行政書士試験 記述(行政法)

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行政書士試験の記述問題で出題される可能性のある条文、判例の文言を紹介しようと思います。
 今回は、行政法です。行政法の分野から12個ピックアップしましたので、時間があるときに1つずつでも覚えておけば、その分ヤマあてが当たる可能性が上がると思います。

1、租税法律関係における信義則の適用
 租税法律関係において、民法上の信義則が適用されるのはいかなる場合か
 A、納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしても、納税者の信頼を保護すべき特別の事情がある場合。
(解説)
 この問題は、租税法律関係言い換えると、行政と私人の間の税金の関係に、民法の原則である「信義則」の適用があるかどうかという問題です。結論は、上記Aの場合のみ認められます(最判昭和62年10月30日)。記述問題は多くの場合、事例で書かれますので、この判例の事案を見ておくと問題を見たときに何を書けば良いか判断しやすくなると思います。
(+α)
 租税法律関係における信義則は、上記解説の通りです。一方で、信義則は、民法上の原則ですが、法律関係全般に妥当性をもつ原則とされています。そして、これは行政法の法律関係でも例外ではありません。従って、行政法の法律関係でも、原則は信義則の適用があります。しかし、例外として租税法律関係の場合には、上記Aの場合に限定されます

2、公営住宅の法律関係
 公営住宅の法律関係において民法・借家法(現借地借家法)の適用があるか
 A、公営住宅法および関係条例に特別の定めがないときは一般法である民法・借家法(借地借家法でも問題ないと思いますが、問題文に合わせると間違いないと思います)が適用される。
(解説)
 公営住宅に入居する場合には、当然、公営住宅法とその関係条例が適用されます。その一方で、賃貸借について規定する民法・借地借家法も適用されます。その適用される場合が上記Aです(最判昭和59年12月13日)。
(+α)
 これは、行政法の問題ですが、本質的には基礎法学の問題と言うこともできると思います。基礎法学で「特別法」「一般法」を学習すると思います(ここではこの説明は割愛します)。それを理解しておけば、上記Aのようになるのも納得できると思います。これを学習すると、公営住宅の法律関係で公営住宅法および関係条例と民法・借地借家法のどちらが優先的に適用されるかが分かるようになります。因みに、公営住宅法および関係条例は特別法、民法・借地借家法は一般法です。
 それとは別で、公営住宅の法律関係に民法・借地借家法が適用されるため「信頼法理」の適用があります。択一の場合、民法・借地借家法の適用があることをそのまま暗記している受験生を引っかけるために、「信頼法理は適用される余地があるかどうか」を聞かれる可能性があります。それに引っかからないように、ここも併せて学んでおくと択一対策にもなると思います。
 個人的には「信頼法理」の内容まで学習しておく必要性は低い気がしますが、民法の学習にもなるので、時間があれば一読しておくと良いと思います。

3、違法性の承継
 違法な安全認定(先行行為)が行われた上で建築確認(後行行為)がなされた場合において、先行の安全認定についての出訴期間が経過した場合に、どのようにして先行行為の違法を主張すればよいか。
 A、後続処分たる建築確認の取消訴訟において、先行処分たる安全認定の違法を主張すればよい。
(解説)
 違法性の承継の分野の問題ですが、この分野は苦手な受験生が多いのではないかと思います。私も最後まで苦手でした。そこで、記述レベルまで理解し、得意にしてしまおうと考えて、昨年記述の予想にこれを入れました。
 要するに、先行行為と後行行為ですので、先行行為の方が早く出訴期間が経過します。そして、問題なのは後行行為に違法が無いことです。後行行為に違法があれば、それを理由に後行行為の取消しを求めれば何も問題ありません。そこで、最高裁は違法性の承継を認めました(最高裁平成21年12月17日)。
(+α)
 恐らく記述で出題される場合、上記判例と同様の事例で出題されるのではないかと思われるので、判例ごと覚えればいいかと思うのですが、択一レベルではどのような場合に承継が認められてどのような場合に承継が認められないかも問われる可能性がありますので、そこも併せて抑えておくと良いと思いますし、違法性の承継は、この違法の主張の方法承継が認められるか否かが理解できていれば十分ではないかなと思います。
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