前回(銀行員が家を買う③)は「物件を見る際のポイント」について紹介させていただきました。
(前回からだいぶ間が空いてしまいました・・・)
住宅購入は人生で一番高い買い物になる方も多いので、お金の不安は必ず付きまといますね。
そこで今回は住宅購入におけるお金の悩み「予算の決め方」について書きたいと思います。(「住宅ローンの選び方」も予定していましたがボリュームの関係で次回にしたいと思います)
予算=自己資金+借入(住宅ローン)になりますが、実際どのように考えていけばいいのでしょうか。
(ⅰ)自己資金
今は住宅ローン金利も低く、借りることが比較的容易であるため、全額ローンでという方も多いですが、低くても金利はかかりますので、自己資金をいくら使えるかということはまず考える必要があります。
家族構成や収入の状況(共働きか)、親の援助の有無など人それぞれですが、「物件価格の1割」を目線にしましょう。
じゃぁ「3,000万円の物件を買う場合は300万円は自己資金で残りの2,700万円を借りる」ということかというと、それは違います。
3,000万円の物件を購入し、3,000万円フルで住宅ローンを借りる場合を考えてみると、通常以下のような費用がかかります。
・購入物件の仲介手数料(約106万円)
・住宅ローンの事務手数料(約66万円)
・登記費用や火災保険料(数十万円)
もうこれだけで200万円は超えますね。
他にも引越代などもかかりますし、一番忘れがちで高額なのは新しい家具代。やっぱり新しい家に引越すときは家具を新しくしたいと考える方も多く、この金額は馬鹿になりません・・・
お分かりいただけたかと思いますが「物件価格の1割」というのは住宅購入にかかる諸費用分ということです。
住宅購入費用=住宅ローン
諸費用=自己資金
を最低限に考えましょう。
(ⅱ)住宅ローン
(ⅰ)で記載した通り、諸費用分は自己資金で用意するとして、物件の予算について考えていきましょう。 こちらは住宅ローンの毎月返済額から考えていくのが一般的です。
目線としては、「住宅ローンの毎月返済額が手取り月収の20%~25%以内」となるようにしたいですね。
これはあくまで目線ですので、人それぞれの事情も加味して決めなければなりません。
よくある誤解としては以下の2つがあります。
①額面の収入で考えてしまう
「年収の●倍なら借りられる」というような話を聞いたことがあると思います。これは必ずしも目線として誤っているものとは思いませんが、同じ年収でも家族構成などによって手取り収入は異なりますし、いわゆるボーナスも含めて返済可能かを考えていることになります。新型コロナの影響でボーナスが大きく減少した企業も少なくないなど、ボーナスが出る前提で考えてしまうのは危険だと認識し、毎月の手取り収入をベースに考えるようにしましょう。
②単純に現在の家賃と比較してしまう
家賃と比較する方法は実際の負担感などもわかりやすく非常におすすめです。但し注意が必要なのは、住宅を購入すると住宅ローンの返済以外にも「固定資産税」や「管理費・維持修繕費(マンションの場合)」など毎月・毎年かかる費用があります。これらを考慮し忘れると、家計を大きく圧迫する可能性もあるのでしっかりと毎月返済額+その他の住宅関連費用を現在の家賃と比較するようにしましょう。
最後にまとめとして、銀行員の私からお伝えしたいことは
「借りられる額と返せる額は違う」
ということです。
私自身も家を買う際に不動産会社の担当者から
「年収の●倍は借りれますから●千万円までは買えますよ」
というような説明を受けました。
確かに借りられることは事実だと思いますし、今と状況が変わらなければ返済もできるでしょう。しかし、先ほどのボーナスの話ではありませんが収入はいつ減るかわかりませんし、こどもの数や進路によって教育費も1,000万単位で変わってきます。親の介護が必要になるかもしれません。
そういった将来の不確実性がある中で、現状が今後も数十年以上続くという前提で考えるのは危険なことはお分かりいただけるかと思います。
予算を考える際には、ここに書かせていただいたことを少しでも参考にしていただき、マイホームを購入したために将来困るというようなことがないようお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回は住宅購入におけるお金の悩み「住宅ローンの選び方」について投稿予定です。