自分で創る自分の車 No.35

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ブレーキを知ろう 2

■ディスクブレーキ

ディスクブレーキのブレーキローターは車輪と一緒に回転し、ブレーキキャリパーに装着されたブレーキパッドがローターを挟み込んで車輪を停止または減速させる仕組みになっています。

ブレーキパッドがローターを押すことで摩擦が発生し、運動エネルギーが熱エネルギーに変換されます。

この熱エネルギーは熱を発生させますが、主要部品が大気にさらされているため、この熱を効率よく拡散させることができます。
この放熱性により、ブレーキ性能が熱で左右される現象であるブレーキフェードを軽減することができます。

また、ブレーキに付着した水が制動力を著しく低下させるウォーターフェードに強いのもディスクブレーキの特長です。
車両走行時にはローターが高速回転し、この回転運動によってローター自体に付着した水が排出されるため、安定した制動力が得られます。


■ブレーキを知る|製品・技術

ディスクブレーキは一般的に乗用車に使用されていますが、高速走行時の安定した性能とブレーキフェードへの耐性から、長寿命のドラムブレーキが採用されてきた商用車分野にも徐々に浸透してきています。

長寿命化・高品質化の要求はますます高まっており、各メーカーはディスクブレーキの信頼性をさらに高めることで、ユーザーの要求に応えています。
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■ディスクブレーキには2つのタイプがあります。

ディスクローターの両側にピストンがある「対向ピストン型ディスクブレーキ」と、片側だけにピストンがある「フローティング型ディスクブレーキ」です。
フローティングキャリパータイプのディスクブレーキは、スライディングピンタイプのディスクブレーキとも呼ばれます。


■ディスクブレーキの構造

車輪とともに回転するブレーキローター(円板)を、キャリパーに両側から装着されたブレーキパッド(摩擦材)がピストン(加圧機構)の圧力で挟み込み、円板の回転を減速させることで車両を減速・停止させます。
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■ディスクブレーキの仕組み

ドライバーがブレーキペダルを踏むと、その力はブレーキブースター(サーボシステム)で増幅され、マスターシリンダーで油圧(オイルの圧力)に変換されます。

その圧力は、ブレーキオイル(ブレーキフルード)の入ったチューブを介して車輪のブレーキに届きます。
届いた圧力は、4輪のブレーキのピストンを押します。

ピストンは、摩擦材であるブレーキパッドを、車輪と一緒に回転するブレーキローターに押し付けます。
パッドがローターを両側から挟み込み、車輪を減速させることで、車は減速・停止します。
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■ディスクブレーキの主な構成要素

ディスクローターの両側にピストンがある「対向ピストン型ディスクブレーキ」と、片側だけにピストンがある「フローティング型ディスクブレーキ」です。
フローティングキャリパータイプのディスクブレーキは、スライディングピンタイプのディスクブレーキとも呼ばれます。
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■フローティングタイプのディスクブレーキ

フローティングタイプとは、ピストンが片側にしかないディスクブレーキのことで、スライディングタイプとも呼ばれています。

フローティングタイプのディスクブレーキは、ブレーキをかけると、ピストンがインナーパッドをローターに押し付けます。
その反力でキャリパー本体がスライド(ガイド)ピンに沿って移動し、アウターパッドがローターに押し付けられ、ローターを両側から挟み込む仕組みになっています。

乗用車用ディスクブレーキの多くはフローティングキャリパータイプで、構造が比較的単純で軽量なため、製造コストを抑えることができます。



■オポーズド(対向)ピストンタイプのディスクブレーキ

オポーズドピストンタイプは、ディスクローターの両側にピストンを配置したディスクブレーキです。
日本国内では「対向キャリパー」などと呼ばれています。

オポーズドピストンタイプのディスクブレーキは、安定した制動力と高いコントロール性が特徴です。

制動力を高めるためにブレーキパッドの掃引面積を大きくしていますが、ここでは対向ピストンタイプが好まれます。

これは、ピストンの数を増やすことで、ローターにかかる圧力を両側から均等にできるというメリットがあるからです。
ブレーキパッドの大きさによって、片側2個で4個のピストンを持つ4ポットタイプや、片側3個で6個のピストンを持つ6ポットタイプなどがあります。

また、高性能車用に10ポットキャリパーなどもあります。
このタイプは、ピストンが片側5個、合計10個あります。
優れた制動力を得るためには大きなサイズのパッドが必要となり、その大きなパッドへ均一に圧力をかけるため、ピストン数が多くなっています。
ブレーキに大きな負荷がかかる大型高性能車に適しています。


■ドラムブレーキ

ドラムブレーキは、車輪と一緒に回転するブレーキドラムを備えたブレーキです。

ドラムの内側には、ドラムを内側から押して制動力(減速・停止)を発生させるブレーキライニング(摩擦材)を取り付けたブレーキシューが設置されています。

このシステムでは、ブレーキライニングをドラムの内面に押し付けることで摩擦が発生します。
この摩擦により、運動エネルギーが熱エネルギーに変換されます。
ドラムが回転することで、シューとライニングをより強く押し付けることができ、ディスクブレーキに比べて優れた制動力を発揮します。
一方で、熱エネルギーによる熱を効率よく大気中に放散するように部品を設計することが非常に重要です。

ドラムブレーキには、ブレーキシューの押し付け方の違いにより、リーディング/トレーリングシュータイプ、ツインリーディングシュータイプ、デュオサーボタイプの3種類があります。
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●ドラムブレーキの構造

ドラムブレーキは、車輪と一緒に回転するブレーキドラム(ローター)を備えたブレーキシステムです。
ドラムの内部には、ブレーキライニング(摩擦材)を装着したブレーキシューがあります。
ピストン(加圧機構)がドラムを内側から押して制動力を発生させ、車両の減速・停止を可能にしています。


●ドラムブレーキの仕組み

ドライバーがブレーキペダルを踏むと、その力はブレーキブースター(サーボシステム)で増幅され、マスターシリンダーで油圧(オイルプレッシャー)に変換されます。

その圧力は、ブレーキオイル(ブレーキ液)の入ったチューブを通って、車輪のブレーキに届きます。
届いた圧力は、4輪のブレーキのピストンを押します。

ピストンは、車輪と一緒に回転するブレーキドラムの内側に、摩擦材であるブレーキライニングを押し付ける。
ライニングが回転するドラムに押し付けられることで、ドラムが車輪を減速させ、車を減速・停止させるのです。
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●リーディング/トレーリングシュー式ドラムブレーキの主な構成
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ご存知の方がほとんどかと思いますが、あらためて構造を知ることで日頃の点検やメンテナンスがいかに重要かがわかります。


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