朗読動画:類は共を呼び嫉妬をも生む【ショートショート】初webコンテスト応募作品

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 今回の物語は、web小説サイトで活動し始めて、初めてサイトのコンテストに応募したお話です。まあコンテストにはかすりもしませんでしたが、聴いて(読んで)いただけると嬉しいです。

・朗読動画もご用意しております。
・文字をお読みになりたい方は、動画の下に小説(文字)がございます。
◉類は友を呼び、嫉妬をも生む
作者:北条むつき
語り手:徳留璃沙

 今宵も揃いも揃って、この6畳の小さなワンルームにひしめき合う二人。
 アマチュア作家である私、本画好夜《ほんがすきよ》と世見物大輔《よみものだいすけ》。
 それぞれパソコンに向かい、更新作業を行っていた。
 今回の新作は、嫉妬をテーマにした作品。しかし私は、この対面でパソコンに向かいキーボードを叩きながら、更新作業をしている世見物大輔《よみものだいすけ》が最近気にくわない。

 元々は仲の良いカップルだった。
 お互い本が好きで、出会いも本屋さん。私がよく通っていた、駅前の本屋さんで、店員として働いていたのが、世見物大輔《よみものだいすけ》だ。本屋に通っていると、よく好みの本や、私が好そうな本を探してくれるなどで仲良くなっていった。

 自分でも文章を書くことが元々好きだった私。
 物書き教室などというサークルにも入っては、勉強したりしていた。それとは逆に、もともと読み専門だった世見物大輔《よみものだいすけ》。
 最初プロ作家の本ばかりを読んでいたらしいが、ネットでweb小説というジャンルを見つけてからはweb小説にハマり、アマチュア作家たちのネットに上がっている小説を読み漁っていた。

 私と付き合うようになって、私がプロ作家を目指して、日々更新作業をしているサイトにも訪れるようなった。最初は読み専だった世見物大輔《よみものだいすけ》は、私の作品にレビューや指標をつけてくれる様になった。それはそれで良かった。嬉しかった。
 だけど、それには飽き足らず、この世見物大輔《よみものだいすけ》は、あろうことか、最初は本の出来心、興味本位で小説を書き始めた。
 書き始めは、私に読ませたり、感想を求めたりしてきた。そこまでは、かわいい奴だと思っていたのに…。

 こともあろうか、この世見物大輔《よみものだいすけ》は、webサイトに自分の書いた小説を載せるようになったのだ。最初は全く読まれもしなかった小説だったが、ある境から閲覧数は元より、感想やコメントがいっぱい付く様になった。
 彼自身努力したんだと最初は思っていた。確かに努力の賜物だった。その小説を読ませてもらった時に、私は驚いた。何故かというと、その小説は、長編でしかも、内容は私を題材にした小説だったんだ。

 こと本のことになると偶にムキになり「ここのこういう言い回し良くないよ」などと私に言ってくるのだ。さも「俺の方が上なんだぞ」と言わんばかりに…。

 最初は「ありがとう。また直しておくね」などと言っていた私だったが、商売敵ではないが、一応私はこれでも、プロを目指して日々綴っているのにも関わらずだ。

 たった一作品。たった一本自分の書いたweb小説がグングンとランキング上位につけ始めると「俺の小説はさ?言葉に思いが乗っかっているんだ。だから読まれるんだよ」

 くそーーーーーー!!負けられない。

 いつしか、仲良いカップルだった私たちは、戦友になった。

「俺もプロ目指すわ」

 軽々しく言葉にした世見物大輔《よみものだいすけ》。別れも考えた。だけど、この性格の不一致ならぬ、物書きの不一致だけなのだ。それ以外の面では、頼りになるしいつも優しい。

 だから、未だに別れずにこうして同じ小さな部屋で、お互い戦っているのだ。そして同じweb小説サイトで奮闘する。追いつけ追い越せと、意気込みだけは良かった。だけど、未だに彼の作品のランキングを上回る事が出来ずにいた。

 だって、彼の書く小説は、毎日100件ほどの「いいね!」が付く。私のはいっても30件ぐらいだ。だから負けられない。だから毎日、毎日更新作業をしてランキングを毎回楽しむ。

 そんな折、このweb小説サイトで、あるコンテストを見つけた。

『小説コンテスト 第101回 「嫉妬」』

 まさしく「これだ!」と思った。だから私は、今この小説を書いている。この目の前にいる世見物大輔を一回でも、ギャフンと言わせたいがためのコンテストだと思った。

 だから、頑張って書いている。だけど、一息入れようと、私はコーヒーを入れにキッチンへ行った。世見物大輔にも、コーヒーをいるか聞く。すると「ありがとう。もらうよ」と言うので入れてあげた。
 コーヒーカップを彼のテーブルに置いた。その時、彼のパソコン画面に釘付けになった。


 今この瞬間、この時に、彼は、否、彼も私と同様に『三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第63回 「嫉妬」』に応募していた。そして応募完了のボタンを押していたのだった。
 彼の顔が口元がニンマリと微笑んだ。その画面と彼の顔付きが、更に私の嫉妬心に火をつけた。

 間も無く、締め切り時刻が迫る。10月30日23時59分。これがこの物語の締め切り時刻。だから焦った。あと何行書けば、このコンテストに応募できるのだろうと…。

 時間だけが迫っていた。でもそれと同時に思った。

ー 類は友を呼び、嫉妬をも生むものなのだと ー


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