【もしものび太に道具をせがまれたら】

記事
コラム
 人は、相手が悩みや問題を抱えている時、
 問題解決を目的として相手に自分自身の
 考えや気持ちを伝えがちになる。例えば、
 朝、子供が「学校に行きたくない!」と
 泣いているとする。その時子供にどんな
 言葉をかけるだろうか?「ダメ。学校に
 行きなさい」「行かないと取り残されて
 しまうよ」「何かあったの?」、その他、
 選択肢はいくつもあると思うが、たとえ
 相手のために言っている言葉の中にでも、
 必ず自分の主観が入っているものなので、
 相手がそれを察知すると、自分が相手と
 話をすること自体、自分が傷つくことに
 なってしまう、というケースが有り得る。
 ここには、「コミュニケーションを阻む
 12の障害」が介在していると言えよう。
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 ではここで、のび太が「またジャイアン
 にいじめられた。何か(道具を)出して」
 と言ってきた場合のドラえもんのどんな
 対応が「コミュニケーションを阻む12
 の障害」にあたるのかを考えるとしよう。
 ①命令・指示(~しなさい、何かをする
  (しない)ように指示する)
  ●「一人でできない喧嘩ならするな!」
 ②注意・脅迫(あることをすればどんな
  結果になるのかを言う) 
  ●「やり返したらまたやられるよ」
 ③訓戒・説教(何をすべきなのか、何を
  しなければならないのかを言う。 
  ●「少しは自分で考えろよ」
 ④忠告・提案(どのようにすれば問題を
  解決できるか助言や提案を与える)
  ●「先生に相談してみたら?」
 ⑤講義(事実・情報・論理・自分自身の
  意見等で相手の判断に影響を与える)
  ●「子供はそうやって成長するもんだ」
 ⑥批判・非難(相手の判断に否定的判断
  や評価を下す)
  ●「そんな暇があるなら勉強しろよ」
 ⑦賞賛・同意(相手の判断に肯定的判断
  や評価を下す)
  ●「今の君にピッタリの道具を貸そう」
 ⑧侮辱(存在価値をディスカウントする
  ような評価をする)
  ●「すぐボクに頼るなんて甘ったれだ」
 ⑨分析・判断(相手の判断に対し、相手
  自身の動機は何かを解説する。或いは
  何故相手がそんな言動をするのか原因
  を分析する。相手の気持ちが分かって
  いること、相手の診断を済ませたこと
  を伝える)
  ●「自信がなくて道具に頼るんだろ?」
 ⑩激励・同情(相手の気持ちを良くなる
  ようにする、今現在の気持ちから脱却
  させようとする)
  ●「しずちゃんも可哀想って言ってる」
 ⑪質問・尋問(原因・動機・理由を把握
  しようとする、問題を解決するために
  役に立つ情報を相手から得ようとする)
  ●「ジャイアンと仲良くできないの?」
 ⑫誤魔化し・中止(問題から相手の気を
  逸らそうとする、相手の注意を他方向
  に逸らす、冗談に紛らす、自分自身の
  問題から逃げる)
  ●「落ち着いて、どら焼き食べようよ」
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 ここで、ドラえもんは、のび太に自分の
 考えや気持ちを伝えている。一見それは
 彼のためを思ってのように見えるのだが、
 実は、それは相手の問題を聴いて自分の
 心の中に起こった不安や心配等から早く
 抜け出したいためだと言われ、それでは
 相手がコミュニケーションを要求しなく
 なり、結果、内面的に変化がし難くなる。
 これが「コミュニケーションを阻む12
 の障害」であり、この場合に、のび太は、
 気持ちを分かってほしい・考え方を理解
 してほしい・思いやってほしい・優しく
 接してほしい、という、「4つの第一次
 欲求」を受け止めてもらえず、理解して
 もらうどころか、反対に理解させられる
 ことになる上、あなたは重要ではない・
 あなたは信頼できない・あなたは価値が
 ない、という「3つの隠れたメッセージ」
 まで送られる。この時のドラえもんには、
 重要度・信頼度・価値において自分が上、
 だという意識があり、それを相手の心の
 奥底(潜在意識)に届けているのである。
 ただ、相手との間にラポール(信頼関係)
 があれば、「コミュニケーションを阻む
 12の障害」に相当する関わりをしても
 問題とならない、とされている。毎週の
 ように同様のやり取りを繰り返しながら、
 両者がうまくいっているのはこのためだ。
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 「コミュニケーションを阻む12の障害」
 を学んで以来、私は、別れた妻との間に
 これが如何に数多く介在していたのかと
 つくづく考え、もっと早くカウンセラー
 になっていれば、それ以前にもっと早く
 久木弥九蔵になっていれば、と思わずに
 いられない。もっと言えば、四半世紀前
 の自分に自己肯定感さえあれば、とまで
 思っているのだが、その話はまたいずれ。
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 御閲覧、心より感謝申し上げます。
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