですけど、この説明でイメージ湧きますでしょうか?

さらに言い方を変えると、ADPというリン酸を2個持っている状態からエネルギーを用いて無理矢理リン酸を3個持たせる。このATPを血液などで身体中のエネルギーが欲しいところに運ぶ。

その器官でリン酸がとられたところでエネルギーが発生する。こんな感じです。イメージが湧きにくい場合は、人間の身体の中では【ATP】という形でエネルギーが保存されると思っていてください。

○同化と異化

同化:くっついて(化合して)同じ体になること
異化:離れて(分解して)異なる体になること
※くだけた表現を用いています
●同化
たとえば、おにぎり。
お米1粒1粒がまとまって出来るおにぎり、これをまとめるには、「ぎゅっぎゅっ」っと手で握らないといけないし、大きくなればなるほど大変。海苔が必要な場合だって出てきますよね。つまりはこういうことなんです。

では納得しないと思うので、もう少ししっかり言うとすると、例えば「二酸化炭素」と「水」という独立しているものを「光のエネルギー」を用いて
無理矢理1つの大きなものを作る。

これは「光合成」というものです。これによって「でんぷん」と「酸素」が作られます。このでんぷんのことを【炭水化物】といいます。二酸化炭素と水が同化して作られた物ということ。

化学式:6CO2+12H2O→C6H12O6+6O2+6H2O
●異化
異化は同化の逆って覚えればオッケー。複雑に作られた物質を体内で分解して二酸化炭素や水蒸気(水)を作り出し、日々活動していくためのエネルギーを作り出しています。おにぎりもばらして米1粒ずつになったら海苔、必要ないでしょ?

同化をするとエネルギーがいる。異化をするとエネルギーが出る。

これ覚えておきましょう。これをしなくなったら人間は死んでしまいます。この作業のことを【呼吸】といいます。ここまで説明すれば、呼吸っていうのは「息を吐いたり吸ったりする動作」のことだけではなくエネルギーを産生するために行っていることだっていうのは分かって頂けると思います。

ちなみに、1回まとまったものを再度小さいグループに戻していくのって大変ですよね?実際の世界だと、例えば政治の世界で、一度大きくなった政党が意見の相違や政権交代などで枝分かれするときっていうのは少なからず多少のダメージを受けるというか無傷ではいられないというか。

なので、これがうまくスムーズにいくためには、一度バラバラにしてから小さいグループでまとまりやすくさせるというようにしているんです。

このバラバラにするエネルギーのことを「活性化エネルギー」といいます。
まさにADPとATPがこんな感じ。

ここ、ちょっとイメージしにくいのですが、活性化(反応できる)エネルギーが低いとバラバラにしやすいです。

別のもので例えるとなると、例えば目玉焼き。生卵をフライパンで焼くと目玉焼きになりますよね。このとき、生卵を目玉焼きに変化させることができるエネルギーのことを活性化エネルギーと呼ぶと考えるとどうでしょう。

実際身体の中では「酵素」が使われてバラバラにしやすくなっています。この場合も「目玉焼きが作りやすくなる酵素」というものがあるとしたらこの酵素のおかげで活性化エネルギーが低くなる(活性化エネルギーが少なくて済む)ということになります。

炭水化物も同じで、水と炭水化物はなかなか簡単に分離しません。なので、呼吸(異化)をするときにも酵素の力を利用してバラバラにしやすくしています。さらに酸素を使い炭素と結び付けバラバラにしやすくしているのです。だから呼吸で二酸化炭素を吐くんです。

○呼吸によるエネルギー生成

呼吸には大きく分けて2通りあります。

① 酸素を使わない呼吸(嫌気呼吸)
② 酸素を使う呼吸(好気呼吸)
ここは、管理栄養士の試験などでは詳細に勉強しないといけないところなのですが、一般人はそんなに詳しい知識は必要ありません。概要だけ説明します。これから書く程度の知識があれば問題ありません。 炭素(Ⅽ)の数に注目してください。

