数日後、目が覚めたA太くんは状況がわからずパニックと過呼吸をおこした。
お母さんと看護師さんが優しく抱きしめて説明する。
10歳ともなれば、丁寧に状況を説明したら理解できる年齢だ。
「交通事故にあったの。それで怪我をして病院に運ばれたのよ」
お母さんは言葉に詰まった。
そこへお医者さんが来て説明をする。
「A太くん、君の背骨の骨の中にある神経が怪我をしてしまったんだ。その神経は足を動かす神経だったから、今君の足は動くことができない」
A太くんは自分の足の感覚がないことに気が付いていた。お医者さんの話を聞いて納得したのだ。
先生の話を聞いて泣き出すお母さんを見て、A太くんは言った。
「うん、わかった」
お母さんは耳を疑った。わかった…?
「A太、わかってる?歩けないんだよ?車椅子なんだよ?走ることも…サッカーも…でき…できないんだよ…」
A太くんは目に涙を浮かべて行った。
「わかってる!俺、リアル(漫画)読んでたし…」
周りが思うよりもA太くんはずっと大人だった。
つづく