プライドからの脱却9

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カミングアウト後

 私がカツラを外してから目からうろこの体験をして、自分の頭を笑いの武器にしようと気持ちを入れ替えた事は、一つのプライドから脱却したエピソードになります。
 しかしそれで全てのプライドを捨てられた訳ではありませんでした。知的障害者の入所施設で働き続けていましたが、今度は父が認知症になってしまい夜勤の仕事ができなくなり、また転職することにしました。次は知的障害者の生活介護事業所でデイサービスのような施設です。泊り勤務はなく18時には仕事が終わるという話だったので、働くことを決めたのですが、そこでちょっとパワハラ的な扱いを受けることになってしまったのです。
 毎日のように仕事が終わってから施設長のダメ出しと愚痴聞きを延々と聞かされ、早く帰って父の介護をしないといけないというストレスが重なって、気が付かないうちに鬱病を発症してしまいました。

鬱との闘い

 仕事中、自分が思うように仕事ができないというもどかしさからか、急に涙が止まらなくなり、仕事ができなくなってしまいました。我慢の限界になって心療内科を受診したら、鬱の初期症状であると診断され、医師から仕事を休むように勧められました。鬱と診断されてから休職していましたが、結局退職することにして、そこから約1年半仕事から離れることにしました。おかげで父の介護に専念することができ、父もデイサービスやショートステイを利用することで私の息抜きもできました。
 鬱病とは怖いもので、私の場合は肩から背中全体にかけて重苦しさがあり、なかなか立ち上がれない時も多かったです。初めのうちは理由の分からない倦怠感や発熱に悩まされていましたが、症状も徐々に治まってきました。ただ1年半仕事から離れストレスのない状態で過ごしていると、徐々に気持ちが楽になってきました。

鬱になった原因

 鬱とは誰でもなる可能性があるようですが、私の場合ある種のプライドが影響しているのではないかと思います。
 毎日施設長室でダメ出しと愚痴聞きの連続で、心が病んでしまったのだと思っていますが、当時の私には自分がダメ出しされる事に対してとても敏感で辛く感じていました。今思えば、他人からダメ出しされたところで、その人は自分のすべてを知っている訳ではないですし、何の意味もないと思えるのですが、当時の自分には到底そんなことは考えられず、常に他人の評価を気にしていました。
 私が鬱病を克服した頃には、そのような他人の評価など全く気にならなくなり、相手からどうみられようが自分には関係ないと思えるようになりました。これがある意味プライドを捨てた瞬間なのだと思います。


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