「マンガでわかる認知行動療法」大野裕著

記事
学び
この本は認知行動療法の第一人者である大野裕先生による「こころ支援のいちばんやさしい入門書」です。
以前も読んでるので読み直しになりますね。マンガ3割、文章7割といったところでしょうか。
マンガはオムニバス形式で各章ごとに違う人が主人公になって、序盤にセミナーで出会った講師の大野先生の教えを実践していく形で進んでいきます。

第1章 認知行動療法とは

ストレス対処のステップ
 ①こころと体の警報に気づく
  ・落ち込むことが増えた
  ・今まで好きだった趣味を楽しめなくなった
  ・夜眠れない。もしくは寝すぎてしまう
 ②立ち止まり、起きている出来事に目を向ける
  ボックス法
  ・頭の中で「1、2、3」と数えながら鼻から息をする
  ・「1、2、3」と数えながら息を止める
  ・「1、2、3」と数えながら口から息を吐く
  ・「1、2、3」と数えながら息を止める
 ③とっさに浮かんだ考えに目を向ける
 ストレスを強く感じるような出来事や自分が苦手にしている出来事に出合った場合には、極端な考えをしてしまい、気持ちが動揺して、さらによくない可能性を考えるという悪循環(落ち込みの渦)が起きていて、つらい気持ちが続くことになります。
 この悪循環を止めるためにはとっさの判断が現実的なものかどうかを検討する必要があります。
 ④期待する現実に向かって行動する
 私たちの気持ちが動揺するのは、「こうあって欲しい」と期待していた現実と違う現実が目の前に展開しているからです。今起きている現実をきちんと受け止め、どうなることを自分が期待していたのかを意識する必要があります。

支援者の役割
 こころの力を生かせるように支援者がサポートする

第2章 認知を見直す~面談と認知再構築法~

面談の流れ
 導入・気分や出来事を振り返る
 ↓↓・具体的な問題(アジェンダ)を設定する
 相談・問題解決を妨げている認知や行動を明らかにする
 ↓↓・アジェンダについて話し合い、それに対処するためのスキルを選択する
 総括・面談を振り返り、ホームワークを決める
   ・セッションをまとめ、疑問点がないかを確認する

面談の流れ(詳解)
 相談者の状況を具体的に聞く
   ↓↓
 共感しながらアジェンダ(解決に取り組む問題)を設定する
   ↓↓
 相談者の工夫を聞く
   ↓↓
 相談者の工夫に関するスキル教育
   ↓↓・考え…認知再構成法
     ・行動…行動活性化
   ↓↓・問題解決…問題解決技法
     ・相談…コミュニケーションスキル
   ↓↓・その他…言語化
 解決できていない問題を聞く
   ↓↓
 解決できていない問題への対処策を考える
   ↓↓
 考えが邪魔をしている時→認知再構成法
 回避行動をしているとき→行動活性化
 解決法がわからないとき→問題解決技法
 1人で頑張りすぎているとき→伝え方を工夫しよう

話題を決めて問題に対処する
 1回の面談では1つに話題を絞る。

会話のポイント
・会話の際の基本姿勢
 ①共感的姿勢
 ②ソクラテス式姿勢

・原因探しではなく、手立て探し
 「なぜ=WHY」ではなく「どのように=HOW」と問いかけるようにする。

・支援者の考えを押しつけない
 相手の状況や気持ちをまとめるのは決めつけでしかない。
 支援者が話をまとめるのは、自分の話がわかりにくいからだと相談者が考えて、自分を責めるようになる可能性もあります。そうしたことを避けるためには、支援者が言ったことはあくまでも支援者の考えだということを示すようにします。
メンタルヘルス不調のメカニズムと支援のポイント
 メンタルヘルス不調は、一般に、大きなストレスを感じたり、いくつかのストレスが重なり合ったりしたことがきっかけで生じてきます。
 まず必要な関りは、可能な範囲でストレスになることを減らし、まわりから効果的な支援ができる仕組みを整える環境調整です。それでもつらい気持ちが続く場合や精神的な悩みが深い場合には、薬物療法が行われます。

<中略>

認知再構成法
 つらい気持ちになっているときにはよくない可能性が現実以上に大きく見えて、思うように行動できなくなることがあります。そうしたときは、自分から距離を置いて、自分が置かれている現実に目を向けて情報を集めます。

「かんたんコラム」でこころを客観的に見る
※かんたんコラムは本書をぜひご覧になってください。
コラムに書き出すメリット
 ・書くことで気持ちが楽になる
 ・書くことで考えが整理できる
 ・自分を客観的に見られるようになる

