自衛隊の苦労話②「あんたどっちなん?」っていうレンジャー訓練の話

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自衛隊歴20年!大阪弁で癒やす兄貴
コージです^^


18歳の新卒で自衛官になったんやけど、
当然、初めての社会人生活やったから今まで当たり前やと思ってたけど
実際は自衛隊特有の儀式やったっていう苦労話をまとめるわな!


今回はレンジャー訓練に参加した時の話


自分 自衛隊のレンジャーって知ってる?
陸上自衛隊で最強に過酷な訓練。

そうそう、それっ!

「イチッ、イチッ、イチニッ レン ジャーッ!」
って言いながら全力で鬼ごっこしてるやつっ!


28歳の時にその全力鬼ごっこに参加してん^^


28っていうのは年齢的には結構遅め。

ホンマは23歳の陸教帰りでバリバリの時に
参加したかってんけど
陸教から帰ってから半年で人事(事務)に異動させられたから
行けんくなってん。

※陸教は陸曹教育隊っていう陸士から陸曹になるための課程教育


そんで4年後の3月に開放されたから
その勢いで4月からのレンジャーに参加してみたんよ。

そしたら周りの参加者やたら若いやつばっかりで
そん中でも1人だけ俺と同じ加齢者がおってん。

結局全員で23人やったかな。
俺はNo.2の副学生長ってポジションになった。

トップはさっき紹介した加齢者ね。


で、訓練始まる前に担当の発表があってんけど
訓練指導部の助教(教えてくれる隊員)が同じ中隊の先輩やってん。

結構上で、8つくらいかな。

普段からめっちゃおもろい人で
レンジャー参加前もあれこれとレクチャーしてくれた
めっちゃいい人やってん。堺正章みたいな。

やってん...

めっちゃおもろくていい人やってん...中隊では。


でもな、

紹介終わってから
いざレンジャー訓練が始まったら
野太い声でめっちゃキレてんねん。


蝶野正洋みたいに。


「えっ?誰この人?マチャアキどこ?」
ってなった。


でな、
レンジャー訓練は毎日、地獄のメニューをこなしながら
「イチッ、イチッ、イチニッ レン ジャーッ!」
って進んでいくんやけど。


あ、ちなみにレンジャー訓練参加中の返事は
「レンジャー」しか無いから。

助教「ちゃんと食堂で飯食ったんか?」 
学生「レンジャー!」

助教「1人 間に合わんくて行けてないやろ?」
学生「レンジャー!(そいつ 飯いらんて来んかったし)」

助教「お前らは仲間見捨てるんか?」
学生「レンジャー!(絶対反省のパターンや~)」

助教「そうや!絶対に仲間見捨てんなよ!」
学生「レンジャー!(お?さっきのレンジャーで通じてる~)」

助教「腕立て伏せ よーい!」
学生「レンジャ~~!(結局反省やんのかいっ!)」

日本中のレンジャー隊員はレンジャーで話せるから^^


でな、
レンジャー訓練は毎日、地獄のメニューをこなしながら
「イチッ、イチッ、イチニッ レン ジャーッ!」
って進んでいくんやけど。

とうとう来てん 運命の日が。

俺が病院送りになった日。
(ってか数日前から調子悪かってんけど。)


その日の朝
点呼で起きて着替えようとしたら

俺の下半身がめっちゃ膨らんでんねん!



あ、エロい意味とちゃうで!



下半身って太ももから下のことな!
(朝イチの下半身ってなに想像したん?)


そうやな、まず自分の足見て。

んで、今から想像してな。

『象の前足』


それを自分の足と置き換えてみるとするやん?

そんな感じになっててん!
下半身が膨らんでてん!

見た瞬間の俺
「・・・着替えな!」

点呼に遅れて反省する方がリスク高く感じたから
そのまま着替えて点呼に出てん。

学生長「健康状態は?」
学生「異常な~し!」
俺「...」


で、
そのまま報告するタイミングを失いつつ
「今日は駐屯地内でコンパス(方位磁石)の使い方やから問題ないやろ」
ってことで
下半身の件はなかったコトにした。


でもな、思った以上に深刻やってん。

課目は「コンパスの使い方」で
コンパスを使って駐屯地内のポイントを見つけて進んで行く訓練で
正直、イタダキな内容やってん。

俺、28歳で自衛隊10年目やし普通にコンパス使えるし。

でもな、俺のバディ2人がヤバかってん。


ん?バディやのに2人?
そう2人。
最初に書いたやん!学生は23人やって!

