気楽に読んでください、呼吸のおはなし ~その39~

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昨日は仙骨という骨に焦点を当ててみました。
人間の骨格で唯一の上半身と下半身の接合部分がこの仙骨です。
佇まいに何となく力強さが感じられない時、この骨を刺激してあげると本来の活力を取り戻すきっかけにもなる、要の役割を持った骨なんです。
膝の力をほんの少し緩めて立ってもらうと、その人の仙骨が利いてるかどうかよく分かります。
仙骨がしっかりと利いている人は、そのまま深く膝を曲げ続けてもらうと、すんなりしゃがめます。相撲の蹲踞や立ち合いのような姿勢にスムーズに移行出来ますが、利いてない人は、ブリッジでもするかのように、仙骨が前方へ流れてしまいますから、下半身の安定感が希薄なのがよく見て取れるのです。
カラオケのリモコンで後輩をどついた横綱がいましたが、あの方は、相撲の上位陣では珍しく、仙骨が利いて無く見える方でした。
それでその大事な仙骨ですが、更に、腸骨というでっかい骨、皆さんが骨盤をイメージする際に最も目立って印象深い骨であるその腸骨に、両サイドから挟まれていることがもう一つの重要なポイントとなります。
仙骨と腸骨の接合部は地味ながら関節になっており、人によって大小の差はありますが、動きます。
各種運動において、この関節の小さいながらも滑らかな稼働が重要であると同時に、呼吸の豊かさにおいてもかなりの影響を及ぼします。
昨日の仙骨に触れるワークで動きが活発に感じられた人は、この仙腸関節が柔軟で可動範囲も大きいのかも知れません。
丹田を情報や知識としてでは無く、自信の身体内部の感覚としてリアルに感じるには、この、仙骨や仙腸関節への馴染みや目覚めが欠かせません。
でもここからは、拍子抜けする位の簡単な作業から入って行けます。
椅子に座って、骨盤を前後から挟むように両手をあてます。
片方の手は、掌でお腹のなるべく下の位置、太ももの付け根に手や手首が当たってもうそれ以上は下へ降ろせない、そんな位置でお腹に手を置きます。
そしてもう片方の手は、甲を使って仙骨に当てがいます。
何故後ろ側は手の甲を使うのかと言いますと、本当はこちらも掌が良いのですが、腕の構造上、肩や手首が捻じれて長くやっていると疲れますので、それで譲歩案として甲側を使います。
前後に置いた両手は、ただじっと、骨盤にある呼吸の動きを感じています。
そして、手を置いてもらっているお腹・骨盤の方は、その手から伝わって浸透して来る温かさをじっと味わっています。
骨盤の前側も後ろ側も、それぞれの個性で吸気時には外へ広がる様子を表し、呼気時には中心に向けて収縮傾向を示すでしょう。
両手の間にある空間の、ちょうど真ん中辺りの感覚が段々と認識出来るようになって来て、その頃はもしかすると、骨盤の表面で感じていた手の温かさも、骨盤内部も内部、かなり中心の部分へと伝わっているかも知れません。
まあ、皆が皆、そんなに具体的な感覚を得られなくても心配無いのですが。
ある程度時間が経過したら両手を離しますが、ここから不思議な現象が起きます。
両手を離した後の方が、骨盤中心部の温かさが具体化し、骨盤内部に球状のエリアが感じられるようになっています。
人によって感じるサイズや温感も色々でしょうし、同じ人でもやる度に微妙に変わることもあるでしょうが、このようにするだけで、骨盤内部の中心に、筋肉でも骨でもない、エネルギーの拠り所を見出すことが叶います。
このような作業を数人で行うと、瞑想する予定をしてなくても皆が瞑想状態に入ってしまいます、不思議なことに。
説明役としては寂しいので話し掛けたくなるのですが、皆が余りにも深く内面に没入しているので軽々しく声も掛けられない、そんな場の雰囲気となるのです。
ここで見出した感覚を丹田と呼ぶのかどうか、それは自由なのでしょうが、この世界観に入ったなら、呼び名なんてどうでもよくなります、本当に。
そして、骨盤以外の全身全てにも、色んなポジティブな反応が起きていることにも気付けます。
頭の天辺から足の裏まで、そのポジティブを幾つも見付けている内に、何分何十分と経過してしまってることもよくあります。
この作業でもいつも言いますように、雑念があろうが無かろうが気にしないで頂きたいのですが、経験上、ここまで来るとあんまり雑念がどうとかこうとか皆言わなくなりますね、不思議なことに。

つづく
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