前回は凸型の建物に囲まれたハート形入りの「署」という漢字と警察官のイメージが特徴である「警察署」の地図記号について紹介しました。
次は、火災が起きた時の消火活動や救助活動を行う機関である「消防署」の地図記号について紹介します。
従来の地図記号は基本「Y」形で、上の部分にカーブがあるのが特徴的です。
なぜ、このマークなのか?諸説によると、刺股(さすまた)を図案化したものであると言われています。
ここで刺股とは、形的に相手を封じ込めるイメージがあるが、現代のように消防ポンプやホースがなかった江戸時代に、「破壊消防」の消火方法の一つとして日常的に利用されていた道具のことです。
どのように使用したかと調べてみると、当時は蛇口でひねれば簡単に水が出るような時代ではなく、水桶や龍吐水のような手動式ポンプを使って消火する方法であったため、延焼拡大の防止するためにも「刺股」の使用で火元周辺の建物を破壊した方が効率よく防げていたそうです。
このことから、「消防署」の地図記号は「刺股」の形であることが現在でも続いています。
そこで私は、それを見て以下のように疑問に思いました。
「消火活動に『刺股』が使用されていたと知っている現代人はほとんどいなのでは?」
「刺股マークの地図記号を見ても『消防署』の地図記号って認識している人ほとんどいないのでは?」
「なぜ刺股マークが今でも続いているのかが分からない。」
「消防署に関して時代に合った地図記号を提案してくれる人がいなかったのか?」
「一目見て警察官のイメージが印象的な外国人向けの『交番』『警察署』の地図記号のように、消防士のイメージが描かれている『消防署』の地図記号は誰も思いつかなったのか?」
「そもそも時代があったものに変えるべきでは?」
このように考えた私は、次のように未来の地図記号として表現しました。こちらです。
全体的に消防士の簡単なイメージを描きました。さらに、可愛くした方が印象に残りやすいと考えたことから、消防士の防止の一部をハート形にしてその中に、筆文字で書いたような「消防」の「防」という漢字に星形を導入しました。
「現代人に適応した地図記号であるのは何か?」と考えながら、上記の表現方法に至りました。
このようにデザインすると、将来実現してパッと見て通りすがりの方や訪日客でも「消防署」であると分かりやすくなると思います。