現役銀行員、1級ファイナンシャルプランニング技能士のFPまっくです。
住宅購入を検討している、もしくはもう既にどの銀行に申し込むか悩まれているかた。
当然住宅ローンは人生で初めてという人が大半だと思います。
いくら借りれるの?
金利はなにを選択すればいいの?
など、わからない事だらけです。
一番やってはいけないのは、すべてが勧められるがまま自分で考えず決めてしまう事です。
人生で一番高い買い物は住宅の購入です。
その大事な事をなんとなくで進めてしまうと、あとで知らなかった!
こんなはずではなかった!では済まされません。
では、その住宅ローンの相談は誰にすればいいのか?
どのように判断すればよいのか?
私が銀行員の目線で、経験に基づいて解説させていただきます。
不動産業者の営業マンに相談する
家を購入しようとしたら、まず最初に向かう先は、、そう不動産業者ですね。
条件のあう住宅を探して、では購入申し込みという段階で住宅ローンの話が出てきます。
自然な流れで営業マンに住宅ローンの事をあれこれ相談すると思います。
では、その営業マンに住宅ローンを相談するべきか?
ひとつ言えるのは、不動産の営業マンは住宅販売のプロであり、決して住宅ローンに対して十分な知識を持っているとは限りません。
なかには経験豊富な営業マンもいらっしゃいます。
しかし、あくまでも住宅ローンは購入していただくための手段の一つとなるので、極端な話、家を買ってもらう事が第一優先の説明になりがちです。
場合によりますがそのお客さまのためにならない事を説明される可能性もあります。
例えば
金利は変動と固定はどっちがいい?と質問したらほぼ間違いなく”変動金利”と答えます。
なぜか? それば変動金利のほうが現状金利が安く、毎月の支払額が低く見えるので、買ってもらう手段として、”変動金利”を推してきます。
「今の賃貸の家賃と同じ支払い金額で買えますよ」は営業マンの常套句です。
不動産のチラシにも同じような事がよく書かれています。
間違いではありません。
が正解でもありません。
変動金利はあくまでも”今”時点での金利。 将来金利が上がったら当然今までの家賃以上に支払いする必要があります。
不動産の営業マンは買ってもらうまでが仕事です。
買ってもらう時点では家賃と同じでも、買ったあと金利が上がって毎月の支払額があがっても正直関係ありません。
一つ大事な事をいいます。
あたりまえすぎて忘れがちなこと。
「住宅ローンは借りるときが重要ではありません。借りてからが重要です」
やった!今の家賃と同じ金額で家が買える!はあくまでも”今”だけの話です。
変動金利であればずっと金利上昇リスクを負わなくてはいけません。
将来金利がどうなるか?は誰もわかりません。
今後金利が上がらないとその営業マンが保障してくれますか?
自己責任の一言で終わります。
さらにもっと、わかったような言い方であれば、一例として
「変動金利でも安心していいですよ」
「銀行の決まりでどんなに金利があがっても、当初の返済額から125%までしかあがりません」
「なので、金利があがっても心配しなくでいいですよ、金利が安い変動でいっときましょ!」
とかるーく説明してるところをよく見かけます。
他行の銀行員のかたも似たような言い回しをしているところもあります。
この説明は誤りではありませんが、説明不足です。
とらえ方次第で全く違った解釈になります。
この例であれば金利の上昇幅が125%までしか上がらない?と勘違いされます。
あくまでも”毎月の返済額”が当初返済金額の125%までとなりますので、金利が125%までしか上がらないではないのです。
金利については125%のリミッターはありません。
例えば0.475%金利が半年後にいきなり8.475%になる事もありえます。
ここまで説明して正解です。
なぜここまで詳しく説明する必要があるのか?
例えば、車を購入するとき、年式、走行距離、燃費、性能など細かく確認しますよね?
それと全く同じです。
特に住宅ローンは金額が場合によっては数千万円と高額になります。
そんな高額なお金を”借りる”のです。
その借りるルールを十分理解しないままお金借りますか?
