部下のプライベートな悩みにどこまで踏み込む?

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ビジネス・マーケティング
”現役人事のコーチング”をやっています。アサマルです。
このブログでは、マネジャーやチームリーダーの方向けに
部下との関係構築や組織活性化のヒントになる情報をお届けしています。


部下からプライベートな悩みを打ち明けられたらどうする?


さて、1on1やキャリア面談、日常の会話の中で、
部下からプライベートな悩みを打ち明けられたことはありますか?

夫婦間の人間関係だったり、
子どもの教育の悩みだったり、
親との関係性や介護の問題など・・・

個人的な悩みは根が深く、打ち明けられた上司の側も
どう対処していいか悩みますよね。

今日はそんな時に、マネジャーの方がどんな対応ができるか
お話してみたいと思います。


上司はどこまで踏み込んでいいの?


私自身の所属会社の中で、1on1に関するマネジャーのお悩みとして
多いものの一つが、
部下のプライベートにどこまで踏み込んでいいのか?という相談です。

プライベートの悩みを打ち明けてもらえるというのは、
ある意味、部下からの信頼があるからこそだと思います。
(確かに自分の個人的な事情を話すのって、心理的ハードルがあります)

マネジャーの方は、せっかく自分を信用して打ち明けてくれたらからには、
何か助けになってあげたい、と考えられるのだと思います。


「踏み込まなくていい」が答えです


特に、責任感が強いマネジャーの方や、
部下に親身になっているマネジャーの方のお話を聞いていると、
少しでも解決の糸口を提供してあげたいと思ってしまうようです。

またそうでなくても、職場で実際に、
苦しそうにしている部下を前に話を聞いていると、
自分が何とかしてあげられないか力になってあげたい
と考えるようになるマネジャーの方は少なくありません。

一方で、あくまでもプライベートな事情にどこまで踏み込んでいいのか
悩み相談に乗れば乗るほど、線引きがわからなくなってくる。

では、こんな時、どうすればいいのか?
答えは「踏み込まなくていい」だと私は考えています。


踏み込まない方がよい理由とは?


なんて冷たい人間なんだ、と思われた方もいるかもしれません。
私がそのように考える理由をお話しします。

例えば、親の介護に関する悩みの場合。

・業務時間の合間に介護をしており、身体的に・精神的に疲れている
・どんな介護サービスを利用するか、家族間で意見に相違があり悩んでいる
・遠方にいるので、介護の支援ができずにいて苦しい気持ちを持っている

こんな相談があったとしましょう。

マネジャー自身に類似の経験がなければ、
それが実際どんなに大変なことなのか、どれほど本人に負担なのか、
推し量ることはできても、実感としてはわかりません
それは当然のことです。

そこに無理に踏み込んで、推測の範囲でアドバイスをしても
的外れな提案になってしまう可能性は高いでしょう。

一方で、ご自身でも似た経験や知識があった場合はどうか?

ここぞとばかりに、部下のために良かれと思って、
こうしたら?ああしたら?こういうサービスが良かったよ、
といった助言をするかもしれません。

ですが、こういったことは逆効果になりがちです。
なぜなら、部下自身の考え方・価値観は同じではないからです。
また、あなたに話したことは、実際の状況のほんの一部にすぎません。
その部下の親の性格や家庭の状況は、上司自身の経験や知っていることと
同じであるはずがありません。

良かれと思ってしたアドバイスも、押し付けに受け取られ、
よく知らないくせに」と部下の内心では反発を
生んでしまうこともあります。

つまり、話を聞いただけで、安易に踏み込もうとしても、
それが部下の悩みをズバリ解決する可能性はとても低いと思うのです。

さらに、物事の解決にならないばかりか、
「こういう展開になるのであれば、もうあまり話すのをやめようかな」
とかえって、上司と部下の信頼関係に悪影響を及ぼす可能性すらあります。


「聞く」に徹する


では、マネジャーにできることは何か?
それは「部下の話を聞く」ことに徹する、これに尽きると思います。

プライベートのことまで上司に解決してもらおう、
解決してもらえると思っている部下は稀です。

部下から悩みを開示するときは
上司に自分が悩んでいることをわかってほしいという思いが
一番強いと思います。

マネジャーの方は、部下が話したいことを話しきることができるように、
頭が整理できるように、問いかけをしてあげる。

・どんなことが心配・不安・負担なのか?
・そう感じるのはなぜなのか?
・協力できる人はいるのか?
・これからどうしていきたいか? 
・まず何から始めていけばよさそうか?

こういったことを、他人に対して話して言語化することで
随分と頭が整理されていくと思います。
ここでは、すべて主語は「部下本人」であることが大切です。

そして、上司として解決策に関して関与できることは、
本人が出した解決策に対して、会社・職場の支援としてできることの
選択肢(休暇・休職制度の利用や業務負荷の軽減への配慮など)を、
情報として提供してあげること。
それだけではないかと思います。

ここで大事なことは、その選択肢を使うかどうかも選ぶ権利は
部下本人にあるということです。

また、もしマネジャー自身に個人的に似た経験があって、
有益な選択肢として教えてあげたいと思う時は、
アドバイスではなく、あくまでも「自分の時はこうしたよ」
という参考情報として伝える方がいいでしょう。

部下に寄り添う姿勢でいると、
プライベートな悩みについても何か力になってあげたいと
思うことがあるかもしれません。

そんな時は、部下と一緒に苦しまずに、
あえて一歩引いた立場で話を聞くとにかく聞く立場に徹する
そのことが部下には大きな力になると思います。

もし、部下からプライベートの悩みを打ち明けられることがあったら、
この話、少し思い出してみてください。
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