数年前、私は競泳の選手を対象とした研究論文を読んだ。
題して、「一流の人たちが行っている当たり前のこと」
その題名にこそ、この研究の重要な結論が凝縮されている。すなわち、人間のどんなにとてつもない偉業も、実際は小さなことをたくさん積み重ねた結果であり、その一つは、ある意味、「当たり前のこと」ばかりだということ。
この研究を行なったハミルトン・カレッジの社会学者、ダニエル・F・チャンブリスは、論文でこう述べている。
「最高のパフォーマンスは、無数の小さなスキルや行動を積み重ねた結果として生み出される。
それは本人が意識的に習得する数々のスキルや、試行錯誤するなかで見出した方法などが、周到な訓練によって叩き込まれ、習慣となり、やがて一体化したものなのだ。
やっていることのひとつには、特別なことや超人的なところはなにもないが、それらを継続的に正しく積み重ねていくことで生じる相乗効果によって、卓越したレベルに到達できる」
しかし人は「当たり前のこと」では納得しない。論文を書き上げたチャンブリスが、いくつかの章を同僚に読んでもらったところ、こんな感想が返ってきた。
「なんか地味だよね。もうちょっと面白味がないと。、、、」
その論文について詳しく訊きたいことあり、私はチャンブリスに電話で連絡を取った。
すると、いくつかのことがわかった。そもそもチャンブリス自身が、以前は水泳の選手だった経験があり、そのあと数年間はコーチのアルバイトもしていたこと。
そのなかで「才能」とはなにか、また、「才能」について人びとがどのような観念を抱いているかに、強い興味をもつようになったこと。
当時、若手の准教授だったチャンブリスは、競泳の選手たちを対象に、徹底的な定性的研究を行うことにした。
6年間にわたってインタビュー調査と観察を行い、ときには選手やコーチらに同行し、合宿や遠征に参加した。
そして、地元の水泳教室からオリンピック選手育成のエリートチームまで、さまざまなレベルの選手たちを調査した。
チャンブリスはこう述べている。
「私たちは優秀なアスリートを見ると、すぐに才能があると決めつけてしまう。
それこそが一流のアスリートの証だとでもいうように」
そして、一流のアスリートには、「生まれつき特別な才能が、まるで体の一部のように備わっているのに対し、ほとんどの人間はそれを享受できず、肉体的にも、遺伝的にも、心理的にも、決定的なちがいがあると思っている。
才能はある人にはあるが、ない人にはない。
生まれながらのアスリートもいれば、そうでない者もいる。私たちはそう信じている」
まさにそのとおりだと思う。
アスリートであれ、音楽家であれ、わけのわからないほど素晴らしいパフォーマンスを目にすると、私たちはお手上げだと言わんばかりに、
「あれは才能だよ!教わってできるようなことじゃない」
などといってしまう。
言い換えれば、常人の域をはるかに超えたパフォーマンスに圧倒され、それがすさまじい訓練と経験の積み重ねの成果であることが想像できないと、
なにも考えずにただ「生まれつき才能がある人」と決めつけてしまうのだ。
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