<解糖系>
ATP1.jpg

細胞の中の細胞質基質で行われます。使われるのは、グルコース(Ⅽ6H12O6)です。これはブドウ糖のことです。

まずはATPが登場してリン酸を渡します。リン酸を渡したATPはADPになります。

1つのグルコースに対して2つのATPが使われるので

2ATP➡2ADP
リン酸を渡されたグルコースは2つに切り離されて、そこに「NAD+」と「脱水素酵素」というものが出てきます。脱水素酵素は水素を抜くもの。これはあとで使われます。

NAD+は逆に水素が好きなので、脱水素酵素で抜かれた水素をNAD+につけたりします。無理矢理水素を抜かれて困っていたら、2つに切り離された炭素のところに、リン酸が1つつきます。(イメージとしてはCの両側にリン酸が2つついた感じ)

ただ、この状態もしんどいということで、ADPを4つ呼び出して両側にあるリン酸を渡します。ということで4ADP➡4ATPになるわけです。

要するに解糖系では最初2ATP使われるけど、結果的に4ATP得られるのでその合計の2ATPが発生するということになります。

なぜ解糖系といわれるかというと、糖であるグルコースを分解してエネルギーを生み出すからです。ちなみに両側にあったPを抜かれたものはピルビン酸(C3H4O3)と呼ばれています。

♦解糖系:グルコースを分解してピルビン酸を作る過程の中でATPが2つ発生する仕組み

<クエン酸回路>
ミトコンドリアの中の【マトリクス】という場所で行われます。解糖系で作られた2つのピルビン酸を脱水素酵素や脱炭酸酵素が働いて水素や炭酸を奪っていきます。

その結果、どうなるかというと炭素の数が2つの活性酢酸(アセチルCoA)になります(C2H4O2)それが、ミトコンドリア内にあったオキサロ酢酸(C4H4O5)とくっついて炭素が6つのクエン酸(C6H8O7)になります。

このあと、色んなものに変化しまして(α-ゲトグルタル酸やコハク酸など)
GDPなどの手助けもあって1ATPを作り出します。この回路でもNAD+やFADなどがいて脱水素酵素が働いて水素をたくさん奪っていったり
脱炭酸酵素にCO2が奪われていきます。ちなみに、呼吸をする際に出るCO2はこれです。

一般的な感覚だと呼吸って酸素を吸って二酸化炭素を吐き出す感じですが
順番は実は逆で、二酸化炭素を吐き出して酸素を吸収しているんです。水素や炭酸が、ちょっとずつ奪われていく結果最終的にオキサロ酢酸になります。

これがずっとぐるぐる回っているからクエン酸回路と呼ばれています。「クエン酸」から始まる回路だからこの名前なんです。ここでは2ATPが作られることになります。ピルビン酸1つで1ATPできて、グルコース1つにつき2つのピルビン酸が出来るから、前からの続きで考えるとグルコース1つでクエン酸回路では2ATPが作られることになります。

<電子伝達系>
ミトコンドリアの内膜で行われます。ここでは解糖系やクエン酸回路の際に脱水素酵素がとってきた水素が使われます。特にクエン酸回路からはめっちゃ水素を取ってきます。

●NAD+
●FAD

これらが水素が大好きなんでここにくっついて

●NADH
●FADH2

になります。
(厳密にいうと少し違うけどこれでいいです。)

内膜は【関所】みたいなイメージで。これはたんぱく質の壁になってます。
そして関所には、関所を守る怖い【番人】がいるイメージで。
さっき書いたNAD+とFADが水素をくっつけてもらってとっても喜んでいます。でも喜びすぎてたんぱく質の壁にドーン!とぶつかっていきます。
何度も何度もぶつかっていった結果、どうなるかというと、番人はキレます。

その結果、くっついていた水素は離されてH+になり電子はそのまま壁を流れていきます。ただ、これで終わればいいんですがキレた結果、H+をつかまえて壁の中に入れてしまいます。
※外膜と内膜の間で「膜間腔」と呼ばれる場所です。

