英文の「構造-機能分析」(単文における述部類型)

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 「動詞の分類」を中心に、文の基本構造に関して「理念型」として包括的に分類してみましょう。ほとんどの「文」が構造分類上、次のどれかのパターンに入ります(「構造―機能分析」)。

パターン1 名詞句+be動詞句
現在ではGod is.のような特別な文でしか用いられません。詩や格調高い表現にかろうじて残っていると言うべきでしょう。

パターン2 名詞句+be動詞句+名詞句
My name is Tom Brown.やSeeing is believing.のように、いわゆる「A=B」の文がここに入ります。

パターン3 名詞句+be動詞句+形容詞句
Mary is kind.などですね。これをMary is a kind girl (woman).と言い換えられるように、パターン2・3は従来「第2文型」に分類されてきました。また、be covered with~やbe interested in~といった「受動態」から生まれたイディオムも、これに入れていいかもしれません。ただ、この場合、be coveredやbe interestedといった助動詞be+過去分詞が動詞句であるとすればパターン13の「名詞句+状態動詞句+副詞句」となり、これらが一種の「状態動詞」として機能し、その後に名詞句を取ると見ればパターン7の「名詞句+状態動詞句+名詞句」のパターンとなるでしょう。これはcoveredやinterestedが「形容詞」として意識されているか、あるいは「受動態」が強く意識されているか、「イディオム」としての意識が強いか、といった認知論的意識的問題であると言えるでしょう。

パターン4 名詞句+be動詞句+副詞句
I’ll be back.(戻って来るよ)やHe is there.といった文です。この副詞は形容詞であるという説明もありますが、I’m in the kitchen.のような「前置詞句」=「副詞句」(副詞として機能しているので、副詞句と見ることができます。ちなみに英語ネイティブは「前置詞」と「副詞」の区別がつかないとよく言われます)というケースもあるので、「副詞句」は「副詞句」として捉えた方がいいでしょう。「5文型理論」では「第1文型SV」と見なされ、余りに問題があるので、「7文型理論」では「SVA」としてパターン化されました。

パターン5 名詞句+be動詞句+動詞句
The concert is to be held this evening.(音楽会は今夜開かれることになっている)のように、be to doは「法助動詞」のように機能し、「予定」「運命」「義務・命令」「可能」「意志」などを表わします。形式ばった言い方で、名詞句・形容詞句・副詞句が続くパターンよりはるかに少ないと言えます。形式的には従来の「第2文型」に似ていますが、内容的にはうまく重ならないため、be toを「助動詞」としてとられ、be to doで「動詞句」を形成していると見ればいいでしょう。

パターン6 名詞句+状態動詞句
 I see.(分かりました)やYou don’t understand.(君は〔事情が〕分かっていないんだ)といった例を見ることができますが、あまり多くありません。後者の例もthe situationなどが省略された他動詞用法に由来するものと見ることができます。やはり、「状態動詞」は「状態語」(状態の内容を表示・説明する語)を要請するのが基本だと言えるでしょう。あるいはThe two regions differ.でもいいわけですが、実際にはThe two regions differ in religion and culture.(両地域は宗教と文化が異なっている)という方が自然でしょう。

パターン7 名詞句+状態動詞句+名詞句
I belong to the club.のようなケースです。この場合、belongとtoのリンク度は高く、toは「名詞句」の前に来る「前置詞」と言うより、「動詞」の後についてその意味を規定する「後置詞」と見た方がいいでしょう。「5文型理論」ではbelongは自動詞なので、この文も「第1文型SV」になってしまいます。「動詞句」という観点で概念拡張すれば、「第3文型SVO」と見ることができますが、ここで「状態動詞」が要請している「名詞句」は「状態語」であり、パターン16(これも「第3文型SVO」です)の「動作動詞」が要請している「名詞句」は「目的(動作対象)語」であるので、両者はやはり区別されるべきでしょう。I am aware of the danger.なども細かく分類すれば、パターン3の延長で「名詞句+be動詞句+形容詞句+副詞句」(「8文型理論」ではSVCAとなります)と捉えることもできますが、be aware ofを「イディオム」として「状態動詞句」として捉えれば、パターン7に分類することができるわけです。

パターン8 名詞句+状態動詞句+名詞句+名詞句
これは文例が確認できません。「状態動詞」は「他動性」が弱いということでしょうか。「状態動詞」を広義に取れば、leave A B(A(人)にBを残す)やkeep A B(A(人)にB(物)を取っておく)といったケースを見ることができます。

