1.「何がどこにいくつあるか」が新人でも分かる整理・整頓を
「ものを探す」に代表されるムダを省くためには、「5S」の徹底が必要になる。
5Sの中で特に重要なのが『整理』・『整頓』である。
トヨタ式5Sの基礎を築いた大野耐一氏の有名な言葉が以下の通りです。
「いらないものを処分することが『整理』であり、ほしいものがいつでも取り出せることを『整頓』という。ただきちんと並べるだけなのは『整列』であって、現場の管理は整理・整頓でなければならない。」
簡単なことに見えますが、実行に移すことは案外と難しいです。
職場でしばしば「整理・整頓をした」と言い、見た目はきれいになっているのだが、「あの品物がいる」というとき、「あれをどかして、これをどかして」と手間と時間をかけないと持ってこられない光景を目にするのではないでしょうか。
トヨタ式の整理・整頓は見た目の美しさ以上に、「何がどこにいくつあるか」が誰もがすぐに分かり、必要なものが使える状態で誰でも取り出せ、「探す」「動かす」「運ぶ」といった「ムダ作業」を省いた状態になるように教育指導しています。
整理と整頓によって職場がきれいになったなら、次に取り組むのが「きれいを維持する」清掃となります。
あるメーカーでは、わずかの埃さえ嫌うデジタル製品を扱うために、徹底した清掃に取り組んだりしています。
床や壁をA2サイズに区切り、役員から管理職、社員が総出で徹底的に磨き上げています。
そうして工場をピカピカに磨き上げたうえで、毎日、就業時間中に15分間ラインを止めて、生産現場、間接部門の人全員が、ほうきやモップ、雑巾を手に清掃に取り掛かるようにしています。
生産性の点からは、清掃は業者に任せ、その間もラインを動かすほうが効率的だと思う人も多いかと思います。
ですが、
「職場の環境は自分たちで守る」という「全員参画」の意識を社員全員に持たせるために、何年も継続している。
「自分たちの職場は自分たちできれいな状態を維持する方針が社員一人ひとりまで浸透しています。
「安全」と「衛生」はすべてに優先する。
社員全員にこうした意識を徹底し、ゴミ一つ落ちていない、埃一つない職場環境が風土になるまでやり続けるのがトヨタ式5S活動の考え方になります。