1.状況
つらくなった現実場面を切り取る
 ↓↓気持ちが動揺した具体的な場面をスナップショットのように切り取るように切り取るように書き込むことが大事です。

2.自動志向
頭に浮かんだ考えに目を向ける
 ↓↓何かが起こったとき、「とっさに頭に浮かんだ考えやイメージ」を「自動志向」と呼びます。
思考のエラーに気づこう
現実離れした極端なマイナス思考に要注意
 問題にうまく対処できなくなっているときの考えには、「決めつけが強い」ことと「今に目が向いていない」ことの2つの特徴があります。
自動志向の見つけ方
①状況が曖昧になっていないかを再確認する
②否定的に認知の3徴を自分・周囲・将来の視点から質問する
認知によって感情、行動が変わる
認知、感情、行動はワンセットで働く

3.適応的思考
問題解決につなげる適応的思考とは?
自動志向を裏付ける「根拠」と自動志向とは逆の「反証」を集めることで、現実的で適応的な思考を探すことができます。
シナリオ法を使って極端に考えてみては?
「シナリオ法」とは、最良のシナリオと最悪のシナリオを考えてから一番現実的なシナリオを考え出す方法です。
視点を変えて考えてみる
・第三者の立場で自分に質問する
・過去や未来から自分に質問する

4.気分の変化
気分の変化をチェックしてみよう
気分が変わらないときは記入事項を再チェック。「状況」の欄には、具体的な場面が書き込まれているでしょうか。

5.今後の課題
期待する現実に少しでも近づく。ネガティブ感情はアラームです。一方でポジティブな感情はアクセルの役割を果たします。

思考に影響する「スキーマ」に気づく
誰もが独自の信念や考え方のパターンを持っていて、それが自動思考、つまりとっさの判断に影響を与えています(スキーマ)。
スキーマを見つけるチェック
 ・自分
 ・周囲との関係
 ・将来

第3章 行動を見直す~行動活性化~

体からこころにアプローチする行動活性化とは?
行動を通してこころを元気にする
私たちのやる気は、楽しいことややりがいのあることをして脳の報酬系を刺激することで生まれてきます。

心が軽くなる行動を見つける
最近の行動を振り返るように勧めて、行動によって気持ちが変化していることに気づけるように手助けします。
活動記録表を使って行動と気分をモニタリングすることが役に立ちます。

健康行動を増やしていこう
楽しい気持ちになったり、やりがいを感じたりする活動を増やすように行動計画を立てていきます。
楽しみや喜び、やりがいを感じる健康的な活動を増やせば、考え込んだりするような好ましくない活動は自然に減っていきます。

健康行動が浮かばないときは?
今までにやったことのある行動だけでなく、やったことのない行動からも選ぶ。過去にやってみて楽しかった行動ややりがいを感じた行動をリストアップしてもらい、そのなかから選んでもらうとよいでしょう。

計画を1つひとつ実践してみよう
相談者自身だけで完結できる行動から始めてもらいます。

行動しても気分が変わらないときは?
考えごとをしながら散歩するのは、散歩ではなく「考えごと」。運動するときは体を動かすことに集中してもらうように伝えます。

行動はデータを集めるための実験
認知行動療法は「行動実験」を大切にします。実際に生活のなかに少しずつ新しい活動を取り入れることで気分が変わるかどうかを確認してもらうようにします。
大切なのは、行動できたかどうかという結果ではなく、「実験」を通して次に生かせるデータを集められたかどうかです。

第4章 問題を解決する~問題解決技法~

問題解決技法のステップ
・問題が発生
  ↓↓
・問題を具体的に絞り込む
  ↓↓
・解決策はできるだけ多く考える
  ↓↓
・一番良い解決策を選ぶ
  ↓↓
・行動計画を立て実行する

問題解決は1つずつ行おう
私たちが自分の力を最大限に発揮できるのは1つの課題に集中して取り組むシングルタスクのときです。

解決策はできるだけ多く考える
「数の法則」というのは、最初に浮かんだ解決策に縛られないで、できるだけ多くの解決策を考えてみようという姿勢です。
ある解決策を使ってうまく問題を解決できないときには、他に解決策がないかを考え直すしなやかさが大事になります。

解決可能性を先に判断しない
解決策を出すときには、「いいか、悪いか」「できるか、できないか」の判断は後回しにして、まず解決策をできるだけ多く書き出すように勧めます。

解決策を1つひとつ検証しよう
解決策それぞれについて、「長所」と「短所」を考えたうえで、その解決策を実行することで問題が解決できる可能性と、解決策そのものがどれくらい実行しやすいかをあわせて考えてもらい、それぞれを10点満点で評価してもらいましょう。

