ソーシャルスキルを改めて学び直したお話

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コラム
障害児の支援の中でSST(ソーシャルスキルトレーニング)をやられている事業所もあるかと思います。個人的には普段の生活の中でこそ社会性は学べるのではないかと思い「SSTなんて」と漠然と抵抗感を持っていましたが今回学び直すべくまとめてみました。

2003年のクイーンズランド大学のスーザン・H・スペンス教授の研究より子供と若者のソーシャルスキルトレーニングについてまとめられていたのでメモ(1)
▼そもそもソーシャルスキルって何?
McFall(1982)はソーシャルスキルを
・人が社会的能力を達成するために重要な行動を実行する能力
としています。社会的能力って何?って話ですね。
どうやら社会的能力(ソーシャルコンピテンスとも呼ばれる)の定義もいろいろあるようで

・他者との相互作用から良い結果を得る能力:Spence and Donovan (1998)
・多様な社会的な文脈や要求に柔軟に適応するための行動的、認知的、助動的スキルを統合する能力:Bierman and Welsh (2000)

としています。なんともふわっとしてますね!
周りの要求に柔軟に適応して問題解決していく力といった感じでしょうか。

特に対人関係における社会的能力は大事っぽくて、うつ病、行動障害、社会恐怖症、自閉症やアスペルガー症候群、早期発症の統合失調などの多くの形態の精神病理学とも関連しているらしい。なので、社会的能力を向上させることは精神衛生上の問題の治療と予防の面でも有用な要素となっているみたいなんですね。
▼ソーシャルコンピテンスとソーシャルスキル
先ほど紹介したソーシャルスキルの説明で重要なのは「行動を実行する能力」のところです。
Gresham(1997)は、ソーシャルスキルが身に付いていない状態を

・獲得欠損(知らない状態)
・パフォーマンス欠損(発揮できない状態)

に区別しています。
知らなければ行動の選択肢がないわけですから行動を実行することはできませんし、知っていても行動を選択しなければ実行することができません。

つまり、
適切なタイミングで、適した行動を選択して実行することが重要になるわけです。
これができる人が社会的能力が高い人ってことなんですね。


パフォーマンス欠損は、様々な情緒的要因、認知的欠陥や歪み、あるいは競合する/干渉する問題行動に起因する場合があるということで、この辺りが脳の実行機能や注意機能と関連ありそうです。
注意力については以前にまとめました(そもそも『注意力』ってなんなの?)が、ソーシャルスキルがうまく発揮できない原因を上記の要因とみるなら精神病理学との関連があるのも腑に落ちる感じです。


ちょっと長くなりそうだったので今回はここまでに。
今回はソーシャルスキルとソーシャルコンピテンスについてでした。
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