A太くんにかけよると、A太くんの意識はない。
近くを通った医療関係者の方が、応急処置をしてくださっていたらしく
頭は動かさない方がいいとアドバイスされ、ぐったりと倒れたA太くんを抱きしめることも全身の状態を確認することもできなかった。
母親が到着してから5分ほどで救急車が到着した。
母親はすぐに帰るつもりでいたため、財布も携帯電話も持って出ていない。
妹を保育園に送っていかなければならないため、病院に到着してすぐに電話を借りて父親に連絡をとった。
驚いた父親は、妹を連れてすぐに病院へかけつけた。
A太くんはまだ手術中だった。
妹もA太くんに何かあったんだと悟り、とてもおとなしく数時間を待機室でまっていた。
A太君の手術がおわり、主治医から説明があった。
「A太くんは脳挫傷、全身打撲、それに…腰椎の脊髄損傷でしょう」
脳の損傷は今のところ確認できないため、また数日後に安定してからもういちど検査をしましょう。
全身打撲はありますが内臓の損傷と骨折は特にありません。
ですが、腰椎損傷は…
つづく