「法人」とは何か?【会社のつくり方シリーズ④】

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法律・税務・士業全般

(まえがき)会社のつくり方シリーズとは

こちらの記事は、行政書士として主にひとり会社、小規模会社設立のお手伝いを普段から数多くさせていただいている筆者が、
「会社をつくるときに、事業者が最低限知っておきたい基本的な知識を、順番にわかりやすく」
をモットーに解説していくページです。
シリーズ全7回の記事となっており、順番に読み進めることで、会社をつくる際のポイントが分かるようになっています。
どうぞ最後までご覧ください。
※他のシリーズは以下のリンクからご覧いただけます。



こんにちは。板橋のハンコ屋ひとり社長 兼 行政書士 の青木です。
今回は、「法人とはなにか」について、説明していきます。
この「法人」という概念については、すでに法人経営をされているかたであっても、意外とこの仕組みについて、よくわかっていらっしゃらないかたも多いという印象です。
これから会社を設立しようと考えている方は、是非参考にしてみてください。

「法人」とは?

法人とは、簡単に言うと、法律上創り上げられた「人」のことを言います。
次項でも取り上げますが、創り上げられた人なので、「ガンダム(ロボット)」のようなイメージでも構いません。
「人」ですから、権利義務の主体となります。
これはどういうことかと言うと、例えば、「人間」と「法人」との間で契約ができます。
具体例をあげます。
私は昨日、コンビニに行ってパンを買いました。
これは、人間(個人)である私と、法人であるS社(コンビニ)との間で交わされた売買契約です。
さらに例を続けます。
そのパンに、針が入っていて、私はけがをしてしまいました。
私は治療代を払ってもらうため、訴えることにしました。
その相手方は、S社の社長でしょうか? パンを製造した人でしょうか? レジのパートさんでしょうか?
どれも違いますね、私はS社に対して訴えを起こすわけです。
これが、権利義務の主体となるという意味です。

ガンダム=法人 アムロ=社長(仮)

話しは変わりますが、ここからは「ガンダム」をイメージしてください。
ガンダムはロボットですので、自らに意思はありません。
手足を動かしたり、攻撃したりできるのは、操縦席にいる「アムロ」が操縦かんを握っているからです。
法人もこれと一緒で、自らに意思はありませんが、その舵取りをする操縦者がいて、初めて有能に機能するわけです。
その舵取り役が、一般的には「社長」です。
一方で、ガンダムを作ったA氏がいます。
(筆者は微妙にガンダム世代ではないのでこのあたりのことはよく分からないのですが)
A氏は、頑丈な部品や、高価な武器など、自らの資金100万円を投じてこのガンダムを作り上げました。
そして、その操縦をアムロに託したのです。
この場合、A氏は「出資者」にあたります。
そうだ、ガンダムというロボを作ろうと思い立った人「発起人」でもあります。
(通常「出資者」=「発起人」です)
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作成:int行政書士事務所

偉いのはどっち?

このような場合、ガンダムは誰の所有物でしょうか?
もちろん、操縦かんを握っているアムロではなく、100万円を投じてガンダムをつくったA氏の所有物となるのが一般的でしょう。
法人においても全く同じことが言えます。
法人の所有者は、資金を投じて法人を作ったA氏です。(出資者=発起人=株主)
法人の代表者は、舵取りを任されているアムロです。(社長=経営者)
ではこの二人、どちらに権力があるでしょうか?
操縦かんを握っているアムロかと思いきや、アムロが暴走しないように、法律において、しっかりと、出資者=株主が守られています。
本当の意味での操縦者は、株主であるA氏です。
なぜなら、アムロはA氏から操縦席に座ってくれと頼まれて、そこに座っているに過ぎないからです。
アムロが重大なミスをしたり、A氏に逆らうようなことがあれば、A氏はすぐさま操縦者(社長)を交代させるでしょう。

所有と経営の分離

このことを、「所有と経営の分離」と呼んだりします。
これは、株式会社の基本的な仕組みです。
そうは言っても、大多数の小規模法人においては、A氏=アムロ(株主=社長)となっているケースがほとんどです。
実質的にこの機能が働いているのは、大企業のみというのが、現代の実態ではあります。
株式会社の歴史は、16世紀~17世紀の大航海時代にまで遡るとはよく言われている話です。
昔は、あらかじめ大きな資金で資材や設備を投入したり、仕入れが必要だったりするビジネスが多かったため、創業当初から多くの資金が必要でした。
そこで、株券発行というシステムを利用して、資金を集めていたのです。
ですので、出資者と経営者はそれぞれ別人であり、こののようなスタイルが一般的でした。
しかしながら、現代においては、ネットビジネスに代表されるスモールビジネスが、非常に増えてきています。
このことにより、多くの資金を募って事業を起こすというスタイルは、昔に比べると減ってきています。

注目の合同会社

そこで、注目されてきているのが、2005年に新会社法で新たに創設された「合同会社」という法人格です。
合同会社では「出資者」=「経営者」が基本となります。
先程の例えで言うと、アムロ自身がガンダムを作って、自分で操縦まで行うのです。
両方の役目を担いますので、アムロという人の手腕がそのまま法人(ガンダム)のポテンシャルとなります。
この合同会社については、近年非常に多くの設立がされている組織形態であり、割合としては、新設法人のおよそ4分の1が、この合同会社という実態があります。

まとめ

「法人」について、具体的にイメージができましたでしょうか。
会社を設立する際には、この法人の仕組みについて、ある程度理解ができていないと、「定款」の作成や、役員の配置など、重要事項の決定において、その判断を誤ってしまうリスクが高まります。
もちろん、それらのサポートとして、我々のような専門家がいるわけですが、経営者としても、最低限度の知識は持ち合わせていないと、双方のコミュニケーションにも支障が出てしまいます。
以上、法人設立への道しるべとして、是非参考にしていただけたらと思います。
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