スモールステップでできることから行う
スモールステップを積み上げていくことで、わずかでも変化したことが実感できれば、その達成感や喜びがモチベーションとなり、行動が持続します。

詳細な行動計画を立てよう
さまざまな視点から考え、計画を立てることが大切。解決策を決定した後は、少し腰を落ち着けて、準備の時間をとるようにします。行動に移る前にリハーサルを行っておけば安心です。

実行した行動を評価しよう
行動の結果を振り返り次につなげていく。
問題を部分的に解決した場合、もしくはまったく解決しなかった場合には、新たな解決策を考え、取り組んでいけるように手助けしていきます。

行動すると認知や気持ちも変化していく
問題解決技法のメリット
 1.「解決できない」という思い込みから自由になれる
 2.気持ちが前向きになる
 3.「やってみよう」という意欲が湧いてくる
 4.実際に解決に向けて一歩前進できる
 5.現実に実行し、少しでも成果が出れば達成感と自信が生まれる

こころがつらくなったら休息を
問題がなかなか解決しないとき、壁にぶつかったり不安が強くなったりしたときは、気分転換することを提案してもよいでしょう。
自分だけで頑張ろうとせず、周囲の人に手助けをしてもらうことも、うまくいかない状況を打開するのに役に立ちます。

第5章 怒りと不安を管理する

教育現場での実践プログラム
出来事・考え・気分を整理することで、生徒に「気分と行動は考えに影響される」ことを伝えます。
他にも、よりよい人間関係を築くための力を養います。
自分を客観視する力や出来事に柔軟に向き合うこころがまえ、自己コントロール能力が育ってきます。その結果、ストレスからの回復力(レジリエンス)も高まってきます。

怒りの波を上手にやり過ごす
怒りを鎮めるための方法とは?
 ①怒り状態から距離を取る
 ②怒りのエネルギーを、問題を大きくしないように分散する
 ③好きなこと、楽しいことをする
 ④身近な人に腹の立った出来事を話し、受け入れてもらう
 ⑤本当に一方的で不当なのか、相手の立場に立って考えてみる

アサーションのスキルを学び「ほどほどの言い方」を見つけよう
みかんていいな
 ・❝み❞たこと〈客観的事実・状況〉
 ・❝かん❞じたこと〈自分の気持ち〉
 ・❝てい❞あん〈提案〉
 ・❝いな❞〈否定された場合の代替案〉

「ノー」と言いたいときは伝え方を工夫しよう
そのときの考えを振り返って考えを伝える工夫をする
・「ノー」と言えない状況を「考え」と「気分」に切り分ける
・認知再構成法の「反証」を使って考える

「自分にとって、本当に意味があるのか」を考えると、どの程度の距離感で付き合えばいいかがわかり、適切な話し方が見えてきます。

情緒の関係と力の関係
「情緒の関係」は、お互いの態度や行動が、相手に同じ態度や行動を引き起こす現象です。

自分の気持ちを上手に伝える7つのポイント
 ①自分の気持ちに正直になりましょう
 ②自分の意見をきちんと伝えましょう
 ③穏やかに話すようにしましょう
 ④簡潔に話すようにしましょう
 ⑤相手の意見にも耳を傾けましょう
 ⑥相手の気持ちを大切にしましょう
 ⑦ダメなことはダメと伝えましょう

不安はシャボン玉そのメカニズムを知ろう
 不安が強いときには、最悪の結末を予測する「破局的思考」に支配されています。不安を感じるのは、危険から逃げようとする回避行動をとるのです。

段階的課題設定を使ってエクスポージャーを実施する
エクスポージャーの進め方
 1.最終目標を設定する
 2.課題を書き出す
 3.不安の程度を評価
 4.何回か繰り返す

緊張をやわらげる
漸進的筋弛緩法を使ってリラックスする。楽な姿勢をとって、体の一部に力を入れた状態を10秒ほどキープします。それから一気に力を抜いてリラックスします。力を入れた「緊張」状態と、力を抜いた「弛緩」状態の感覚を、自分の中で感じるように意識します。

【感想】

解説もほぼ見開き完結となっているので、とても分かりやすいです。
またレジリエンスが出てきましたね。もうすぐ読みます。
あと、アサーションも出てきました。近々アサーション週間でみっちりやろうかとも思っています。
書いてみるとなかなか大変でしたが、サクッと読めると思います。
ぜひ超超要約版のこちらをご一読いただきましてから、ぜひ本書も読んでみてください。

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心理セラピストtakashi

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