悩みが解決するとき ~何がひとを癒すのか?~

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コラム
誰もが大なり小なり悩みや問題を抱えて生きています。悩みや問題を解決する方法はいろいろありますが、通常は問題の原因を見つけ、それを取り除いて解決するという考え方が一般的です。こういった原因志向によるアプローチは、パソコンの不具合のように原因が特定でき、それを取り除いたり交換できる場合には有用です。

しかし、複雑な人間関係の問題や些細なことを気にしたり、落ち込んだりするという感情が関与する問題には不向きです。なぜならば、その問題にはたくさんの要因が関与しており、原因など特定できない場合がほとんどだからです。
たとえ主要因や原因が特定できても、それが考え方や性格、態度であった場合、故障した部品を交換するように、簡単に新しいものに変えるというわけにはいきません。過去に囚われないようにするとか、ネガティブ思考をポジティブ思考に変えるなど、理屈はいくらでも言えますが、実際にそれを実行するのは、容易いことではありません。

性格や考え方が関わる問題には、原因思考的アプローチだけで対応するのは甚だ困難なのです。

そうは言っても、自分の考え方を変えるか、無理にでも気持ちを切り替えない限り、問題は解決へと動き出しません。その際、一般的に行われているのが説得や話し合いなどによって考え方を変えるという方法です。たとえば、組織の中で意見が対立する場合などは、自分の意にそぐわないことでも、上司の指示でやらざるを得ないこともあるかもしれません。

もう少しスマートなやり方としては、対立した価値観の共通項を見つけ出し、それに基づいてお互いが自分の立場で探していくという方法を採用している組織もあります。ただし、これはそのような「環境」があるからできることです。

◆無理に変わろうとしない
問題の解決には、考え方(認知)を変えることがポイントになりますが、それを一人で変えようとすると、どうしても堂々巡りになってしまい、そう簡単には変えられないのです。
ここで大切になってくるのが「行動」です。
なぜなら人は様々な経験や体験により、ものの見方や考え方が変わってくるからです。

大きな失敗をすれば、嫌でも自分の考え方を見直さざるをえません。逆に、たまたま上手くいったことがあれば、「こう考えればできるんだ」と、今までとは異なる新たな考え方を取り入れることになります。このように人は、いろいろな経験を通して、ものの見方や考え方が少しづつ変わっていくのであり、それが人間的成長にもつながっているのです。
また、行動をすれば、どこかで何らかの「気づき」があるはずです。内なる気づき、それが自分の考え方を変えるきっかけになると思います。もっとも、小さな気づきはたくさんありますが、その気付きはすぐに脳裏から消え去ります。

でも、それでよいのです。気づいたことや自分で体験したことは、一旦、無意識の貯蔵庫にしまわれ、その後必要に応じて取り出され、様々な場面で活用されるからです。

これらの作業のほとんどは、自分が意識することなしに行われています。
ですから、特に自分を変えようと意識しなくても、以前と比べて何か変わった気がするというのは、無意識に蓄えられた知識や経験を、知らず知らずのうちに活用し、新たな経験を積み上げていった結果になるのです。
考え方が変われば、自ずと心も穏やかになるでしょう。つまり「感情」にも変化が現れます。

以前ほど怒らなくなったっとか、あまりイライラしなくなったというのは、自分の考え方や価値観が変わってきた証拠です。

ただし、信念に近い思い込みや、強烈な感情が伴う体験をした場合、そこで形成された思いは、その後たくさんの経験をしたとしても、そう簡単には変わりません。それらは自分の考え方だけでなく、自分の置かれた環境や、持って生まれた性格などが関与するため、そのような強い思いが形成されてしまうと、ある意味、自分ではどうすることもできない部分でもあります。

だからといってあきらめる必要はありません。自分なりに多くのことを学び、得意分野で力や持ち味を発揮し、そこで積み上げられた数々のポジティブな経験としての「行動」が相対的にネガティブな想いを小さくしてくれる可能性があるからです。

あとは「時間」も重要です。長年の歳月と、様々な経験の積み重ねにより頑なな想いも次第に緩み、あるちょっとした「きっかけ」で、一気に融解することもあります。何事も諸行無常であり、変わらないものなどないのです。
自分の考え方も不変ではありません。ですから、すぐに変わらなくても、いつかは来るであろう「変わる」ときを待てばよいのです。

無理にもがいて、自分を変えようとするのではなく、自然の流れに任せ「時間」と「きっかけ」が自分を変えてくれるのを待つ、そんな思いも大切だと私は思っています。

◆安心、信頼、自己肯定感
悩みや問題が長引いて慢性的なストレスに苛まれている場合は、自分の悩みに役立ちそうな本を読んだり、人とのつながりを通して癒されることも大切です。その際のポイントは「安心」と「信頼」です。

このふたつが感じられる相手であれば、友人や同僚、医療者、セラピスト、援助者・・・、誰でも構いません。安心感や信頼感を持てる相手がいるだけで、人は癒されますし、それがこれからも続くかもしれない慢性的なストレス状態を乗り切るための、大切なエネルギー源になるのです。

さらに言うならば、希望や可能性も感じさせてくれる話やアドバイスをくれる人がいたら最高です。相手の「心の治癒力」を信じ、希望や可能性を持てるかかわりをしてくれる人の方が、ずっと自己効力感や自己肯定感が引き出されるため、ストレス状況に置かれても前向きな気持ちになれるのです。

大切なのは未来を信じる力です。安心感や信頼感があり、かつ希望や可能性を持たせてくれる存在を、ぜひ見つけてください。様々な悩みや問題を抱えたとき、きっとあなたに癒しと勇気を与えてくれることでしょう。

最後までご高覧いただき、ありがとうございました。
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