人材確保を目的に、社員の奨学金返還を企業などが肩代わりする動きが広がっている。日本学生支援機構の「奨学金返還支援制度」を利用する企業は7月末時点で972社。今夏に千社を超えるとみられる。
JASSOは2021年4月、奨学金の貸与を受けた本人に代わり、企業が奨学金の全額もしくは一部をJASSOに直接僧院できる形で「奨学金返還支援制度」を始めた。活用する企業は当初の65社から増え続け、今年7月時点で972社。利用人数も21年度の813人が22年度は1708人、今年度は7月末時点で2057人と増えている。
増加の背景には、「貸与型奨学金の返還に追われて苦しい」といった声がある中で、採用時のPRになることに加え、直接返還が可能になったことで社員にもメリットが生じる点もある。
制度開始前、社員の奨学金返還を支援したい企業の多くは、社員の給料に奨学金返還分を上乗せして支給していた。上乗せ分は所得税の課税対象となるため、社会が払う税額は上がる。企業がJASSOへ直接送金すれば所得税の対象外となり、さらに原則として標準報酬月額の算定のもととなる報酬に含まれないので、社会保険料が安くなるメリットもある。(引用終わり)