★ タックルを行う場合、ボールを運ぶ場合よりも脳震盪リスクが高い
★ タックルのコンタクトエリアが頭部-頭部の場合、高率に発生する
★ 体幹を屈曲位でコンタクトしている方がHIAリスクが低い
★ タックルする高さに留意することでHIAリスクを軽減することができる
ラグビーにおいて、タックルは基本技術である。
しかし、タックルは脳震盪リスクが高いことがわかってきた。
ラグビー協会は、タックル時の頭部衝撃を軽減するためルールの変更も含めた検討を行っている。本研究では、プロリーグにおける頭部外傷イベントの特性について検討している。
プロラグビーリーグの2シーズンにおけるHIA(Head Injury Assessment)の対象となった446例と頭部外傷に至らなかった5694例をタックルの高さ、選手相互の身体の位置、相手のどの位置にコンタクトしたかなどを比較検討した。
結果 : HIAの対象となったのは0.99/1000イベントだった。
ボールを運んでいて受傷したのは0.57/1000イベント。タックルが原因でHIAの対象となったのはタックルなしの1.74倍だった。0.90試合ごとにタックルによるHIAの対象となるイベントが惹起された。
ウエストより高い位置へのタックルでは、受傷リスクは3.2倍であった。
コンタクトエリアが膝以下もしくは肘、頭部の場合はHIAイベントが高リスクとなっていた。
タックルは、ラグビーにおいては基本的な技術(ファンダメンタル)であることから、タックルに関する教育やトレーニングを基礎から複雑な条件設定まで深く学習することが重要と考えられた。