何かあったとき本当に知らなかったではすまされません。
金利の一部の話でもこんな感じなので、不動産業者の営業マンに相談されるのはもちろん駄目とはいいません。
お客さまの場合ここの銀行に審査を出したほうがいいですよ、など経験や知識に基づいて親身に相談される営業マンも大勢いらっしゃいます。
しかし、営業マンの言うことをそのまま鵜呑みにして、勧められるがまま住宅ローンを借りるのは決して良い判断とはいえません。
ファイナンシャルプランナーに相談する
ファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのも手段としてはありです。
私も1級FP技能士の資格を保有しており、資格を取得するためにはお金にまつわる事はほぼ全て学習し知識はある程度あります。
しかし、私もそうですが知識はあるが実務を経験していないと適格な相談は不可能と思っています。
私もFPの資格はありますが株の取引きは実務として経験してません。
なので、私に株の相談をいただいても本当にありきたりな事しか説明できず相談いただいても困ります。
FPと名前がついているから何でも知っているわけではありません。
それを前提に相談するようにしてください。
生命保険会社のFP
不動産会社の事務所や新築分譲マンションの販売ギャラリーなどによく、「FP無料相談」というチラシが置いてあります。また、営業マンからも、ご不安であれば無料でFPに相談できますよ。と勧められる場合があります。
ここでよく紹介されがちなのが”生命保険会社のFP”です。
私も以前、家を購入するときに試しにと相談した事があります。
結論から言いますと、生命保険会社FPの最終的な目的は自社の保険を買ってもらう事です。
そりゃそうです
ただで時間かけて保険会社の社員が相談のるなんて普通ありえないです。
私も相談したところ、最初は現状の家計状況の聞き取りからはいり、当然この聞き取りには現在加入している保険も聞かれました。
そのあと、ライフプラン計画書を提示されて、「住宅購入大丈夫です」と同時に保険見直しの話が出てきます。そのあとは終始保険の勧誘です。
なぜ不動産業者が生命保険会社のFPを勧めるのか?
それはお金の事に関しては不動産営業マンから背中を押されるよりも、FPという肩書がある”お金の専門家”に背中を押してもらったほうが不動産購入に結び付く可能性が高くなるからです。
もちろん、生命保険会社のFPもよっぽど問題があるときを除き、最終的には不動産の購入を勧めてきます。それは、お客さまを紹介いただく代わりに住宅購入の後押しをする事で不動産業者と生命保険概査の利害が一致するからです。
でも一概に生命保険会社のFPがいけないと言うわけではありません。
住宅ローンには団信(生命保険)加入が必須なケースがほとんどで、その点では今入っている生命保険の見直しタイミングともいえます。
その点では生命保険会社FPへの相談は有効だと思います。
独立系FP
FPにはどこの組織に所属してなく、自分で事務所を構えて独立してFP業を営んでいる方もいらっしゃります。
正直、FPの中で一番のお勧めは住宅ローンに精通した独立系FPの方が一番公正公平で的確な相談ができると思っています。
しかし、デメリットとして”相談料”が必要である事です。
相場はおおむね1時間あたり5000円~10000円あたりとなります。
なぜお勧めかというと、組織に属しているFPだとその組織の商品(生命保険会社なら自社保険)を買ってもらう事が最終目的となるからです。
それでは利害があくまでも自分の組織優先にならざるを得ません。
その点、独立系FPは何のしがらみもなく単純にお客さまの事だけを第一優先に考えて相談にのってくれますので、満足のいく相談が可能だと思います。
私としては、費用対効果としては可能であれば一度相談しても長い目で見た場合絶対損にはならないと思います。
なん百万、何千万のお金を借りて家を買うという事は人生において大きな決断を必要とする事です。
自分であれこれ調べて、悩むよりも一度相談してみたら大きなヒントになるかもしれません。
もしご興味があるかたは、「日本FP協会」のホームページ日本FP協会 (jafp.or.jp)からFPの検索ができます。 その検索では「生保」「損保」「証券」に所属するFPを”除外”する事も可能なのですぐ独立系FPを探す事が可能となっています。
しかし、注意点があります。
それは住宅ローンの実務(実際お金を貸す側)を経験していない独立系FPであれば、さまざまな個別具体的な事に関してまでは手が届かない可能性があります。
銀行との相談を掛け合わせる事で、より良い住宅ローンの相談が可能だと思いますので、ご検討ください。
銀行員に相談する
銀行へ出向いて住宅ローンの相談をする事は可能です。
住宅を購入するかどうか、まだ決めてなくても相談できます。
何となく銀行って敷居が高いイメージを持たれている方もいらっしゃいますが、まったくそんな事はありません。大抵の銀行はこころよく相談にのってくれます。
銀行へ相談するメリットはやはり実務を経験しているという事です。
こういった購入動機で買うけど銀行としては問題ないのか?
この物件は銀行として住宅ローンの審査が通るのか?
転職してまだ1か月だけど大丈夫なのか?
などなど、実務を経験していないと答えられない事は実は結構あります。
もちろん、住宅ローンといっても銀行ごとに様々な特色があります。
例えばオプションで入る疾病保証などは銀行によって、保険会社が違ったり、保険料である金利上乗せもあったりなかったり、ほんと様々です。
そういった細かい住宅ローンの個別具体的なことも踏まえて相談できるのはメリットがあります。
また、各銀行が開催している住宅ローンセミナーに参加されても良いかと思います。
セミナーについては各銀行のホームページや支店窓口にチラシなどある場合があるため情報収集してみてはいかがでしょうか。
また、セミナーはおおむね融資担当者が講師をする事が多いので、住宅ローンの一般的な内容やその銀行の特色など具体的な話が聞けると思います。
また、セミナー終了後に個別相談の予約も受け付けしている銀行が多いです。
セミナーで大まかな事を学んで、個別で具体的な相談という流れが効率が良いと思います。
両親に相談する
一番身近で相談しやすいので両親に相談するかたも多いと思います。
自分の子供が家を買うということで、それは自分のことのように真剣に考えて相談に乗ってくれると思います。
親自身も過去家を購入して、住宅ローンを組んだ経験がある方も大勢いらっしゃいます。
その経験に基づいてアドバイスをされるケースもあろうかと思います。
ありがたいです。
しかし、注意が必要です。
その経験は何年前のことでしょうか?
