ある日突然歩けなくなった僕 2

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コラム
A太君が家を飛び出した後に母はA太君が体操袋を忘れたのに気が付いた。
体育が大好きな彼は、体育服を忘れても無理やりにでも体育をするので、いつも泥だらけ、汗だらけで一日過ごし、帰ってくるのだ。

今しがた出て行ったから間に合うかもと、まだ自宅にいる夫と妹に声を掛け、自転車に飛び乗った。

交差点が見えてきたころ、異変に気が付いた。

普段から交通量が多い交差点ではあるがいつもと様子が違う。交通事故だろうか。
『救急車!』『小学生がひかれたぞ!』

嫌な予感がして、急いで向かう。
道路に散乱する破片の中に見覚えのあるキーホルダー。
だらりと垂れた小さな手は昨日爪を綺麗に切れたと自慢してきた手…

近づくにつれてどんどん嫌な予感が的中していることに絶望した。

幼稚園年長の時に買った青いランドセル。
当時は赤いランドセルにするといって泣きながら売り場で転げた。可愛い店員さんに、「青いランドセル似合うなー!」と言われてコロッと気持ちが変わって決めたんだっけ。

ー…それがあんなに泥だらけで転がっている。

我が子は傷だらけで倒れていた。
目を閉じている。

「A太!!!!」

倒れていたのは数分前に元気に家を飛び出していった息子だった。

つづく
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