【スタートアップ・ベンチャー企業】ビジョンの作り方

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ビジネス・マーケティング
スタートアップ企業やベンチャー企業の経営者は事業が軌道に乗るまでビジネスプランの磨き込みや、資金調達に向けたピッチ資料の作成、営業活動による顧客開拓、イベントへの参加での売り込みなど、日夜精力的に活動し奮闘されていると思います。




ある程度の規模になってきて、事業も軌道に乗ってきたタイミングで、今後の事業を更に拡大させていくにあたり、新たな即戦力メンバーの採用や既存メンバーの教育・育成も同時に実行しなければならないと感じているのであれば、次のステージに到達したと思います。

ただし、人が資産のスタートアップ企業にとってはじめての経験であり、やり方がわからず悩まれる経営者を多く見てきました。

そこで重要になるのが、本題であるビジョンとなります。




ビジョンという言葉は聞いたことがあるが、抽象度が高くてよくわからない、何のために必要なのかいまいちピンとこない、という方が大半だと思いますので、解説したいと思います。



ビジョンとは・・・

経営者が向かいたい姿をステークホルダー(取引先・顧客・従業員・社会)に伝達し、方向を1つに揃えるための強いメッセージを示します。




ビジョンに共感したステークホルダーの興味関心を集め、求心力を高めてより強い組織体へ成長するために必要不可欠なものとなります。


具体的には、自分たちの事業が社会にとってどのような価値を提供して、社会の役に立っているのか?我々の存在意義は何なのか?を明確に心を揺さぶり、情熱を掻き立てる強いメッセージです。




以前は大企業をはじめとして、歴史の長い企業でミッション・ビジョンを作成している例が多かったですが、昨今のサステナビリティやデジタルトランスフォーメーションの外部環境トレンドから、スタートアップ企業・ベンチャー企業であっても新たな市場を創り出すチャンスは多く存在しています。

むしろ柔軟にチャレンジができアジャイルで事業を組み立てていけるスタートアップの方が有利だとも感じます。


スタートアップ経営者が、より貪欲に事業を拡大成長させるための信念・挑戦意欲の熱量を打ち出してビジョンを作成しているケースは増えてきています。




余談ですが、ビジョンと似たような言葉として、理念・社是・ミッション・スローガン・パーパスなど色々な経営に関する用語はありますが、そもそも、経営者が向かいたい姿を表現する方法の定義・ルールはありません。

100人の経営者がいれば100通りの考えがあっていいものであり、正解がなく、正解は創り出すものであるため、事業に込めた思いをミッション・ビジョンのように表現する中身が重要になってきます。







ビジョンの構成要素

ビジョンを作成するにあたって、構成する要素を理解して、型に当てはめて想いを整理することが必要となります。

ここでは、構成要素を3つの断面で説明します。




理念とコアバリュー

一つ目は理念とコアバリューです。



経営者がもっとも大事にしなければならない価値観の洗い出しが必要です。信念と言い換えるとわかりやすいかもしれません。

事業活動を進めるにあたって大切にすべきもので、会社が得た利益は目標でなく、コアバリューを実現させるために必要なものとして位置付けられます。




パーパス

二つ目はパーパスです。




抽象度の高い概念で、実現できたのか判断できないような表現になるものが多いです。会社が目指す世界観を示したものとなります。

コアバリュー(価値観)から湧き出るもので、会社の存在意義を明確に表した、いわば北極星として表されるものです。




なぜやりたいのか?なぜその事業に全精力を捧げるのか?私たちが存在しなくなったら世界にどんな影響を与えるか?などを考慮して、パーパスを作っていきます。




経営者が会社を立ち上げる時に、何かしら熱い想いを持っていると思います。すべての会社にパーパスは存在していると思いますし、言語化できていないケースがほとんどのため、丁寧に言葉を選んで積み上げていく必要があります。




ミッション

さいごにミッションです。




パーパスは実現できたか判断がつきにくい抽象度高い概念ですが、ミッションは実現可能なやや具体的な内容にする場合が多いです。パーパスを具体化していくようなイメージとなります。




心を揺さぶり、情熱を掻き立てる表現にする必要があり、信念・挑戦・意欲をミッションの中に盛り込むべきです。

このミッションは時間軸の置き方も重要になり、掲げたミッションを達成できれば、パーパスに立ち返り、改めて作り直し塗り替えていくことが必要となります。







ここまでに描いた「理念とコアバリュー」、「パーパス」、「ミッション」を下敷きにして、ビジョンを作成というステップになります。







ビジョン作成のポイント

次に、具体的にビジョン作成にあたって留意すべきポイントについて解説します。




色々な会社のビジョンを見てみると、一文でワクワクするようなかっこいいメッセージで表現されているものが多いですが、中身は緻密に設計されているケースが多いです。

例えば、以下のような問いに答えています。

私たちが大事にしなければならない価値観は?

私たちの存在意義は?いなくなった場合の社会への影響は?

外部環境の変化を受けてどのような社会課題が起こりうるのか?

その社会課題に対して私たちの強みをどのように生かしていくのか?

企業のありたい姿・目指す姿は?

誰に対してどのような価値を提供していくことで永続的な発展に貢献できるのか?

具体的な事業のアプローチをどのように考えているのか?

地域・国への展開をどのように考えているのか?

組織としてどのように強くなっていくのか?

どのような人財の集まりでありたいか?




必ずしもすべての内容を盛り込む必要はありませんが、これらの命題に対してどのように対峙するのか、文章として考え・想いを整理して、短くまとめたものがビジョンステートメントになります。




作成するとおそらくなんどもブラッシュアップが必要になり、色々な人から表現の仕方、言葉の使い方など工夫を凝らして、最終的には簡潔に具体的な表現できることが大事になります。




そこで、ビジョン作成の5つの留意点についても説明します。




構成要素との繋がり

前段で説明した構成要素の「理念とコアバリュー」、「パーパス」、「ミッション」を土台にして、検討を進めること。

ステークホルダーの視点

外部環境変化や自社の強みを考慮して、どのようなシナリオが想像され、顧客や社会、従業員にどのような価値を提供するのかを議論すること。

特に、価値提供では、Will(提供したい価値)、Can(提供できる価値)、Must(提供しなければならない価値)の観点から検討が必要です。

具体的な表現

抽象度の高い議論ですが、なるだけ具体的に表現をしていくことが求められます。

作成したビジョンに基づいて目標が立てられるか、がポイントになります。

数字は結果

数字を盛り込むことは否定しませんが、数字はあくまで結果指標なので、数字を達成した暁にはどのような世界が創造できるのか、を明確に表現する必要があります。

端的にわかりやすい言葉

メッセージとして記憶に残り、定着化しやすいように、一文で表現するなら50−60文字程度。3行までに収めた方が視認効果も上がり、定着率が向上すると考えられます。(もちろん裏側には文章としての意思が存在した上です)







さいごに

ビジョン作成は非常に難易度が高く、時間もかかります。

経営者一人で考えるというより、周囲の社員を巻き込んで全社一丸となった熱量あるものとして作成していくことが大事だと考えます。




会社経営という大海原で苦労や困難も多くのしかかりますが、従業員やパートナー企業、取引先、顧客などのステークホルダーから信頼を獲得し続けるためには、明確なコンパス(ビジョン)を指し示す必要があります。




多少の荒波で崩れるような小さな視点ではなく、世の中を変える大きな目標を持って、突き進んでいくことが何よりも重要で、経営者のリーダーシップとコミットメントが強く求められます。




なんども議論を重ね、芯のある強いビジョンを作れるよう、頑張ってください。
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