親世代の常識が今は通用しないケースもあります。
「もし万が一住宅ローンの返済ができなくても売って全部返せばいいのよ」
「給料はあがるから住宅ローンは払っていける」
などのアドバイスは親世代の高成長の時代には通用してたかもしれませんが、今の低成長時代には
通用しないと思います。
高成長時代は家の価格や給与は上がるものというのが常識だった時代もありました。
家の価格については、場所や需要の影響もありますが、一般的には経年劣化も踏まえて価格は下がると思ったほうが良いかと思います。
特に新築分譲マンションであれば、入居した時点で売買価格の2割ほどは価値が下がると言われています。それは売買価格に販売費などの経費、不動産業者の儲け分が十分上乗せされているからです。
特に住宅ローンを頭金なしで100%ローンで借りた場合は、売却しても住宅ローンの残債が残る可能性がありますので注意が必要です。
以上の事から両親に相談するのは一番信頼できるので安心ですが、あくまでも一つの参考と思われたほうが良いかと思います。
インターネットで調べる
私も仕事がらいろいろインターネットで住宅ローンのことをリサーチする事があります。
正直、正しい情報もあれば間違っている情報もたくさんあります。
Googleで検索上位にあるサイトでもフツーに間違った記事をあたかも正しい情報のように掲載されているサイトもあります。
例えば、
・住宅ローンの事前審査(仮審査)は銀行が審査して、本審査は保証会社が審査します。
→正解は銀行にもよりますが事前審査も本審査も最終的には保証会社が審査承諾します。
事前審査の内容によっては銀行単独で審査ケースがありますが、原則は事前審査の段階でも保証会社が審査する銀行が多いです。
・勤続1年では住宅ローンを借りるのは無理です。
→昔は最低勤続が1年以上とか3年以上ないと住宅ローン審査の受付が出来ない銀行が多くありました。しかし、現在は勤続数か月でも事前審査受付する銀行が多くなっています。
・団信は銀行が払っているからタダで生命保険に入れるのでお得です。
→団信の代金は金利に含まれてますので、決してタダではありません。
以上のように、特に執筆者の古い経験則で情報発信されていたり、そのサイトの掲載時期が古かったりします。
インターネットで住宅ローンの検索をされる場合は「いつの情報なのか」「発信者は信頼のおける人なのか」などを十分確認してから参考にする事をお勧めします。
YouTubeで調べる
最近YouTubeで知りたい事を調べるかたが多くいらっしゃいます。
文字ではなく動画で解説してもらえるので本当にわかりやすくて助かっています。
しかし、ここでもインターネット検索と同じ理由で注意が必要です。
私が最近住宅ローン関係のYouTubeを視聴してびっくりした動画があります。
「金利は変動金利の一択でまちがいありません!」
「私も〇〇〇〇万円の住宅ローンを全額変動金利にしました!」
と断言してました。
FPさんです。
表現の自由はある程度尊重すべきですが、あまりにもひどいです。
私から言わせれば、
「今から紹介する株は将来絶対値上がりする銘柄ですよ!この株を1点買いで買いませんか?購入するのに数千万必要ですが私が保障します!」
と言っているようなものです。
怪しくて誰も買いませんよね。
住宅居ローンの金利と株では性質が違うので一概に言えませんが、自分の資産に対してリスクを負うという事では同じ考えとなります。
銀行員や常識あるFPなら絶対にこんな言い方はしません。
特にリスクが少なからずある事柄に関しては断定的な事は言いませんし言えません。
それは、発言に責任が伴うからです。
ましてや、目の前にいる人の人生を変える可能性がある事です。
YouTubeは一方通行な発信でかつ動画再生数があっての内容です。
なので、そのような動画配信になるのは否めないですが、全てではありませんが全て鵜呑みにして妄信する事がないように注意が必要かと思います。
まとめ
住宅ローンを相談する場合や調べる場合、いろんな選択肢があり、正直迷います。
一番避けていただきたいのは、「だろう」や「かもしれない」や自分は何事も楽観主義だし、
なんとかなるさ!で惰性で決めてしまう事です。
それで後悔しないなら、それでいいです。
でも、住宅ローンをそんな軽い考えで借りないでください。
特に家族がいらっしゃる方は、自分だけでなく家族にも影響がおよびます。
結果的に家を買わない、延期するというのも選択肢としては持っておくべきです。
買うとなったら、住宅ローンの事を徹底的にしらべて、いろんな人に相談して十分計画を練ってから借りる事をお勧めいたします。