自衛隊の苦労話④「何か問題ある?」っていう部下がグングン伸びて自分も楽になる魔法の一言!

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自衛隊歴20年!大阪弁で癒やす護り手
コージです^^


18歳の新卒で自衛官になったんやけど、
当然、初めての社会人生活やったから今まで当たり前やと思ってたけど
実際は自衛隊特有の儀式やったっていう苦労話をまとめるわな!


今回は部下と上司と組織をまとめて育成する中間管理職の話


俺は自衛隊でけっこう異色な経歴持ちで、いろんな仕事を振られる事が多かってんけど、ある年、師団射撃競技会の『至近距離射撃の部』の先任助教(指導者)を命ぜられてん。

師団っていうのは大まかに言えば、関西、中国、四国、みたいな区分を管轄する規模の司令部のことね。

その中に何個か普通科連隊っていういわゆる歩兵部隊があって、その普通科連隊同士で射撃技術を競わせて能力アップさせようってのが師団競技会。

ルールは、師団がくじ引きで各連隊の選手を一方的に決めてきて、その選手の得点で勝敗が決まる感じ。

射撃の種目は3つ
・狙撃(800m)
・戦闘射撃(300m)
・至近距離射撃(25m)

各種目で同点やった場合は至近距離射撃を獲った連隊が勝ち。

そのうちの至近距離射撃の先任助教をやることになった。


俺、実は所属が小銃小隊じゃなく迫撃砲小隊っていう前線からちょっと下がって戦う方やから、どっちかっていうと射撃はそれなりに当たればOKな隊員やねん。

でも射撃練度は数年連続で『特級』。
最高得点は『49/50点』で方面トップクラス


だから、小銃小隊の人間を差し置いて先任者になったっていうこと。
(うっとうしい自慢はここで終いですm(_ _)m)



うちの連隊は競技会の教官に若手幹部を付けるんよ。
幹部育成のために。
その下にたたき上げの陸曹指導者を付けて、実際に訓練をすんねん。

んで、そんときの至近射撃の幹部教官が、俺が参加したレンジャー訓練の同期学生で、若い内に昇任試験に合格して幹部(3等陸尉)になった何コか下の後輩。
(ちなみに試験は強制で受けさせられるから、受かれば幹部にならなあかん感じ。)

もう俺、めっちゃイヤな感じしたわ。
正直そいつ、二度手間多いし、めっちゃ内気やし、追い詰められた時の人間性知ってるし。

でも階級絶対社会の生きる者としては、絶対にそいつの顔は潰したらアカンねん。(表立っては。)



それからの準備が大変。

そいつの作った計画 穴だらけやし。

くじ引き結果の連隊選手の練度もやや低めでバラバラやし。

競技会担当中隊長(俺の直属の中隊長やった)からは
「コージ1曹おったら優勝確定やから任せたで!」って丸投げされるし。



準備が終わっていよいよ選手集めて訓練開始ってなったから、最初は幹部教官に前に立ってもらってん。

いざ始まったら、当然、計画はグズグズのままで、射撃訓練場の使える時間に対して1人当たりの弾数が多いから間に合わんとか、点数つけたり場の統制をする勤務員に指示が行ってないとか、飯足らんとか。


選手からも指導部からも不満が出まくったから、速攻で下がってもらった。



これから俺が立て直さなアカンようなってんけど、中間管理職の人には役に立つ話やから流れを覚えとってな!



まず、教官の立ち位置。

顔を潰さない。
つまりみんなの前で絶対に責めない事が大事。
言いたいことがあれば連れ出して個別に話す。
(俺は相手が後輩やから強めに言ったんである意味一番かわいそうな奴)

で、連隊長やその取り巻き様とか担当中隊長とかがけっこう現場を見に来るのってうっとうしいんよ!
訓練止まるし。

それの対応を全部任せた。
要するに階級と役職をうまく使った壁役。

若手幹部が連隊長とかに顔を売るチャンスやし、優勝すれば評価バカ上がり。

計画も俺がアドバイスするし、現場は全部先任助教以下に任せてOKってなればリスクゼロでしょ。



次に指導部。

連隊の至近射撃トップレベルばかりやから腕は申し分ない。
ただ、若いやつが多くて管理面とかの経験値は低め。

こいつらは俺の方が階級も実力も上やからねじ伏せた!