2人バディやったらひとり余るからって
学生長じゃなくて俺に付けられてん。
入隊2年以内の陸士を2人も。

その2人がまったくコンパス使えんくて、
でも助教は1人やから面倒見きれんし
ってなるやん。

だから
「お前、副学生長やから1人に教えろ!」
って蝶野正洋が言いよんねん。

あ、俺のバディに付いた助教は
「蝶野正洋(元マチャアキ)」な。


「...レンジャー(学生に仕事振らんとってや~⤵)」

で、教えんねんけど、
そもそも俺、正解のポイント知らんやん?

だから
自分でポイント探して、バディは後ろ向かせて
バレんように確認しに行って
戻ってきて教えてみたいなことを
繰り返しててん。

そんであまりにも走り回りすぎた結果...

コケてん。

結構盛大にw
手のひらとか擦りむくくらいに。

で、さらにコケた時に自分のコンパス割ってしもてん。


そしたら蝶野助教が来て
「何気ぃ抜いてんねん!」って怒ってはんねん。

助教「何気ぃ抜いてんねん!」
俺「レンジャー」

助教「どうしてん?何もないアスファルトでつまずくなや!」
俺「レンジャー」

助教「理由は?」
俺「レンジャー」

助教「普通にしゃべれって!」
俺「レンジャー(あ、さすがにわからんか)」

俺「自分の足にからまりました」
助教「お前は幼児か!普通に走ってたら自分の足なんかにからまへんやろ」

俺「レン...足が重かったので」
助教「ん?筋肉痛か?」

俺「レ いえ...」
助教「なんやねん?ちょっと見せろや!」


アスファルト上で膨らんだ下半身をさらけ出す俺


それを見つめる蝶野正洋とバディの陸士


しばらくその場は静寂に包まれた
蝶野正洋は象の足を見て絶句している


助教「...いつから?」
俺「今朝起きたらこうなってました」

すると
どこからともなく違う声が

「お前めっちゃしんどかったんちゃうんか~」
「大丈夫か~?一旦荷物置いて足伸ばして休んどけ!」
「教官に報告してくるから」

って
マチャアキ(堺正章)の声が聞こえてきた

その時俺は
「(うわっ、先輩、蝶野正洋のキャラ 維持できてへんやん!)」
って思った




その後は自衛隊病院に通院してそのまま入院決定

主治医の医者(2佐)から
「よかったな~コケてw」
「そのまま続けてたら死んでたでw」
って
さらりと死亡予告を受けたのち家族が呼ばれた


ちなみに診断結果は
熱中症、脱水症状の併発と
極度の肉体疲労(ヘルペスできまくってたわw)
による

多臓器不全
(右心室不全、腎不全、肺に水が溜まるなど)

だろうとのことやった。
(実は正確には原因不明のまま)


腎不全のせいで足が象の前足みたいにムクんでたらしい。

そして
「イチッ、イチッ、イチニッ レン ジャーッ!」
って言いながら全力疾走してた時は確かに心臓が痛かった。

※今も
『1日座ってると下半身が膨らんじゃう病』
は続いたままやけど
それなりに安定してて問題はない^^




何だかんだで退院できるまで3ヶ月を要し
その間にレンジャー訓練は終わってた。

残り22名は全員無事に卒業!
バディの2人も卒業できて良かった^^



俺のレンジャー訓練は
4月中旬に始まって5月頭で終わり
その後、退院できたのは7月末

入院中にもなかなかレアな体験ができた^^


7月1日は自衛官の昇任日。

俺が人事の時に可愛がってくれてた連隊長が
わざわざ直接お見舞いに来てくれた。

連隊長「やっぱ、人事下番してすぐのレンジャーはムリだッペ^^」
(連隊長は東北出身のなまりバリバリで大阪弁でも力負けする)

俺「行けると思ってたんですが、クーラーの効いた部屋で4年も勤務してると気付かない間に軟弱になってました笑」

連隊長「まぁしっかり休めってことだな」
   「お疲れさん^^」

って言葉をもらった後に、不意に階級章を手渡されて
そのまま内緒で昇任内示をもらった。
ベットの上で。

連隊長「中隊長には内緒だべ」


ホント、粋なことをしてださる最高の指揮官でしたm(_ _)m




今回のオチは

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その時俺は
「(うわっ、先輩、蝶野正洋のキャラ 維持できてへんやん!)」
って思った
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↑↑↑これな!

自衛官って中堅以上の隊員になると
隊員教育を受け持つことがたびたびあるんよ。

レンジャーもそうやし
新隊員教育とか
特技課程教育とか

そのたびに『その教育用のキャラ』を演じるんよ。

いや、中にはおるで!
わざわざ演じる必要のない『真性のサディスト』も


今回は

堺正章から蝶野正洋に変身した
「ホンマのあんたはどっちなん?」
って本性がわからなくなるほど
優秀な先輩の演技を一瞬で解いた


『俺の下半身がすごかった』 っていう話。




こんな感じやけど話してみぃへん?


最後まで読んでくれてありがとな^^

コージ♪





























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