中学受験のおすすめ作文対策|公立中高一貫校に合格する作文とは?

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多くは「公立中高一貫校」、また最近では私立中学でも、入試に作文が課されるパターンが増えています。
私は塾講師時代からココナラでのオンライン指導歴も合わせると、10年以上中学受験の作文指導に携わって参りました。その経験を踏まえて、中学受験、特に公立中高一貫校の作文問題について、評価される作文や、学習の指針、対策法について紹介していきたいと思います。

公立中高一貫校で出題される「作文」とは?

公立中高一貫校では、「適性検査」と題して、教科横断型で総合的な学力を問う問題が出題されます。その中で「作文」にあたる問題も出題され、多くは400字~600字程度の字数帯となっています。
たとえば都立の中高一貫校の場合、適性検査がⅠ~Ⅲにわかれていますが、そのうち「適性検査Ⅰ」として、文章の読解と、そこから発展して受検生の考えを問う作文問題が出題されます。また、県によっては課題となる文章がなく、テーマのみが与えられる出題だったり、グラフや図表が示され、それに対して分析や意見論述を求められるタイプの出題があったりすることもあります。まずは志望校の過去問(公立の場合、多くはインターネットでも公開されています)を見て、傾向を把握することが大切です。

<出題テーマ例>
あなたはこれからの学校生活でどのように学んでいこうと思いますか。(課題文を踏まえて書く)都立小石川中・2023
私たち人間は、生態系のなかでどのように生きていくべきだと思いますか。(課題文を踏まえて書く)都立桜修館中・2022
読書に対する筆者の考えは、本校における学校生活のどのような場面でいかせると思いますか。(課題文を踏まえて書く)都立立川国際中・2022

公立中高一貫校の作文で求められる力とは?

公立中高一貫校が作文を通して測っているのは、自分の頭で考え、それを言語化してアウトプット(表現)する力です。具体的には、次のような力が二段階で求められると理解してください。

第一段階:着想・構想力
・課題文があるときは、筆者の論旨を正確に読み取る力
・与えられたテーマから、適切な自らの実体験を思い起こす力
・テーマに対し、自分の頭で考え、意見を確立する力
・テーマを自分事としてとらえ、自分に何かできるかを考える力

第二段階:表現力
・筆者の考えを端的にまとめて書くことのできる要約力
・「はじめ、なか、おわり」など適切な段落分けで書く構成力
・正しい漢字、文法で表記したり、語彙を運用したりする言語力
・自分の考えを言語化し、初見の相手にもわかるよう説明する力

あえて「第一段階」「第二段階」と書いたのは、これらの力はまず第一段階の力をつけたうえで、第二段階の力をつけていく、という順序があるためです。まだ第一段階の力がおぼつかないのに、第二段階の力を一足飛びにつけようとすると、あとで非常に苦労することになります。
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やってはいけない作文対策

先ほども述べたように、力をつけていく段階の順序を間違えないようにしなくてはなりません。具体的な失敗事例を見ていきましょう。

小5から通塾。模試での作文の成績が振るわない。そこで、よくあるテーマに対して保護者が「ネタ集」を用意してその通りに書くように伝えた。塾では構成の仕方や、まとめ方について指導を受け続けたが、6年生になっても成績は向上しない。そこでオンライン添削を受けてみると、「作文としてまとまってはいるが、自分の言葉ではない『優等生作文』になってしまっていて、その子の個性や本当の考えが見えない」状況に陥っていることが発覚。自分なりの意見を書く練習を始めるも、委縮してしまっていて、のびのび書けるように自信が回復するまでに数か月を要した。

これは典型的な(よくある)失敗例です。本来は、第一段階の「テーマに対し、自分の頭で考え、意見を確立する力」をつけるのが先決でしたが、保護者が「ネタ集」を用意したことでその機会を奪ってしまいました。そして一足飛びに「構成力」など第二段階の力をつけ始めてしまったのです。

学校の授業で書く作文と違い、入試の作文は成績がつき「評価」されるものです。しかし、早期から点数や成績を気にしすぎると、自分のありのままの考えを述べることに委縮してしまい、いかにも評価されそうな「優等生作文」を書くようになってしまう子が多いです。
しかし、そのように自分の心からの考え、言葉ではない文章は、読んでいればすぐにわかります。公立中高一貫校が求める力は「自分の頭で考え、それを言語化してアウトプット(表現)する力」ですから、「優等生作文」はすぐに見透かされ、真っ先に評価対象から外されてしまうのです。