...と思いきや。
指導部にはあえてお願いにした。

「現状として、教官はそれぞれが感じたとおりの人間。やけど、俺らの任務は連隊を優勝させること。できんかったら指導部の責任や。」

「これからの計画は教官と俺とで調整して決めるから、問題点は全部俺にゆってくれ。」

「あと、それぞれに自信のある射撃理論を持ってると思う。でも、指導部がバラバラのことを教えると選手が混乱するし、そもそも時間がないから、教える技術は俺のやり方に一本化する。」

「そのあとで、上手く伸びへん選手には、俺が、選手と相性良さげで適任と思うやつに個別で担当を振って完全に任せるから、それぞれの射撃技術を教えて絶対に当たるようにしてくれ!できるやろ?」

「とにかく、指導部がバラバラやったら絶対に勝たれへんし、俺は勝てる指導部メンバーが揃ってラッキーやと思った。」

「各人が納得いかんことは俺に全部言ってくれ。話しを聞いて俺の責任で最終決定する。上からなにか言われたら俺からの指示やって言え。」

「絶対に勝つぞ」



選手のケアは結構たいへんやった。

「指導部側の不手際で、みんなには迷惑をかけて申し訳ない。」

「みんなは選手に選ばれたけど、正直、射撃が上手くなる方法とかわからんし自信もないって気持ちの人間もおると思う。
だから、今回の訓練では、俺の射撃技術を全て教える。方面No.2の。」

「これで当たらんかっても自分らのせいじゃなくて、教えた俺の責任やから
全く責められることはない。その代わり、俺の示す基準に到達してない選手は全員俺の教える通りにしてくれ。」

「今の時点で基準に到達してる人間は、そのままのやり方で技術を磨いてくれ!新たな目標基準を別に示すから。」

「最後に管理面やけど、正直、指導部だけでは人が足りへん。
すまんけど、これからは選手のみんなにもそれぞれ持ち回りで役職についてもらう。
飯とか弾の準備とか、連絡とか採点の係とかを、階級に応じて編成する。」

「長になった人は前日までに指導部から指示を徹底するから当日の編成の掌握と実行を任せる。」

「俺は勝つ気でおるし、過去をさかのぼってデータ分析した結果、俺の設定した基準に各人が到達すれば勝てる。
みんなが協力してくれれば基準に到達できるように計画も修正した。」

「勝てる環境を整えた上で負けたとしたら、責任は、みんなの射撃練度を上げれなくて信頼も掴めなかった俺ら指導部にある。」

「ただ、負けていいとか思ってるやつは言いにきてくれ。どんなにうまいやつでも教官を通じて中隊復帰してもらう。お互いの幸せやろ。」

「勝てる勝負や!しっかり獲っていこ!」


ちょっとざわつく選手たち。
でも反感はなかったから大丈夫やろう。


これで下地は整った。

俺の土台作りの作業はめっちゃ増えたけど、一回作ってしまえば勝手に回りだすから、あとから楽できる。
産みの苦しみって感じ。


訓練は順調に進みだした。

シンプルにルーティン化されてるから指導部も選手もムダな時間と労力が減った。
なにより訓練の集中力が抜群に高まった。


駐屯地内での射撃技術訓練は、俺がみんなにやり方を直に見せて教えて、指導部助教に個別サポートをしてもらう感じでまとめて認識を一本化した。


実弾射撃訓練は駐屯地外の射撃訓練場でやるから、各人がバラバラの勤務配置について、選手は自分の射撃順になったら勤務を抜けて準備を始める感じ。

これも前日に流れを説明して、当日に軽いリハをやってるから大体は計画通りに進む。



俺は順調に進む訓練を横目に左うちわでボーッとしてた。...かった。


けど実際は一番動き回ってた。文字どおりに。
移動だけで歩数は1日3万歩を越えてんちゃうかってくらい。

何をしてたかって言うと『声掛け』


各係の長とか実際に動いてる隊員のとこにいって
「めっちゃスムーズに進んでるで!ありがとうな!」
「今までで、何か問題ある?」って

そしたら、けっこう問題点が出てくる。


モノが足らんとか

今のやり方はこうした方が改善されるから変えていいかとか

あいつとあいつが合わんくてモメてるから人を代えてくれとか


俺は改善できることはすべて代案を考えて
その場で決定していく。


自分でできないことは教官に連絡して階級を使ってやってもらう。

時には担当中隊長にもお願いする。
担当中隊長は連隊長に掛け合って許可をもらってくれたりする。



いちばん大事なことは任務を達成すること。

障害はできる限りその場でスムーズに取り除いていく。
ただ、階級を使ってもできないことは理由を説明して納得してもらう。

できるであろう対策をやる前から「それはムリやで」とは絶対に言わない。

だって
調整ってゆっても話しするだけやで!

