統語的機能による動詞の分類①(動詞句の次に要請する語句の種類)

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 英語の単文における基本構造は「主語+述語動詞」であり、具体的には「名詞句+動詞句」という語順になっています。この後に何が来るかで「文型」を分けてきたわけですが、厳密に言えば、これば「文型」(sentence pattern)というより、「動詞による述部類型」ということになるでしょう(しかも、あくまで「単文」のケースです)。「5文型理論」の原点たるオニオンズも元々「文」(sentence)の「型」ではなく、「述部」(predicate)の「型」として、V, VO, VC, VOO, VOCの5つを挙げたのでした(Advanced English Syntax ,1904年)。日本にこのオニオンズ理論を導入した細江逸記も、「文型分類」は文全体の構造というよりも、むしろ「述部の構造」を分類するものとして提案しており、動詞が5種類であるから、結果として文型も5種類であるという考え方を示しています(『英文法汎論』1917年)。
 ここで文を構成する「内容語」と「機能語」という「品詞」概念に立ち返ってみると、文の内容を決定する要素を持つ「内容語」には「名詞」「動詞」「形容詞」「副詞」があり、それ以外は「内容語」のつながりを示す「機能語」とに分類されるわけで、「5文型理論」は「名詞」「動詞」「形容詞」の3つだけが「文の主要素」(主語S、述語動詞V、目的語O、補語C)として考察され、それを補完しようと試みたクァークの「7文型理論」では、「副詞」の中には「文の主要素」たり得ない「修飾語M」以外に文の構成上不可欠な「付加語A」があると見て、「内容語」の4つ全てを「文型理論」に組み入れたことに特徴があると言えます。さらに1単語たる「品詞」ではなく、実際の機能面から「句」に着目すると、「名詞句」「形容詞句」「副詞句」「動詞句(具体的には不定詞・分詞といった準動詞の形となります。一方、同じ準動詞たる動名詞は名詞句化していると言ってもいいでしょう)」の4つが考えられ、これに「φ(空集合)」を加えると、「名詞句(S)+動詞句(V)」という基本構造の後に要請される語句として「φ」「名詞句」「形容詞句」「副詞句」「動詞句」の5つのパターンが理論的に想定されることが分かります。もちろん、これは「理論値」「理論形式」であり、実際に「実際値」「現実形式」として慣習的に定着したものは一部であって、全てのパターンは同列ではありません。逆に言えば、「内容語句」の観点からして、理論的にこれ以上のパターンはあり得ないと見ることもできるでしょう。
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