【文献紹介#7】ワンちゃんの老化のマーカーになる?(ニューロフィラメント軽鎖)

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こんにちはJunonです。
本日公開された研究論文(英語)の中から興味のあったものを一つ紹介します。

出典 
タイトル:Neurofilament light plasma concentration positively associates with age and negatively associates with weight and height in the dog
著者: Jackie Perino, Margaret Patterson, Mehdi Momen, Mina Borisova, Amanda Heslegrave, Henrik Zetterberg, Jordan Gruel, Emily Binversie, Lauren Baker, John Svaren, Susannah J Sample
雑誌:Neurosci Lett.
論文公開日:2021年1月23日

どんな内容の論文か?

「健常なワンちゃん(純血種ラブラドールレトリバー)の血漿中のニューロフィラメント軽鎖濃度は年齢と正の相関、体重と身長とは負の相関を示し、BMIとは相関性を示さなかった。」

背景と結論

ニューロフィラメント(Nf)は、軸索を構造的に支持し、脊髄軸索径の調節に寄与しています。ニューロフィラメントは、ニューロフィラメント軽鎖(NfL)、ニューロフィラメント中鎖、ニューロフィラメント重鎖、α-インターネキシンの4つのサブユニットから構成されています。これらのうち、NfLは最も豊富で可溶性が高いため、生体試料中から容易に検出することが可能です。
ヒトでは低レベルのNfLは常に軸索から放出されており、NfLの放出レベルは加齢とともに増加します。また、神経変性疾患や神経炎症性疾患、外傷や血管疾患では高レベルのNfLが放出されます。このことからNfLは、神経変性疾患のバイオマーカーとして注目されています。
またヒト神経変性疾患におけるNfL濃度の使用は、診断精度の向上、予後バイオマーカーとして、また疾患の進行や治療への反応をモニターする手段として注目されています。
今回は健常なワンちゃん(純血種ラブラドールレトリバー)におけるNfL濃度の濃度を調べ、どのようなパラメータと関連しているかを評価したものです。

結果は、以下の点が分かりました。
・血漿ニューロフィラメント軽鎖はワンちゃんの体液(血漿)でも正確に測定することができました。
・加齢とともに血漿ニューロフィラメント軽鎖濃度が上昇しました。
・血漿中ニューロフィラメント軽鎖濃度は身長と体重に反比例しました。
・血漿中ニューロフィラメント軽鎖濃度はBMIとは関連していませんでした。

スライド

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最後に 
ヒトで得られている結果と同様にワンちゃんでもニューロフィラメント軽鎖濃度は年齢とともに上昇し、体重と身長とは負の関連が示されました。よって、このマーカーは加齢のマーカーになるかも知れません。また神経疾患や認知症の検査にも用いることが出来るかも知れません。

おしまいです。
次の記事をお待ちください。

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