パターン9 名詞句+状態動詞句+名詞句+形容詞句
I found it comfortable.(それは快適だと分かった)といったケースです。「5文型理論」では「第5文型SVOC」に該当します。「O=C」の関係があるため、このCを「目的格(語)補語」と呼んできました。

パターン10 名詞句+状態動詞句+名詞句+副詞句
I called her at her house but found her out.(家を訪ねたが、彼女は不在だった)といった文例が挙げられます。パターン9と共に「5文型理論」では「第5文型SVOC」に該当し、「O=C」の関係があるため、このCを「目的格(語)補語」と呼んできました。

パターン11 名詞句+状態動詞句+名詞句+動詞句
I saw him enter(entering) the room.といったケースです。動詞句の所には原形不定詞、to不定詞、現在分詞、過去分詞が来たりします。ここに「SV構造」が隠れており、これを「ネクサス」(nexus)と言います。

パターン12 名詞句+状態動詞句+形容詞句
I feel happy.といったケースです。いっぱいありますね。Think big.(デカイ事を考えよう)などもそうです。

パターン13 名詞句+状態動詞句+副詞句
I lived in Tokyo at that time.やShe stayed at home.などですね。He thought hard (deeply).(彼は一心に〔深く〕考えた)などもそうです。

パターン14 名詞句+状態動詞句+動詞句
I like to watch television.などのケースです。to watchはwatchingに置き換えても同じ(特に米語)なので、パターン7のI like him.とほとんど同じと言ってもいいかもしれません。

パターン15 名詞句+動作動詞句
Everybody laughed.(皆が笑った)とか、Years passed.(年月が経った)といった例を見ることができますが、それほど多くありません。

パターン16 名詞句+動作動詞句+名詞句
「第3文型SVO」に分類されるもので、最も多いパターンと言えるでしょう。look atやlook up toといった「自動詞句」も「他動用法」で機能していると見ていいので、She looked at himもShe looked up to him.もこのパターンで捉えていいでしょう。

パターン17 名詞句+動作動詞句+名詞句+名詞句
いわゆる「授与動詞」による「第4文型SVOO」と分類されてきたものです。He gave her a book.などがそれで、最初の名詞句を「間接目的語」、次の名詞句を「直接目的語」と呼んできました。いわゆる広い意味での「授与行為」は、「~に」「~を」という2つの目的語を要請する「動作」であることが分かります。これをHe gave a book to her.と「第3文型」に書き換えると、若干ニュアンスが変わります。いずれの目的語を主語にしても「受動態」が成立するケースがあることから、「他動性」の影響力の強さが伺えます(全ての「他動用法」において「受動態」が成立するわけではありません)。他にもcall A B(AをBと呼ぶ)やname A B(AをBと名付ける)もこの形式に入りますが、これらは「~を」「~と」という2つの目的語を要請する「動作」であると見ることができるものの、Bを主語にした「受動態」は成立しません。「5文型理論」では「第5文型SVOC」に該当し、「O=C」の関係があります。

パターン18 名詞句+動作動詞句+名詞句+形容詞句
No wise bird makes its own nest dirty.(賢い鳥は自分の巣を汚さない)などが挙げられます。「5文型理論」では「第5文型SVOC」です。

パターン19 名詞句+動作動詞句+名詞句+副詞句
He always leaves everything in order.(彼はいつも何もかもきちんとしておく)といったケースです。「5文型理論」では「第3文型SVO」になりますが、この「副詞句」は「修飾語句」ではなく、「不可欠要素」なので、「7文型理論」では「SVOA」と位置付けられます。

パターン20 名詞句+動作動詞句+名詞句+動詞句
I want him to be honest.(彼に正直になってほしい)とか、The black suit made Susan look thin.(黒いスーツがスーザンを細く見せた)やNo one can get the car to start.(誰もその車を発進させられない)といった、いわゆる「使役動詞」のケースが挙げられます。「5文型理論」では「第5文型SVOC」に分類され、名詞句と動詞句の間に「SV構造」(ネクサス)が隠れているケースとなります。

パターン21 名詞句+動作動詞句+形容詞句
He fell asleep.(彼は寝入ってしまった)といったケースです。

パターン22 名詞句+動作動詞句+副詞句
He acted strangely.のように「副詞句」が無いと動詞の意味内容が完結しないというケースです。「5文型理論」では「第1文型SV」となりますが、これでは不備なので、「7文型理論」では「SVA」と分類されました。

パターン23 名詞句+動作動詞句+動詞句
 I want to have some apple pie.(私はアップルパイが食べたい)といったケースで、to不定詞の名詞的用法と見て、「第3文型SVO」に分類されてきました。
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