1、はじめに
この度はブログ『アーティスト向けSNSブランディングとプロモーション』をご覧いただきまして誠にありがとうございます!
このブログは、好評をいただいていたココナラで販売していた「アーティスト向けSNSの使い方」をより幅広い方向けにブログとしてまとめ、より多くの方に見ていただけるようにしたものです。個別でのアドバイスは含まれていませんが、大枠の部分でさまざまなアーティストの方の参考になるのではと思っています。
僕は音楽業界でマネジャーとして、そしてプロデューサーとして活動してきました。発掘育成したアーティストも数多くおり、半分以上はメジャーデビューし、2組はオリコンランキングの10位以内に入るまでになりました(うち1組は3位)。さらに番組制作のディレクターや作家の経験もあります。その過程で自分が担当してなくてもたくさんのアーティストの方と接し、デビューからヒットするまでを間近で見てきました。そんな経験を踏まえてこのブログを書いています。
こちらはあくまで僕の主観をもとに描かれています。このブログでご紹介している以外にも方法は無限にあると思います。僕のブログで必要だと思った部分、役立ちそうな部分などを参考にしていただければと思います。あとはそれぞれアレンジしていただいたり、自分なりのスタイルを見つけてもらえればいいなと思います。
基本的なことですでに知っていることも多々あると思います。ですが、実際に行動している人は少なかったりします。そんな方はぜひ行動に移してください。
アーティスト活動において、レコード会社の力・事務所の影響力が少なくなり、どんどんとアーティスト主導になっている現在において、少しでも皆さんの音楽活動のお役に立てれば、そしてより多くのファンの方に音楽を届けるお手伝いができれば嬉しい限りです!!
2、まずは自分の目指すべき目標(ベンチマーク)を決めよう
「オレはオリジナルを目指すんだ!」「人の真似をしたくない!」こんなこと思ってませんか?でもこれ実際はやめた方がいいです。
そもそもみなさんが作る音楽は必ず何かから影響を受けていますし、今まで聴いてきたアーティストや音楽の影響を無意識だったとしても受けています。
まずは自分が将来的になりたいアーティストをベンチマークとしてピックアップしてみましょう。
ピックアップするときの条件は以下になります。
・邦楽のアーティストであること(国内で活動する場合)
・最低5アーティスト程度をピックアップする(できれば10アーティスト)
・自分の目指すゴールにいるアーティストを1〜2組
・現在地より少し先行している先輩を3〜4組
これを条件にして探してください。
自分の憧れているアーティストは誰なのかを思い出してください。
そしてピックアップしたアーティストをベンチマークとして設定し、そのアーティストを徹底的に調べてください。調べる条件は自分自身で探していただいてもいいですが、僕は以下について調べていました。
🔶音源
・今までに出したCDや音源を全て聴く
・作詞作曲は誰か
・楽曲のジャケット写真はどのようなものか
・どのくらいのペースで音源をリリースしているか
・楽曲の曲調や歌詞はどのようなものか
・楽曲での強みは何か(歌詞、メロディ、歌唱力、声質など)
・MVはどのような内容が多いか
・MVはお金がかかってそうか
・配信は行っているか
・すべての楽曲が配信されているか
・YouTubeにMVや音源は上がっているか
🔶ライブ
・今までにライブをしてきたライブハウスはどこか
・どの音源のタイミングでどこでライブをしていたか
・チケット販売価格はいくらか
・パフォーマンスの内容は
・MCは何をはなしているか
・グッズはどのようなものをいくらで販売しているか
・どの程度売れているのか(わからない場合は予想する)
🔶Official site
・どのような印象のサイトか
・どのような内容を記載しているか
・更新頻度はどのくらい
🔶ファンクラブ
・金額はいくらか
・どのようなコンテンツがあるか(ファンクラブ限定のもの)
・会員数は何人か(わからない場合は予想する)
・1ヶ月の収益は(わからない場合は予想する)
🔶SNS
・どのSNSを使っているか
・どのSNSが一番更新頻度が高く、メインか
・どの層がコメントをしているか
・フォロワーはどのくらいでどんな人たちがフォローしているか
・どんな内容を投稿しているか
🔶事務所・レコード会社
・事務所やレコード会社はあるか、あるならどこか
・担当者は何人くらいいるか(音源のクレジット表記、SNSチェック)
・契約条件はどのようなものか(知り合い経由、予想など)
・事務所・レコード会社との契約は何年か(契約して何年くらい経つか)
・その会社内でのプライオリティは高いか
わからないことや情報が公開されていないこともたくさんあると思います。
ですが、ひとまず上記をざっと調べておいてどのようなアーティストの方向性や売り方をしているのか、何が人気なのかを把握するようにします。
3、SNSをハックする
上記でベンチマークを設定しアーティストについて調べたら、今度はSNSの使い方を調べます。先ほど調べたものをさらに深ぼっていきましょう。
チェック項目は大まかに以下になります。
・SNSの更新頻度
・投稿内容
・フォロー数、フォロワー数
・フォロワー属性
・いいね・コメント数
・写真や動画の撮影方法
・動画の尺は
・動画の画質は
・プロフィール分の内容は
・プロフィール写真はどのようなもの?
