行政法の攻略法~司法試験予備試験受験生必見~

記事
学び

行政法ほど事前準備が大事な科目はない

そもそも、行政法という名前の法律はありません。
行政事件訴訟法とか、行政手続法とか、行政に関わる法律一般をまとめて「行政法」と呼んでいます。
という、教科書的な説明をしてみましたが、この点が「行政法」の難しさを表していると思うんですよね。

つまり、使う法律の数が多い、法律には載ってない「行政法」分野の知識がたくさんあるということです。
また、「行政法」に出てくる法は、どれも細かいです(行政事件訴訟法第9条第1項、第2項とか見てみてください。初見では、何書いてあるかわからないですよね。)。
「行政法」が苦手・嫌いという受験生は多いですが、納得です(私も好きではありませんでした)。
とはいえ、予備試験・司法試験では避けて通れません(司法試験では、短答科目から外されましたが・・・)から、この難関に対して如何に立ち向かうか、アドバイスします。

ポイントは、事前準備です。
具体的には、自分が立てる規範を細分化して、正確にインプットしておくと言うことです。
例えば、原告適格(行政事件訴訟法第9条第1項)の要件について考えます(「当該処分・・・法律上の利益を有する者」の解釈問題ですね)。

その定義は、「①当該処分により②自己の権利若しくは法律上保護された利益を③侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいい、④法律上保護された利益とは、当該行政処分の根拠法規が、不特定多数人の具体的利益を一般的公益に吸収解消させるにとどめず、個々人の個別的利益として保護する趣旨のものを含む。」などと、覚えている人が多いと思います(定義を覚える時は、若しくは、又は、句読点の位置まで正確に覚えた方がいいですよ)。
また、同法第9条第2項も「処分の相手方以外の者」の法律上の利益について検討する場合には、欠かせない条文になります(下線部の限定があるから、処分の名宛人以外の者の原告適格を検討する場合に適用されるということを意識してください。条文から考えるという基本です)。
同項では、「⑤当該処分・・・法令の規定の文言のみによることなく・・・⑥法令の趣旨及び目的・・・⑦当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮する」と定められています。
そして、「⑥’当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるとき(ないときもあることに注意)はその趣旨及び目的をも参酌する・・・⑦’当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては、当該処分・・・の根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案する」とあります。

出来れば、全部覚えておきたいところですが、最低限条文の構造は、頭に入っている必要があると思います。
仮にこれをぶっつけ本番で読んでも、制限時間をクリアできないでしょうし、読み間違えなど、ケアレスミスが生じる可能性が高いからです。
条文の構造は、①~⑦+⑥’⑦’(⑥’⑦’は、それぞれ⑥⑦に対応)でとらえること及び下線部毎に検討する姿勢が大事だと思います。

条文の構造が細かい場合、事前準備の大変さはありますが、裏を返せばそれに従って書くだけで具体的かつ詳細な検討ができるという楽さもあります。
自分であれこれ悩む必要がないのです。
この他にも処分性とか、違法性の承継とかよく問われる論点はありますが、きちんと事前準備できていれば、あとは、事実を当てはめるだけということになります。

行政法の試験時間の厳しさも事前準備が出来ていれば、乗り越えられます。
試験時間の問題は、刑事系科目でも同じことが言えますね。
問題文が長いというのも、司法試験の行政法科目の特徴ですが、長い問題文の事情を全て使わなければならないというわけではありません(私的にはそんなこと不可能だと思いますが・・・)。
大事なのは、条文から導いた要件にきちんと当てはまる事情を抜き出すこと、あるいはその要件に当てはまる事情がないことをきちんと明示することです。
行政法でドツボにはまるのは、答案の型がわからないまま、やみくもに答案を書き進めようとする受験生です。

そういう意味では、行政法の問題が処理できるか否かは、基本的な答案の型を修得できているか否かを図る指標になるかもしれませんね。
行政法でお悩みの方、どしどしコメントお寄せください。
こちらのブログでも随時有益な情報をお返ししていきたいと思います!!


サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す