現役理学療法士が紐解く在宅生活での悪い姿勢と肥満の密接な関係について

記事
学び

はじめに

テレワーク生活を余儀なく続けている現在の状況において自宅で仕事をするようになってから、「肩こりがひどくなった」というような身体に何かしらの症状を訴える肩を多くみるようになったことと、運動をする機会が減ったことによる肥満の訴えを聞くようになりました。
実はこれらの問題は運動不足だけでなく姿勢が原因のこともあります。
今回は姿勢と肥満の関係について具体例を挙げながら紐解いていこうと思います。

在宅生活での姿勢が肥満を助長させる理由

テレワークにより座位姿勢を長時間強いられる機会が増えています。
ある研究では猫背などの不良姿勢と肥満には相関関係があることを報告しています。
猫背などの不良姿勢に起因する肥満の原因はいくつかあります。

ポイントは基礎代謝の低下による筋力低下?

基礎代謝は人が生存するために必要最低限の機能を維持する際に求められるエネルギー量で、体温を維持する機能や、心臓を動かすための機能等に利用されます。

基礎代謝は1日に消費するエネルギーのうち約60~70%を占めます。
基礎代謝と姿勢には関係があり、自粛生活やテレワークなどの影響による座位時間の増加に、長時間の猫背などの不良姿勢が加わると、腹筋の緩みによる筋力低下が生じます。

筋力が発揮できなくなるとエネルギーも使いにくくなるので基礎代謝は下がっていくというメカニズムです。

不良姿勢による肥満の原因は自律神経の不調にもあった?

不良姿勢は自律神経にも影響を及ぼします。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経が優位になると、全身が緊張状態になります。
その状態が続くとリラックスが出来るタイミングがなくなり、さまざまな問題が起き始めます。

・交感神経と睡眠時間と肥満
交感神経が優位になると、睡眠の質が低下するため、一日の疲れの除去が難しくなってきます。

この積み重ねにより慢性的な疲労が生じ、さまざまな活動に対する意欲の低下や活動性の低下につながります。

活動性の低下は運動量の低下なので、筋力低下や基礎代謝低下を招き、最終的に肥満に繋がります。

・交感神経と循環と肥満
次に「循環」の問題です。
猫背などの不良姿勢では背骨が丸まり、背中の筋肉が常に伸張された状態になるため、リラックスするタイミングが失われ、緊張状態に陥ります。
そうすると循環が悪くなり、全身の筋肉が硬くなりやすくなります。

また、自律神経が胸椎から仙骨にかけて出ているため、不良姿勢によりその部分が硬くなってくると筋肉だけでなく、自律神経もストレスを受けるため、緊張状態は輪をかけて強くなり、代謝低下につながります。
これも肥満を呼ぶメカニズムの一つです。

以上のメカニズムを踏まえてまとめをすると、基礎代謝量が低い状態では肥満傾向になりやすく、基礎代謝量が高いと肥満になりにくくなるということが言えます。

姿勢を整えることにより基礎代謝を上げることは可能か?

率直に言うと可能です。
基礎代謝量の低下は運動量の減少とも言えます。
そのため、適切な運動や、食事により筋肉をつけていき、姿勢を整えていくことで基礎代謝を上げることが出来るということが明らかにされています。

姿勢を整え基礎代謝を高める方法3選!

①ヨガ・フィットネス・エクササイズ
 姿勢を整える最も効率的な方法の一つです。脳や肝臓とは違い、筋肉は動かすことで基礎代謝を高めることが出来る点や、不良姿勢の方は部分的に筋肉が衰えている部分があるため、その部分への強化を行うことは重要なことです。


②静的ストレッチング
ストレッチも欠かせない方法の一つです。
ストレッチにより筋肉をリラックスさせることで、循環の改善による基礎代謝の向上を促します。
ストレッチング.PNG

③温熱作用による循環改善
これも循環改善に対するアプローチです。
体の硬さを熱を利用することで改善し、代謝を促進させる目的があります。不感温度という言葉がありますが、人の体に負担をかけない程度の温度での入浴が推奨されています。
温浴.jpg

おわりに

姿勢と肥満は密接に関係があることがお分かり頂けましたでしょうか?
日常生活の何気ない気の緩みが肥満に繋がってしまう環境がテレワーク等の便利で怖い点であるため、意識的に運動を行っていくとよいでしょう。
次回は不良姿勢になる原因と解決方法を記事にしてお伝えしていけたらと思います。

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す