言うのはタダやからできたらラッキーで
できんくても、ここまでやってくれたならって納得してくれる

いわゆる完全ノーリスク!

逆に、やらずに不満を買って信頼を失う方が、あとを引きずって思わぬ問題発生につながるんよ。


傷は軽いうちにしっかり処置しておくことが大切ってこと。



結構長なったからそろそろ締めるわな。




俺の今回の立場は『中間管理職』

特権は
ある程度の裁量権があって
実質的な責任は上が取るということ。

もちろん俺自身は俺のやった事すべてに責任もって、できんかったらみんなの前で頭を90度まで下げて謝罪する気でやってるで。

元後輩に頭下げるとか一生モンのキズやし。


中間管理職が一番すべきことは
「とにかく現場を回すこと」

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上の人間:責任とか大掛かりな調整

↕ ちょうどこの位置

下の人間:実働
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特に大事なんが「下よりで仕事する」ってこと。


上が何をゆおうが結果を出せば問題ないけど
上の言うことを120%聞いても結果が出んかったら怒られんねん。

そして、不満っていうのは下から上がってくるもんやねん。


実際、この時の連隊長はめっちゃキラいやったから、現場来ても俺は顔を出さんかったし。
教官に「あちこち動いてますってゆっといて」って任せてたから。


その代わり、その時間で実働してる人間とめっちゃ話ししてた。
選手1人1人に「調子どない?」とかゆって。

そしたら現場の空気が澱みなく通るようになんねん。

選手自ら相談に来てくれたり
積極的に支援してくれたり
ムリ気味なお願い聞いてくれたり

何より成果が上がんのよ。
マジで。ホンマに魔法みたいに。

だから

中間管理職は
「今までで、何か問題ある?」
って御用聞きして
解決するために上の人間を使ったらええっていう
スーパーノーリスクな職務やねんでって話。




師団射撃競技会の結果?
聞く?


狙撃:2位
戦闘射撃:2位

この時点で他の1コ連隊に続く2位

至近距離射撃:1位

これで同率1位になったから
至近距離射撃を獲ったうちの連隊の優勝。

みんなええ顔しとったわ~。



そのあと表彰を受けて賞詞もらった。
(制服の胸のとこについてるカラフルなやつね)

担当教官は師団長から4級賞詞
俺は連隊長から5級賞詞



担当中隊長「ホンマは連隊長にコージ1曹に4級をって話しで通したかったんやけどゴメンな」

俺「教官には、負けた時にすべての責任を取ってもらうつもりでした。なので勝ったときの栄誉はすべて教官のものです」


ちゃんと教官の顔立てたやろw

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終わろうと思ったんやけど
「ただの有能自慢じゃねーか!」
っていう声が聞こえそうなんでちょっとだけ追記。


まず、俺にとって今回の任務『師団射撃大会優勝』はめっちゃ楽やった。

なんでか?

俺の戦い方が失敗しても『誰も死なさなくてすむ』から。


俺にとって今回の競技会はただの訓練。
普段の日課と対して変わらん位置づけやったんよ。

何のリスクも背負ってないし、やることも普段の延長。
(普段よりかは忙しいけど。)


これが戦場なら、もっと厳しくもっと細かくあらゆるパターンを想定して任務達成までの道筋を作る。
そんで、しっかり帰ってこられるように徹底的に隊員を鍛える。


今回はそこまで気合が入った人が周りにいなかったからトーンを下げた。

でもやることは変わらない。本気でもトーンを下げても。


ただ、勝ちグセはつけなあかんから『絶対に優勝』という目標は下げへん。



これが今回伝えたかった本質なんよ。

俺だからできたんじゃなくて誰でも同じ事はできる
結果は違うかも知れんけどそれは慣れていけば高められる。



もしかしたらやけど
実は幹部教官の元後輩がワザと『できない男』を演じて俺をコントロールしてたかも知れん。

『自分が間に入って、適材適所に人をうまく配置して全般を把握して問題点を解決して任務達成する。』

俺のそばにおって、俺の持つ情報を全部吸い取って、俺から報告受けて上と調整して、俺をコントロールして、優勝したやん!


やってることは一緒やろ?
俺も幹部教官もw



自分の戦場ってどこなん?
しっかりと戦えてる?

負ける前に退いたら負けちゃうで!
何度でも戦ったらええねん!
最後に勝ったもんが勝者やねんから^^


一旦退いて、戦い方考えへん?
やり方とかわからんかったら一緒に考えるで^^

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ホンマの最後まで読んでくれてありがとう^^

コージ♪
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