【怪談】第二夜 一人多い

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これは私が高校三年生の時に体験した話です。
身バレ防止のために少しフェイクを交えます。

当時体育の授業は選択方式で、自分のやりたい競技を選んで参加するという授業がありました。
私はバレーボールを選択し、2チーム作れるくらいの人が集まりました。
怪我や風邪で見学していた子達は点数係や審判の担当をしてくれて、点数係1人、審判1人、各チーム7人でバレーの試合をする事に。
私と審判の子が人数を数えてチーム分けをし、それぞれコートに入り試合が始まります。
体育館の半分をバレーボール、もう半分をバトミントンと卓球が使用している形で、競技ごとにネットで区切られていました。
私達はバレーの試合を楽しんでいましたが、1セット目の途中で私が違和感に気づきます。
こちらのチームの数が一人多いんです。
コートの中にセッター1人、スパイカー3人、ミドルブロッカー1人、リベロ2人の配置で試合をしていましたが、向こうのチームより多いと感じました。
一旦試合を止めてもらいその場で確認すると、こちらが多いのではなく向こうのチームが一人足りないという事に気づきました。
始まった時は確かに両チーム7人で始まっていたのに、いつからか向こうのチームが6人になっていたことに誰も気づかなかったんです。
開始前に確かに人数確認は3回くらい行って同じ人数になる事は確認しました。
チーム分けも違和感無く経験者と未経験者を上手く交えてきっちり分けて、開始時も7人ずついたことは審判も確認しています。
途中で誰もコートの外に出ていないことは全員が確認しているので、誰かが途中で抜けたとも考えられないのです。
その場にいた全員がその違和感に気づくと途端に怖くなりました。
明らかに誰かいたのに居なくなっている、それが誰だかわからない。
その怖さはその場で体験した人にしかわからない気味悪さがありました。

先生は誰がどの競技を選考していたか把握していましたが、メモには審判と点数係を含めバレーを選択したのは15人になっていました。
最初の人数を数えた時点でも競技者は14人いて、チーム分けが済んだ後も両チーム7人でやっていましたし、どのタイミングで一人消えたのかもわかりません。
少なくとも試合開始の段階ではきっちり人数は揃っていて、1セット目の途中から居なくなっている。
全員怯えながらも、とりあえずその後の試合は7対6の状態で続けていました。
もしかしてまた1人増えることがあるかもしれないので・・・。

その後また人数が戻る事はありませんでしたが、体育の授業の後は全員であの時誰が居たのかを授業そっちのけで名前を書き出し思い返してみました。
どう考えても最初に集まった人達しかあの場に居ないし、他の子がこちらのコートに来る事もなかった、だけど確実に人数は揃っていた。
結局、誰が居たのか正体を掴む事はできないままその出来事は一種の心霊体験として同級生の中で残っています。

それから私はしばらくはこの現象について調べていました。
あの時人数の変動に気づいたのも私ですし、自分も人数を数えるのを手伝ったので間違いは無いと確信があったので。
すると、ある情報を掴む事ができました。
それは「学校わらし」という座敷わらしの一種で、学校に現れるものだという事。
学校わらしは子供達が遊んでいると知らぬ間に人数が増えていたりする現象の事のようで、まさにこの出来事が一致しています。
当時調べたページは今は存在していないようなので同じ文を引用する事ができませんが、学校が廃校や閉校する際に現れることが多いという一文があったのを覚えています。
実は私達の学校は統合により、私達の代で終わる事になっていたので、状況も合っていました。
今思うと、最後の学生として楽しんでいた私達と最後の思い出を作りに来てくれたのかなとも思います。
バトミントンや卓球は2~4人での競技の為に学校わらしも紛れる事ができなかったのかなと。
人数の多いバレーボールだからこそ、気づかれずに参加できたのだと思うとなんだか腑に落ちます。
あの時は恐怖でいっぱいだったけど、学校わらしの存在を知ってからはなんだか温かい不思議な体験だったなと思います。
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