先ほど決めたベンチマークアーティストのほかに、必ず各SNSでどのような音楽系のインフルエンサーが人気なのかをチェックして上記の項目をピックアップしておきましょう!
SNS運用にあたっては上記が非常に重要になります。
ちなみに参考までに各SNSの情報を載せておきます。
自分たちがどのSNSを選んだ方がいいのか、狙っていきたいユーザーや自分自身の強みなどを考慮にして選んでみてください。
🔶X(旧Twitter)
アクティブユーザー数(mDAU):2億3780万人(2022年7月)
月間アクティブアカウント数(日本):4,500万超(2017年10月)
10代の54.3%、20代の78.8%、30代の55.5%が利用(2022年)
🔶Instagram
月間アクティブアカウント数(MAA):20億以上(2022年10月)
月間アクティブアカウント数(日本):3,300万(2019年6月)
10代の70%、20代73.3%、30代の63.7%が利用する(2022年)
🔶Facebook
月間アクティブユーザー数:30億3,000万人(2023年6月)
デイリーアクティブユーザー数:20億6,000万人(2023年6月)
月間アクティブユーザー数(日本):2,600万人(2019年3月)
30代後半〜40代以上を中心にアクティブユーザー多い。大人向けにターゲットをするには有効なSNSと言えるでしょう。
🔶LINE
月間アクティブユーザー数:9,500万人以上(2023年6月時点)
P2Pコミュニケーション以外にも様々な機能があり、オープンチャットなどでの情報交換もファン獲得に利用可能。
🔶TikTok
月間アクティブユーザー数(日本):950万人(2019年)
世界全体のユーザー数:10億人(2021年9月)
圧倒的に日本国内だと10代が多く10代の66.4%、20代の47.9%が利用。
🔶YouTube
アクティブユーザー数(世界):20億人以上(2022年7月)
月間YouTube利用者数(日本):7,000万人以上(2022年10月)
10代〜40代までの約90%が利用する。
4、自分のスタイルを構築しよう
3番でのリサーチのあとは、自分たちのキャラクターやビジュアル、音楽的方向性なども考慮して自分が戦う主戦場とスタイルを模索しましょう。
・ターゲットは誰?(年代・趣味趣向など)
・どのSNSを使う?(前述のデータも参考に)
・投稿するコンテンツの種類(文章中心、写真、ショート動画)
・そのコンテンツの中でどのような方向性や趣向を投稿していくのか
(カバー曲の動画、作曲風景、練習風景、ライブ配信など)
話すのが得意なら話すのを活かした投稿作りを考え、文章が得意なら文章を活かした投稿方法を考えてみましょう。ビジュアルが良ければビジュアルを最大現に活かした見え方を考えるなど、自分が一番強いと思う部分を最大限に伸ばすし、魅力的に見える方法を考えてください。
僕が通常この戦略を考えるにあたって、ポジショニングマップなども活用します。
▪️ポジショニングマップとは・・・市場における自社のポジションを明確にし、マーケティング戦略、商品サービスの差別化、独自のポジションを策定するために用いられるフレームワークの一つ。
とあります。自社を自分たちと置き換えて、強みをきちんと把握し、ライバルと比較してその強みをどう活かせるか、などを明確にしていきましょう。
ポジショニングマップの作り方
1、競合(ベンチマーク)アーティストを選ぶ
2、人気の要因を選び出す
3、軸になるポイントを選ぶ
4、競合(ベンチマーク)アーティストをマップ上に設置
5、自分たちをマップに配置
上記を様々な軸から分析していきます。
ここでは仮にアーティストの状況を設定してポジショニングマップを作ってみます。
『アーティストA』
・メジャーレーベル所属・メジャーレーベル内の事務所所属
・ソロアーティスト
・自分で作詞・作曲している
・声がいいと言われる
・SNS発信はデビュー前からやっていて現在1万フォロワー
・ライブは定期的に行っているが、音源の方が評価が高い
・恋愛をテーマにした曲が多い
あくまで簡易的だが、上記のステータスを設定しポジショニングマップを作ってみるとします。
このように自分たちの立ち位置をビジュアライズすることで、ベンチマークやライバルたちとの差別化ポイントや強みが明確になってくる。