また、それだけじゃなく離れた電子とくっつけてHに戻して酸素につけたりもします。
こんな感じで一件落着・・・・となればいいんだけど、解糖系もクエン酸回路も絶えず動きまわり続けているのでNAD+もFADが水素をつけては喜んでまた暴れ続けます。

そうしてまたたんぱく質の壁にぶつかって番人怒る・・・この繰り返しがずっと続きます。となったらどうなるかというと膜空間内にH+がたくさん詰まるんです。膜空間内のH+は離れ合う性質なのでまた壁を通りこして元に戻ろうとします。

元に戻ろうとするときに通る関所がありますが、そこにはATP合成酵素があるんです。そしてその付近にはADPとリン酸もあって勢いよくH+が通過する際にADPとリン酸がくっついてATPが発生します。

強引な説明なのは重々承知ですが、イメージとしてはこんな感じでいいと思います。ちなみに電子伝達系では1つのグルコースに対し34ATPを作ります。ミトコンドリアこそが身体の中の最大のエネルギー生成工場なのです。ただ、ミトコンドリアでエネルギーを生成するために必要なものがあります。

<解糖系とミトコンドリア系の特徴>
(解糖系)
瞬時に作られ、瞬時にパワーを発揮し、瞬時に消費されます。ミトコンドリア系の100倍のスピードで作られます。瞬発力を必要とされる行動や突発的な危機から身を守るとき、細胞分裂に使われます。

また、エネルギーの生成過程で乳酸が生じるから持続力に欠けます。そして、低体温(深部体温で 32℃)、低酸素という条件下で活発に働きます。

(ミトコンドリア系)
十分な酸素と37℃前後の高い体温(深部体温では37℃~39℃)で活性化し、持久力に必要なエネルギーを作ったりたんぱく質を合成するエネルギーを供給しています。

エネルギー生成速度は遅いですが、生成効率は高くて、1つのグルコースから解糖系の18倍のエネルギーを作り出します。
解糖系エネルギーだけでは、細胞はすぐにエネルギー不足に陥ります。ミトコンドリアがエネルギーを供給して持続力を維持することで、安定した生命活動を営むことができます。



<解糖系優位の身体になるとどうなるのか?>
健康を損なうのは、頑張りすぎたり、ストレス過多になって無理な生き方を続けたとき、エネルギーバランスが解糖系に偏り、様々な病気になりやすいです。

チャート式な説明をすると・・・

仕事で無理重ねる、精神的な悩みを抱え続ける
 ↓
身体は危機を乗り切るために交感神経を緊張させます。
 ↓
血流障害
 ↓
低体温・低酸素状態に。さらに、交感神経が優位なるとアドレナリンやコルチゾールなども分泌されともに血糖上昇作用があるため、血糖値が高くなります。
=≪低体温・低酸素・高血糖≫の状態は、解糖系が最も活性化する環境
=高体温、有酸素で活性化するミトコンドリアにとっては最悪な環境。
エネルギーを作ったり、たんぱく質の合成がうまくいかなくなります。
 ↓
細胞は正常な生命活動を営めなくなります。たんぱく質合成も滞ることで、様々な組織の新陳代謝の低下します。
 ↓
疲労、やつれ、内臓機能の低下
 ↓
身体のピンチなのでさらに解糖系は活性化、細胞分裂を強力に促進、「がん細胞」が生まれます。
 ↓
ミトコンドリア系はどんどん働かなくなり、細胞の分裂抑制遺伝子は機能しなくなっていきます。
 ↓
細胞分裂に歯止めがかからなくなり、がん細胞の増殖は止まらなくなります。ただ、がんは凶悪な病気っていうわけじゃなくて身体が生き残りをかけた結果発症したもの
・・・低体温、低酸素状態の体内は28億年前の地球環境と酷似
働きすぎない、仕事で無理をし続けない、精神的な悩みを抱え続けない
 ↓
副交感神経を優位にしていく
 ↓
血流を回復させて、体温を上げていくそうすればミトコンドリアが酸素をたっぷりと取り込んで元気になります。
 ↓
分裂抑制遺伝子が働き、がん細胞の分裂にブレーキをかけることができます。持久力のエネルギー供給ややたんぱく質の合成も促進され、身体も回復していきます。

