本日も記事をご覧いただきありがとうございます。ひろです。
人について考える。
本日のテーマは、
「ケンカ」
です。
突然ですが、皆さんはケンカをしたことがありますか?
口ゲンカでもいいですし、殴り合いのケンカでも構いません。
たいていの人は、
幼い頃から学生。そして、大人になるまでにある程度、ケンカというものを経験してきたと思います。
僕自身、若い時は人に対しての感情をコントロールするのが難しい時期がありました。
クラスメイトとケンカになったり、部活動で先輩から目をつけられたりなど。
僕は一方的に打ち負かされることが多かったので、ケンカに対してはあまりいい経験がありませんでした。
そんな僕が格闘技に興味を持ち始めたのは、20歳を超えてから。
当時、バイト先の先輩に、
「やっぱりケンカは寝技やで」
と言われた事から、総合格闘技を習う事になりました。
「総合格闘技」
この言葉の響きもいいですよね。
職業で言ったら何でも屋みたいです。
どんな状況でも勝利に僕を勝利に導いてくれる格闘技なんだ!
そう思って、喜んで道場に入門したのを今でも覚えています。
道場に入って1ヶ月。道場のみんなとのつながりもできてきて、交流が生まれてきました。
「大山さんは何で格闘技始めたんですか?」
同じ立場の生徒さんに聞かれました。
「ケンカとかになった時、巻き込まれてる感じが多かったので。自分で解決できるようになりたいなと思ったんです」
交流が深まると、自然と言葉が出てきます。
「皆さんはなぜ格闘技を始めたんですか?」
僕も周りの方に聞いてみました。
・僕はやっぱり強くなりたかったからです
・僕はクラブのボディーガードなんで
・年を感じるようになったから運動がてらに始めました
人によってさまざまな答えが返ってきます。
目的は違えど、同じような志を持った仲間たちと、一緒に格闘技を学んでいきました。
道場に入門して、3ヶ月が経った頃。
先生とも仲良くなってきたので、僕が最も聞きたかった質問をしてみました。
「ケンカになったら、一番最初に狙う身体の部分はどこですか?」
先生は僕のこの質問を聞いて、少し戸惑い始めました。しばらく考えた後、真剣な表情になり、僕をしっかり見据えて、
「ケンカですか? 試合ですか? それによって状況は変わると思います」
と真顔で答えてくれました。
「ケンカですね! 試合ならルールがあるんで。でも、プロの人がルール無用で戦う時に狙うところはどこなのかな。そう思ったので聞いてみました」
僕の言葉に先生は手を顎に当てて、再び考え始める。
プロが狙う急所はどこなのか。
練習をしていた生徒さんたちも、いつの間にか聞き耳を立てている。
「指ですね」
先生が小さく口を動かす。
「指・・・ですか?」
ものすごく意外な答え。
「はい。どうしても総合格闘技とか。関節技のイメージがあるんですけど、腕や足を折るよりも、指を折るほうがはるかに簡単です」
先生の表情は真剣そのもの。
「だから、総合格闘技では指を掴むことを禁止されてるんです」
そう言って、先生は自分の人差し指を握り始める。
「こんなに曲がるでしょ。力入れてませんよ」
先生の人差し指が、普段の方向とは逆の方向に折り曲げられていく。
「力入れたらすぐ折れます」
先生は笑顔で、僕たちに教えてくれたのでした。
追伸
プロの言葉は説得力が違います。
「指を折ったら、殴れなくなるし、掴めないでしょ」
表情を変えずにたんたんと話す先生の言葉は、僕の記憶に深く残っています。
ケンカで人の指を折るという発想は、僕の中に一切ありませんでした。
でも、考えてみたらそうなんですよね。
ルールで守られている試合と違って、ケンカは何でもありです。
もしかしたら、武器を使う人もいるかもしれません。倒れているところに追い打ちをする人もいるかもしれません。
そのリスクを考えると、
僕は人とケンカするという選択肢を持たなくなりました。
強さを知るということは、自分がその強さでやられる可能性もある。という事実を知ることだったんですよね。