親の子供時代の経験と子育てストレスの関係

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コラム
「子供を受容できないのは、親も子ども時代に受け入れられなかったからですか?」とご質問いただきました。考えてみたいと思います。

2016年にCanadian Journal of Behavioral Scienceという学術誌に掲載された記事で幼少期の逆境経験と貧困と子育てストレスの関係が載っていたので参照してみます。(1)
▼子供時代と「親としての自己概念」の関係
この研究は、ボウルビィが提唱した愛着理論に基づいています。ボウルビィの愛着理論では「幼児期の経験、特に親子関係が、親として自分の子供に与える影響」について示されています。
「親ってこういうものだ」という概念が子供の時に作られるということですね。
厳しく叱りつけられた子供は、親になった時厳しく叱りつけて育てる傾向があるようです。
また逆境を経験した子供(虐待やネグレクトや体罰など)は子育て戦略として体罰を使用したり、幼児に対して関心が薄くなるようです。
もちろん、みんながそうではないと思います。
「自分は厳しく育てられたから、子供には優しく育てよう」と心がける親さんもいると思います。
ただ、児童期の逆境経験の研究(ACE)によると、そういう傾向ありますよーということなのでご承知おきください。
▼逆境経験は子育てストレスと関係する
この研究では逆境経験は子育てストレスにつながる可能性があるっぽいです。
また経済状況と逆境経験と子育てストレスについても調べられていて、簡単にまとめると
・経済的に厳しいと、子育てのストレスを大きくする
・経済的に豊かでも、児童期の逆境経験は子育てのストレスにつながる
ストレスフルな状況の中で周りに優しくできる余裕が持てるかといったら、なかなか難しいような気がしますね。人間って慢性的なストレスに対応できるように作られてないから、子育てにストレスを抱えるってなかなかキツそうです。親にとっても子供にとっても。
▼でもみんながみんな子育てストレスを感じてるわけじゃないよ!
研究者がいうには
「経済的な状況を幅広くみても、逆境を経験した全ての大人が子育てに大きなストレスを感じているわけではない」
とのこと。
今回の研究では、親の性格や気質、子供の個々の特性などは考慮していません。また、不安や自己効力感や社会的な影響力(差別意識みたいなやつ)も考えていないので、まだまだ検討が必要って感じです。ただ、子供時代に逆境を経験していることは子育てストレスの要因になるようなので、親にサポートが必要かどうかの指標にするのは良いかもね!っていうお話でした。
ストレス解消の方法はいろいろありますし、子供を受容する態度や関わり方は学ぶことができると思いますが、家庭の状況やソーシャルサポートを受けられない場合だとなかなかしんどいのかもしれません。子育てに必要なのは、ちょっと一息つく余裕なのかも。
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