(日々の生活で意識していることは)
・身体を温める、冷やさないようにする
・血流をよくする
・深呼吸をする
・ウォーキングなどの有酸素運動を行う
などなど。難しいことではなく、日々の生活習慣に組み込めることです。

○ビタミンB群(特にB1)

今回は、クエン酸回路に入る前の話です。これは解糖系で作られた2つのピルビン酸を脱水素酵素や脱炭酸酵素が働いて水素や炭酸を奪っていき炭素の数が2つの活性酢酸になるんでした。

その際に起こる酵素反応の1つで「酸化的脱炭酸反応」というものがあります。どんな反応かっていうとピルビン酸から二酸化炭素が離れる反応のことです。

もちろん勝手に離れていくわけじゃなくてこれには様々な酵素が関与しているんだけどその際に使われる様々な酵素の総称を「ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体」といいます。
ただ、そのこの酵素を活性化させるためには「チアミンピロリン酸」という
「補酵素」が必要なんです。

僕、沖縄に旅行に行くのがとーっても好きなのですが石垣島とか宮古島とかまた行きたいなって思っています。

で、例えば石垣島から一番近い島があって竹富島という島があります。CDのプロモーションビデオでもよく使われてたりしますね。
ただ、一番近い島だって言ってもまあまあの距離があります。 さぁ、あなたは石垣島から竹富島までどうやって行きますか?

歩いていきますか??泳いでいきますか??

いやいや、【船】を使いますよね。ほとんどの人が船を使うと思います。
この【船】こそが補酵素だって思ってください。船があることによって人の移動を助けていますよね。

この話の例えだと、【人】が酵素で【船】が補酵素です。

酵素の働きを助けるために無くてはならない存在なのが補酵素です。身体の中には酵素単体で働くことができるものももちろんあるのですが、補酵素がないと働くことができない酵素も存在するのです。

そして、酵素はたんぱく質からできていますが、酵素はビタミンやミネラルから出来ています。主に補酵素として働くビタミンが【ビタミンB群】なんです。

ちなみにさっき書いた「チアミンピロリン酸」のチアミンとはビタミンB1のことをいいます。チアミンピロリン酸とはビタミンB1の活性型なんです。ここで整理しますね。今までの説明の逆をしていきます。

チアミンピロリン酸はビタミンB1の活性型。
 ↓
そして、チアミンピロリン酸がないとピルビン酸ゲヒドロゲナーゼ複合体は活性化しない(働かない)。
 ↓
ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体が活性化しないと酸化的脱炭酸反応が起きない。
 ↓
活性酢酸に変換されないからクエン酸回路が回らない。
 ↓
クエン酸回路が回らないってことはエネルギーが作り出されない。

エネルギーを生み出すうえでビタミンB1の役割ってめっちゃでかいんです。嫌気的反応(酸素が十分でないときに起きるエネルギー産生)では乳酸が作られるんですが乳酸って疲れの原因にもなります。
疲れやすい人ってビタミンB1不足の人が多いから、スタミナつけるために
肉食べなさいとかとかビタミンB1の働きを上げるニンニクなどのハーブ系がスタミナ料理とか言われるんです。

(ビタミンB1が多く含まれているものは)
・豚肉
・うなぎ
・玄米
・大豆
などなどです。
これらの食品ちゃんと食べていますか??



ということで、今回は呼吸によるエネルギー代謝の話で、主に「糖質代謝」ならびにビタミンB群(補酵素)の話などをしました。難しい内容だったかもしれませんが、読んで頂けると嬉しいです。

今回の投稿は以上となります。
ここまで読んで頂きありがとうございます^^


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