第12話 歩き疲れた

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学び
前前前回からお読みくださいませ。
実話です。

私は歩き続け、変な行動に出ます。
どうしたでしょう?
「壁とか蹴った!」
違います。
裸足だし、痛いのはこっちです。スリッパだってないです。

自分の置かれている状況がわかるまで、誰か来ないかと、ひたすら歩き続け、なんと!
「たまに、歌い出した」
のです!

どうせ叫んでも、来ないし、閉じ込められていることまでは、察しています。
ならば、それって防音室じゃね?
歌い放題じゃね!?

で、熱唱♪

マジです!
人が死んで、トイレの水のんで、パシパシなコンタクトの目の乾きで、謎の飯配布で体力回復させ、また歩き続き、大熱唱し続ける。ワンマンライブです。
あぁアカペラね。

でもレコーディングでアカペラなんて慣れてますから、上手く歌えているかどうかはわかります。一応10曲は用意するみたいな感じに。

客?
そんなもん居るに決まってんじゃんないっすか?
ナースの防犯カメラです。
ずっと監視されているはずです。
聞こえるかわかりませんが、聞こうとすれば聞こえるんじゃないでしょうか?
コイツ・・・マジで・・・何歌ってるんだろう・・・!?と興味持てばの話です。

かなり、マジな歌なので、鼻歌じゃないなとわかるはず・・・。
熱唱!開始!

届け~!ナースコール~!

2時間を終え、私は、1人ベッドで、息を付いている。
ハァハァ・・・。

マジかぁ・・・、ガン無視か・・・。ひでぇ・・・。神よ!おぉ神よ!

ん?
こ、これって法律違反じゃね?
人権侵害じゃね?

なんでナースコール出ないの?
なんで、誰も何も言ってくれないの?
なんなの?この状況。

夕飯っぽい。
あっ!あの~!すみません
ゴロゴロゴロゴロ(車輪の音)

貪る私。

さて、夜の部、歌うか!

マジです。実話なんだから、しょうがない。狂っているわけじゃないんです。わかってください。

だってそうじゃないですか?
身ぐるみ一つ脱ぎ取られ、閉じ込められている状態で、防音だし、歩くか寝るか、歌うしか無い、話すということもあったりします。
1人で、声に出し、対話。1人二役の会話。

一休さんみたいな、1人問答を始めます。
これってさ、人権侵害なわけで、弁護士呼べば訴えられるというわけであり、監禁とかのレベルであり、医師側は、最低ナースコールに応え、今の状態や経緯を説明してあげるぐらいの義務はある。
と、思う。
私も。

とか、繰り返す。
歩きながら。
次の飯を待ちながら。
でも、昼なのか夜なのかわからないから、夜飯って勝手に書いてしまったけれど、実は、昼で、夜飯が7時間後にあるかも知れない。

かすかな希望と共に。

ペタペタと歩き続ける。
風呂に入りたい・・・。
飯を食べたい・・・。
コンタクトレンズ外したい・・・。(ワンデーじゃない)

状況は、分かった。閉鎖病棟だろう。でも当時は閉鎖病棟なんて存在は知らなかったし、縁がないだろうから、よっぽどの人がよっぽどのことをして、入れられる病院があるんだろうな程度とは、思っていた。
ただし、ここは、その・・・、病院だろう。は、確実に当たっているはずだ。

ただ、それ以外は何もわからない。
ただ、電気はついているので、消灯の時間ではない。
歌って良いはずだし、1人問答で脱出方法を編み出さないとならない。
ナースコールがぶっ壊れてるのか、単に無視なんて、当にわかっている。なぜなら、飯の奴でさえ、取り合おうとしない。ロボットが配布しているように、仕向けた輩がいるんだ。
それくらい、人権が脅かされている。
刑務所の方が楽だ。
飯の時間、話が出来る。

というのも、人は、監禁されるとどうなるのか?体験談から教えましょう。
人は、監禁されると、対話を求めたくなります。
つまり、人恋しいみたいな状態になります。

その状態は、正に、異国の地で、同じ日本人に遭遇したら、絶対に声を掛けるという「懐かしい!仲間じゃん!日本の方?俺もっす!」みたいに絶対喧嘩しない。それほど貴重になる。

さて、1人問答でもしようと、歩き続け、ラストっぽい飯が出てきた。
「あっ、すいませんー!!!」
「はい?なんですか?」
「!?」(返事が返ってきた!!!)んーんーどうしようどうしよう一言
「お水ください!!!!」
「はい、お水ですね?お一つでよろしいですか?」
「お、おふたつ!!!!」
「はい、少々お待ち下さいね」

気がつけば、私は、ガッツポーズしていた。
もう一回、来るという事を得たのだ。
しかも相手は、ロボット用事を終えた後のフリーな状態で、もう一度来る。
チャンスだ。話せるチャンスだ。

さて、考えろ!自分考えろ!なんて聞けば良い?何を聞けば良い?

時間は、配膳後のフリーなタイムで飯担当オバサンらしき人がお水を2つ持ってくる状況だ。
両手が塞がっている。いや、意味ない。そんなポストしかないし。こっちからは開けられない。

お水がくる。生きれる。
違う違う、お水はトイレで飲めているし、生存ではない。
考えろ!何を聞けば良い?
「ここはどこですか?」
どうせ病院に決まってる。刑務所なわけない。
「いつ出れますか?」
給食のオバサンがわかるわけない。医師にご相談くださいが落ちだろう。

歌も飽きたし、1人問答ももう飽きた。ちょっと雑談したい・・・。
私は、いつ何をし、どこであり、どうなるのか?
一日目で、そんな切羽詰まった状態に陥った。
普通医師は来ないのだろうか?
そうだ!この手がある!医師を呼んでほしい…。く、苦しい…。というワンフレーズで給食オバサンにヘルプを呼ぼう!
状態を見に絶対に来るはずだ!

思った通り、オバサンは紙コップ2つを持ってやってきた。
黙っておく矢先、叫んだ。
「す、すみませんが、く、くるしいので、い、いそいで、医師を・・・呼んでほしいです・・・」
「あらま!はい!只今!、お、お水ここに置いてありますからね!ね!」

私は、二度目のガッツポーズしていた!



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