連続とネットの話

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ついさっきブログを書く事を始めたような気でいるのですが、もう 3 週間近くも毎日書いてるんですね。
そんな私のブログですが、こちらの記事で
化学がどんな学問か定義してみよう というくだりがありました。

同じようにして数学についても考えてみると以下のようになるのではないでしょうか。

数学とは無限を扱う学問である。

限りなく大きい、限りなく小さい、無数に多い...
数学ではこのような無限に関する話題を常に扱うことになりますので、上の定義は結構的を得ていると思っています。

今日はその無限の話題の中でも、限りなく近い についてのお話です。


この話を始めるためには数列の収束についてお話ししなくてはなりません。
皆様、数列がどのようなものかご存知でしょうか?

例えば、

1, 2, 3, 4, 5,... 。

これは an = n という数列になっています。
 (本当は a の左下に小さく n が来るように表記します。
TeXの記号ですと a_n ですね。TeXについてはこちらの記事をどうぞ。

このような添字の自然数 n に対して数字が一つ定まるような対応のことを数列と呼ぶのです。

ここでの数字とは例のような実数でなくとも、ベクトルでも複素数でもなんでも大丈夫です。
平面ベクトルを考えておくと後の話を理解しやすいかもしれません。
大体ですが、二点間の距離が定義できることが重要だと覚えておいてほしいです。

数列そのものを表したいときは { an }n∈N(自然数) と書いたり、略して { an } と書いたり、さらに略して an とだけ書いたりします。
 ( ほんとは \{ a_n \}_{ n \in \mathbb{N} } と書きたいですね。)

そして、数列 { an } が a へ収束するというのを

lim an = a

と書くのです。
 ( lim の下に本当は色々入ります。 \lim_{ n \rightarrow \infty } a_n = a です ハイ。) 

ここでさらっと収束という言葉を使いましたがこれが何か説明すると次のようになります。

何でもよいので正の実数 r を一つ取る。
a を中心とした半径 r の円を考える。
この時、ある自然数 N が存在して n > N となる任意の n に対して an は上記の円の中に入っている。

この様子がどのようなものなのか想像しづらい方は紙に書いてみるとわかるようになるかもしれません。
a という点の周りに an という点が密集していくような状況になっています。 

そして、この収束の概念を用いて定義されるのが次の超重要概念である連続というものになります。

関数 f が点 a で連続であるとは、a に収束する任意の数列 { an } に対して
f( lim an ) = lim f( an )
が成り立つことをいう。
任意の点で連続な関数を連続関数と呼ぶ。

こちらの連続の定義は高校などでもよく目にするものです。
ここまでの話題で高校から大学 1 年生くらいの解析学のお話をしてきたことになります。


ではこれで何かの拍子に連続の話題が出てきたとき困らずに済むでしょうか?
...ビミョウです。

ではどうすればよいか?
...ネットの出番です。

定義 (ネット, 有向点族)
有向集合 Λ から位相空間 X への写像を
(位相空間 X 上の Λ で添字付けられる) ネットと呼び、{xλ}λ∈Λ などと書く。

数列における自然数が有向集合 Λ に、数字の空間が位相空間 X に変わっている という事が見て取れるのではないでしょうか。


数列さえ使うか怪しいのにネットなんてなおさら
という方もいらっしゃるかもしれませんが、このネットを使うと役に立つことも多いのです。
ここでは書きませんでしたが、ネットの収束というものも数列とほとんど同様に定義でき、そこから連続の概念も簡単に持ってくることが出来ます。

弱位相を持つ空間 というものを考えるときには数列では間に合わないことがあり、ネットを使うことで連続性などを議論するときの見通しが良くなったりするのです。


数学とは無限を扱う学問である。
と最初に書きましたが、その無限を取り扱うためのツールの一つとしてネットを紹介してみました
というお話でした。
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