親から虐待を受けた子どもたちが、成長していく過程で起こる症状

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It Wasn’t Your Fault: Freeing Yourself from the Shame of Childhood Abuse with the Power of Self-Compassion
著者 Beverly Engel
アメリカで児童虐待やdvなどの書籍を多数出版しているセラピストのベイバリー・エンジェルさんの本を読んでいます。

この本では虐待を受けた子どもたちが成長して行く過程で起きる問題が取り上げられています。また、self-compassion(自分への思いやりや同情)によるセラピーによって虐待によってできた恥の意識を取り除いたり、心理的な柔軟性を学んだりすることが出来る本です。

ベイバリーエンジェルさんは本の中で、次のように述べています。

身体的、言語的、感情的虐待を受けた子どもたちは、恥の意識を持つ。
虐待は根本的に、はずかしめることであり、人間性を否定することである。

この恥の意識が、成長していくとき、他人との関わり方の中で、様々な問題を引き起こしていくと指摘しています

以下は本の中からの参考。





虐待されることで、子どもたちに起きる症状



1 自己批判的になり、自分にネガティブなセルフトークを言うようになる。

2 自暴自棄になり、自分放棄(self-neglect)のような状態になる。

 食料や栄養、水、衣服、住居、休養、睡眠といったものを放棄して無関心になる。デン  タルケアやメディカルケアにも無関心になる。

3 自分に対して破壊的な振る舞いをするようになる。

 自分自身の体を虐待したり、害したりするような行動を取るようになる。例えば、過剰なほどの食事をしたり、逆に、少なすぎる食事をする。アルコールやタバコ、薬物、自傷行為をする。事故などを起こしやすくなる。その他には、

 ・自傷行為をする。

 ・自殺願望を持ったり、実際に自殺未遂をする。

 ・避妊をしない、感染症の恐れのある、危険な性行為をする。

 ・重大な事故を引き起こす可能性のある車の運転をする。薬物摂取後、車の運転を する。

 ・エクストリームスポーツといわれる、危険なスポーツをする。

 ・危険な人物と付き合うようになったり、犯罪行為をするようになる。

4  自分に対してダメージを与えるような行動を取る

 例えば、自分パートナーと喧嘩をしたり、自分の就いている仕事で破壊的な行動を取るようになる。

5 完璧主義になる。

 恥の意識が強く、間違いを犯すことを恐れ、完璧主義になりやすくなる。

6 自分には良いことは訪れないと、信じるようになる。

7 もし他人が本当の自分を知ってしまったら、自分は嫌われる。または、自分自身にイライラさせられると、信じている。

8 人を喜ばせようとするようになる。

9 自分が持っている、恥の意識を取り除こうとするため、他人に対して批判的になる。

10 強烈な怒りを持つようになる。たびたび、殴り合いのケンカや、あおり運転で暴行事件を起こす(ロードレイジ)といった行動を取るようになる。

11 反社会的な行動をとるようになり、ルールや法律を破るようになる。

12 虐待を他人や、自分の子供、パートナーに対してもしてしまう。

 虐待に対する被害者的な考えを持ったり、虐待を肯定的に捉えるようになり、自分の子供に対しても虐待のサイクルを行う。 


これらの行動は、虐待によってもたらされる恥の意識によってもたらされると、著者は指摘しています。

自分も父親から虐待を受けて育ったのですが、とても鋭い分析がされている本です。

読むたびに心が癒やされる感じがします。

読んでいて内容に「そうなんだよ」と虐待を受けた自分は思ってしまいました。



前半が虐待を受けた子どもたちの行動や心理の分析、後半がセルフコンパッションを利用した自分で出来るセラピーという内容となっています。セラピーの内容は少し実行するのには時間や手間がかかったりするかもしれません。

虐待を受けたことで人生がうまく行かなくなってしまった、人間関係がうまく行かなくなってしまったと思っている方に結構おすすめの本です。

こちらの本はamazonのkindle unlimitedでも読めます。


他にも同じ著者の1冊
Healing Your Emotional Self: A Powerful Program to Help You Raise Your Self-Esteem, Quiet Your Inner Critic, and Overcome Your Shame
著者 Beverly Engel
こちらは虐待を受けたことで、低下してしまった自己肯定感を取り戻すことがテーマの本で、こちらもおすすめです。


どちらも日本語翻訳版はでていません。英語は少し冗長な文章で読みにくいかもしれませんが、飛ばし読みしながら全体を読んでいくと良いです。


セルフコンパッションをもっと学びたい方は、この本でも紹介されていますが、次の2冊あたりが最初に読む本としておすすめです。こちらは日本語翻訳版がでています。

セルフ・コンパッション 著者:クリスティン・ネフ

マインドフル・セルフ・コンパッション ワークブック 著者:クリスティン・ネフ、クリストファー・ガーマー 他



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