薬学部生の6年間(薬剤師国家試験編①)

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皆さんこんにちは。今回は最終回であります「薬剤師国家試験編」をお話ししていきます。
国試についてはここまでの記事で情報を出してきていますので、概ね既出の内容となりますが、お付き合いいただければ幸いです。

【おさらい】
現在、薬剤師免許を取得するには、国に認められた薬学部を有する大学に6年間通い、厚生労働省が作成している薬剤師国家試験に合格する必要があります、
薬剤師国家試験の科目は9科目であり、化学、物理、生物、衛生、薬理、薬剤、病態、法規、実務によって構成されています、試験は必須、理論、実践の三部構成であり、科目ごとに点数による足切りがあります、つまり、苦手科目を捨てて諦めることができないということです。合格点は225点以上で、問題数は345問です。
試験は2日間かけて行われ、1日目に必須、一般。2日目に実践の試験が実施されます。
試験は年1回、2月の第4週に実施されます。試験会場は各地方で指定された大学で実施されます。関東では多くが東京の薬科大学など(薬学部を有する大学を含む)で行われます。

【必須問題】
必須問題とは5択から1択を選ぶ形式です。90問あり、63問以上正解しなければその時点で不合格となります。各科目10問あり、科目ごとの足切りはありません。
難易度はさほど高くないと思います。生物、物理、化学は高校の知識+少し薬学知識があれば8~9割程度は正答が選べるでしょう。衛生、薬剤、薬理、法規、病態、実務についても国試勉強を十分していれば8~9割程度取れると思います。
必須問題は総合等得点225点を稼ぐために非常に重要であり、ここで如何に稼ぐかがカギと言っても過言ではないでしょう。このあとお話しする理論問題は非常に難易度が高いのですが、そこで正答率が低くなっても、必須問題である程度稼げていれば、合格するうえで非常に有利です。
ここで実際の問題を見てみましょう。

【物理例題】106回国試より抜粋
単位に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
1. 1mは 1×108nmである。
2. 1kgは 1×106μgである。
3. 1mg/kgは 10 ppmである。
4. 1%は 1×104ppmである。
5. 1nmol/100mLは 1×103pmol/Lである。

ちなみに正解は4番です。ppmについての知識がないと解けない問題ですが、消去法である程度削ることが出来そうですね。

【生物】106回より抜粋
副腎皮質の束状層から分泌されるホルモンはどれか。1つ選べ。
1. コルチゾール
2. アルドステロン
3. テストステロン
4. ノルアドレナリン
5. アドレナリン

正解は1番のコルチゾールです。アルドステロンは球状層、テストステロンは網状層ですね。アドレナリンとかは副腎皮質ではなく髄質です。

【化学】106回より抜粋
求核剤に対する反応性が最も高いカルボニル化合物はどれか。1つ選べ。


化学.png

正解は4番です。炭素の電子量が少ない方が求核反応は生じやすいので4番ですね。


【薬理】106回より抜粋
中枢神経でオピオイドμ受容体を遮断して、モルヒネが引き起こす呼吸抑制を改善するのはどれか。1つ選べ。
1. ドキサプラム
2. ナルデメジン
3. ナロキソン
4. ナルフラフィン
5. フルマゼニル

正解は3番です。この辺は暗記の部分が大きいですかね。それぞれの薬がどんな作用機序なのかが分かれば消去法も使えます。

物理、化学、生物、薬理はこんな感じでしょうか。もちろん、私も合格してから5年以上経過しているので忘れているものや、わからないものもありますが、現在でも解ける問題はそれなりにあります。理系科目を高校時代にしっかり学んでいる人であれば少し勉強すれば物理、化学、生物は解けるかなと思います。

合格後数年は次年度の国試問題を見て解いてみたりしていましたが、時間の経過とともに記憶が薄れていくのを実感していましたね。
最終回と言っておきながら、内容が多くなりそうなので、何回かに分けることにしました。今回は必須問題編とさせていただきます。理論問題は非常に難易度が高く、現役の時も意味不明の問題がいくつもありました。
次回はそんな理論問題と戯れつつ、難しかった思い出に浸りながらお話しできれば幸いです。ではまた。

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