心不全の概要を
文献的知見を紹介しながら
解説します.
疫学
HFpEFの概要と血行動体
HFrEF
心不全の症状と重要所見
運動療法(少しだけ)
総引用論文数は16個です.!!!
それでは
はじめていきます.
’’心不全パンデミック’’
という言葉を聞いたことは
ありますか?
まずは
このグラフを見てください.
引用;articles.Vol 380 December 15/22/29, 2012
世界の21地域における疫学調査です.
高齢になるにつれて
心疾患(黄緑の面積)が
激増していることに気づきます.
さらに,
日本におけるデータをお示しします.
引用:European Journal of Heart Failure2015 European Society of Cardiology
2030年には
65歳以上の高齢者のうち
心不全の有病率は
31.6%となることが予想されます.
みなさんが
病院や施設で対応するのは
ほとんどが高齢者だと思いますが
そのうち3人に1人は
心不全に既往があるということです.
よく
「急性心不全」 「慢性心不全」
って聞きますよね?
この違いは?
何を基準に分けるのか?
実際のところ
はっきり分けることができません.
というより,分ける意義が乏しいです.
急性・慢性心不全診療ガイドライン2017においても
「明らかな症状や兆候が出る以前からの早期治療介入の有用性が確認されている現在では,この 急性・慢性の分類の重要性は薄れている」
と記載されております.
しかし,
心不全の症状や原因は多種多様です.
心不全を区分する必要があるとすれば...
ますは,ステージ段階
引用:急性・慢性心不全診療ガイドライン2017
ステージA
高血圧や糖尿病などの危険因子はあるが
弁膜症や心臓の壁運動異常などは無し.
症状も無し
ステージB
症状はないものの,弁膜症や壁運動異常などの
心臓自体の異常がある.
ステージC
息切れや浮腫,食欲低下などの症状がある
ステージD
薬物治療などに反応しない末期の心不全
特に注目すべき点はココ!!!
増悪と寛解を繰り返すことです!!
なので
一度心不全になったことがある人は
生涯,発症に注意しながら
生活する必要があります.
また,周りの人が
心不全の症状や徴候を知っておく必要があるのです.
次に分類するなら
左室駆出率(LVEF)による分類
上記の4つに分類されます.
HFpEFとHFrHFについて
文献的知見を紹介していきたいと思います.
まずHFpEFとHFrEFの有病率とは?
引用:JACC Vol. 50, No. 8, 2007 August 21, 2007:768–77
EFごとに心不全の割合を調査した研究では
やや50%以下の発症が多いように見えます.
つまり,EFが低下していた方が
心不全リスクは高いと言えるでしょう
しかし,論文や他の学会では
EFpEFとEFrEFの有病率は
同等であると
結論づけているのももあります.
しかも...
引用:Owan TE.et al.N Engl Med 355:251-259,2006.
HFpEF患者は増加傾向です.
HFrEF患者は減少傾向なのに対して
HFpEF患者は増加しているのです.
HEpEFとHFrEFは
どっちが危険なのでしょうか?