「あの時どうして死にたかったんだろう?わからない。」

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コラム
「保健室まるみ」(保健師)です。
今日もどこのどなたか存じませぬが、
ブログを読んで下さり、
誠にありがとうございます。



今日は、
以前関わった、工場にお勤めの
40歳代後半の男性について
書きたいと思います。



その方をAさんとしましょう。

私がAさんに(保健師として)会う
ことになった理由、
これがあーた、
実にイイ話なんですが、
そこは今回割愛しまして、
(省略かよ)
大分はしょって書きますね。



初めてAさんに会った時、
「死にたいとか、
消えてなくなりたいと思うことが
ありますか?」と聞いたら、

Aさん「毎日です。」
とおっしゃったので、

私「それはお辛いでしょう。
Aさん、病院へ行きましょう。
そうすればきっと楽になるから。」
と言いました。




ほとんどのメンタルを病む方は、
ここで
「はい、病院へ行きます。」とは
おっしゃいません。
Aさんも「いえ、いいです(拒否)。
仕事も途中ですし。」と言いました。



そこから1時間くらいかかった
でしょうか、
私はできるだけ焦らない様に、
Aさんが「病院へ行く。」
と言ってくれる様に説得を試み、
最後は
「絶対悪い様にはしないので、
ここは私に任せてもらえませんか?」
と頼み込んでOKをもらい、
直属の上司を面談室に呼びました。
(平日の11:00頃でした)



私が上司の方に
「今からAさんに病院へ行ってもらい
たいのです。」と言うと、
驚いた顔で
「えっ?今から?
どこか悪いんですか?」
とおっしゃいました。

つまり上司の方は、Aさんの不調に
全く気がついていらっしゃらなかった
のです。



上司の方がそう思うのも少し
理解はできるのです。
Aさんはここ何年も
無遅刻無欠勤、有給休暇もあまり
とらない真面目を絵に描いた様な
物静かな人で、
残業を頼めば「わかりました」と
即答し、
仕事の出来栄えにも
変化は無かったと言います。
ずーっと前から変わらないAさんに
見えたのだと思います。




Aさんは、
その日の内に精神科病院を受診され、
直ぐに「うつ病」という診断書を
もらって来ました。
Aさんは、初めて「うつ病」
と言われたそうです。



主治医の先生は、
「薬をしっかり飲めば、
会社は普通に行って良いよ」と
おっしゃったそうです。



それからAさんは、
みるみる変化し改善し
内服薬が不要になりました。



発症から1年以上たった頃、
私が「Aさん、
最初にお会いした頃、
どうして死にたいと思って
いたんですかね?」
と尋ねると、



Aさんは照れくさそうに、
「わかりません。
なんで死にたかったんだろう。
でもね、あの時車の中に、
練炭積んでたんですよ。
あの時は、そうするしか無いと
思っちゃってたんですよねぇ。」
と教えてくれました。



練炭まで準備した人でも、
自分がどうして死にたかったのか
わからない、とおっしゃるのです。



何か追い詰められるような
明確な悩みや事件があった訳では
無いのです。
それがうつ病の症状だと
言えるのではないでしょうか。




自殺のニュース等を見ると、
どうしても人は
「なぜだろうね」
と理由を探したくなりますが、
実は当の本人にもその理由は
わからないグチャグチャ状態にある
と(私は)思います。




そして自殺で身内や友人を
亡くされた方々にも、
それをお伝えしたいのです。




あなたが何かを言ったから
あの人がそうした訳では
ありません、
あなたが何かをしなかったから
あの人がそうした訳でも
ありません、
どうか自分を責めないで下さい、
とね。




自分で自分がおかしいな、
と思う方も、
側で「最近あの子おかしいな」
と感じていらっしゃる方も、
誰か信頼出来る人に、
ちょっと話してみて下さい。
相談してみて下さい。
それが全ての始まりです。
きっと光が見えると思います。

ではまた。





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