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家庭でもできる!公立中高一貫校の作文対策

① 心構え:作文に苦手意識を持たせない、書くことを嫌いにさせない
まず保護者の方々にできることは、仮に成績が振るわなかったとしても、お子様の作文の良いところを見つけて、褒め、可能性を信じてあげることです。
確かに言葉が拙かったり、論理が飛躍していたりすることもあるかもしれませんが、「このテーマで、このエピソードを書いたのは面白いね」「自分で考えて、(少々突飛でも)意見を書くことができたね」など、認めてあげられる場所がきっとあるはずです。
残念なことに、塾でも、頭ごなしに「論理がおかしい」「この箇所の意味がわからない」などと指導されることがあるようで、過去にもそれで作文に強い苦手意識をもってしまった方から相談を受けたことがあります。
成績が振るわないときほど、作文の表面ではなく、その裏にあったお子様の「こんなことを書こうとした」という気持ちを汲み取って、認めてあげてほしいのです。

② 小6夏休みまで:時間と点数は気にせず、様々なテーマで量を書く
時期は目安ですが、小6夏休みくらいまでは、テクニカルなことよりも作文を書くうえで必要な着想・構想力を鍛える期間にしたいところです。
具体的には、他校の過去問や公立中高一貫向けの問題集で、様々なテーマでの作文練習をします。通塾していない場合でも、月に1~2回は添削指導を受けられるとよいでしょう。
この段階で重要なのは、先に「ネタ帳」のようなものを用意しないこと。
毎回、与えられたテーマにふさわしい自分の経験を引き出し、自分の考えをまとめて書く・・・という即興での作文を繰り返すことで、初めは時間がかかっても、徐々に短時間で着想から仕上げまでできるようになります
まだ制限時間は気にしなくて構いませんので、納得いくものが書けるまでとことん取り組みましょう。点数に一喜一憂する必要もありません。
この時期は、テーマによる得意不得意があって当然です。幅広いテーマに取り組むことで、苦手なテーマに取り組んだ経験値も積んでいきましょう。

③ 小6二学期~冬休み:「型」を身につけ、時間内にまとめる練習を。
このくらいの時期からは、少しずつ時間への意識も高めていきます。「はじめ・なか・おわり」の三段落構成(多くの学校は三段落構成の作文を求めます。稀に二段落構成の指定の学校もあります)において、各段落にどういった要素を書いていくのか、「自分の意見」をどのように膨らませるのかなど、「得点につながる」言語化力を磨きましょう。
引き続き、月に1~2回は第三者による添削指導を受けるのが理想です。

④ 直前期:第一志望校の過去問で総仕上げ
冬休みからの直前期は、第一志望校の過去問に時間を測って取り組み、これまでの学習の成果を試しましょう。第一志望校の傾向によって、有効な直前対策は若干異なります。

「あなたはどうしたいか」など「あなた自身」について問う傾向の学校:
過去のエピソードを挙げて書くことが有効です。どんな「問い」に対して、どんな経験を書くのかという連想が重要なので、悩んだ問題については自身の過去の経験をよく掘り起こし直しておきましょう。

時事・社会問題系を取り上げる傾向の学校
テーマに対する背景知識も重要になります。歯が立たなかったテーマがあった場合は、そのテーマに関する背景知識を深めるために、新聞の電子版等を活用するのもよいでしょう。そのテーマでどんなことが問題になっていて、どんな意見を持っている人がいるのかを知っておくのが有効です。
参考:新聞社説を使った作文学習法


番外編:「セカンドオピニオン」としてオンライン添削の利用もおすすめ
月1~2回ほどは書いた作文を人に見てもらい、添削指導を受けることが理想です。筆者は1回3,000円~のオンライン添削を承っておりますので、ぜひお問い合わせください。

作文に苦手意識を持ち始めてしまっている方には、お子様の長所を見極め、個性を引き出したうえで徐々に得点できるスキルも身につけられるように指導いたします。通塾との併用で「セカンドオピニオン」として利用いただくパターン、ご家庭での受検対策をするなかで外部の人に添削を受ける機会として利用いただくパターンなど、過去にも様々な対応事例がございます。
普段接しない第三者からの講評だからこそ、素直に受け入れてくださるということもあるようです。

公立中高一貫校に合格する作文とは

小手先の暗記やテクニックに頼らず、与えられたテーマに対して自分の頭で考え、その考えを読み手にしっかりと伝えることができれば、必ず良い結果に繋がります。
学校側に「伸びしろ」を伝えられれば、受検時点で完璧でなくてもまったく問題ありません。テーマによりますが、「壁にあたったとき、どう試行錯誤し、どう行動してきたのか」「周囲の出来事にどれほどアンテナを張り、自分事として考えてきたのか」のいずれかが問われることが多いです。過去のエピソードを挙げる際は、こうした経験の内容をしっかり作文の中で伝えることが大切です。

ぜひこの先もずっと通用する「本質的な思考力・文章力」を、受検を機に身につけていってください。

今後も公立中高一貫の作文対策に関し、不定期で情報発信して参ります。ぜひお読みいただければと存じます。

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