「会社設立日」の決め方と注意点【会社のつくり方シリーズ③】

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法律・税務・士業全般

(まえがき)会社のつくり方シリーズとは

こちらの記事は、行政書士として主にひとり会社、小規模会社設立のお手伝いを普段から数多くさせていただいている筆者が、
「会社をつくるときに、事業者が最低限知っておきたい基本的な知識を、順番にわかりやすく」
をモットーに解説していくページです。
シリーズ全7回の記事となっており、順番に読み進めることで、会社をつくる際のポイントが分かるようになっています。
どうぞ最後までご覧ください。
※他のシリーズは以下のリンクからご覧いただけます。



こんにちは。板橋のハンコ屋ひとり社長 兼 行政書士 の青木です。
今回は、会社設立の際に決める「会社設立日」について、説明していきます。
決める際のポイントや注意点など、どのようなところに着目すればよいかを解説していきます。
これから会社を設立しようと考えている方は、是非参考にしてみてください。

決算期が決まったら?

さて、前回のシリーズ②で、決算期(最終月)を決めるお話しをしました。

そこでも申し上げましたが、終わりの月が決まったということは、会社設立の月(開始月)が決まったということになります。
※一期目を一年未満の月数にすることも可能です。その場合は任意の月が会社設立の月(開始月)となります。
せっかく設立月が決まったのなら、この勢いのまま、さらに具体的な日にちまで決めてしまったほうが絶対に良いです。
決めたものを先に延ばすことは出来ますが、後からこの日にしておけば良かったと過去に戻ることは出来ません。
日にちまでしっかり決めて、その予定を手帳に書き込む、またはgoogleカレンダーに入力するなどしてしまえば、あとはそれに向けて突き進むのみです。
ですので、早い段階でこの日にちまで決めてしまったほうが、スケジュールをより具体的に立てることができます。
そのうえで、まずは基本的なルールを確認していきましょう。

法務局が開いてる日しか、設立日にできない

・設立日は365日いつでもよい
・設立したい日よりも前に書類を出せば、設立日は指定できる
・設立日に書類を出せば、必ずその日が設立日になる
これらはすべて誤りです。
まず、大前提のルールとして、タイトルにも表記したように、会社設立日として設定できる日にちは、「法務局の開庁日」のみです。
したがって、土曜日,日曜日,国民の祝日 等の休日,年末年始期間は会社設立日とすることが不可能です。
よく、◯月◯日が私の記念日だから、その日に会社設立したいんですとおっしゃるかたがいますが、もしその日が上記の日に該当するようであれば、残念ながらその日を会社設立日とすることはできません。

「設立日」=人間で言う「誕生日」

前述したように、法務局が開いている日であれば、いつでも会社設立日とすることができます。
(法務局に有効な設立登記申請書を提出した日が設立日となります。)
「会社設立日」とは、イメージ的には、人間で言う「誕生日」のようなものと考えられます。
なぜなら、まず設立日というのは、会社が存在する限り「登記簿謄本」に記載がされ続けます。
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※私の会社の謄本

人間ですと、免許証やパスポートなど、自身を証明するものに誕生日が表記されていますが、それに近いような感覚です。
また、設立〇周年などの節目を祝うことも、人間の誕生日と同じです。

会社設立日の決め方

ここまでの説明を聞いて、特に会社設立日にそこまで強いこだわりはないと感じられたかたは、いまからご紹介することはあまり気にされなくてよいかと思います。
逆に、せっかくの会社設立日は、もっと吟味して考えたいと思われたかたは、次章でいろいろな決め方や考え方をご紹介しますので、参考にされてみてはいかがでしょうか。

①六曜

六曜とは、日によって決められている運勢や吉凶などの暦注のことを言います。

先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口があり、結婚式や葬儀の際にもこの六曜は用いられることが多く、日本人にとって馴染みのあるものです。
大安の日は物事がうまくいくとされており、事業を始める日としても縁起が良く、六曜にこだわって設立日を選ぶなら、やはり大安が良いでしょう。
大安は6日に1回やってきますが、そこにうまく設立日を持ってこれないという人は、最低でも仏滅は避けておくなど、積極的でなくとも、日にちの候補で迷った時の判断材料として用いるくらいでもよいかとと思います。

②一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)

「一粒万倍」とは、一粒の籾(もみ)が、万倍にも実る稲穂になるという意味です。
一粒万倍日は何事を始めるにも良い日とされ、特に仕事始め、開店・開業、種まき、銀行口座開設、お金を出す(出資)などに吉であるとされています。
一粒万倍日は、宣明歴時代(1000年以上前)から使用されていた歴史があり、もとは中国から伝わったものです。
さらに、一粒万倍日は月に4~6回程度ありますので、他の暦注(六曜など)と重なる場合があります。
その場合は、吉日と重なったら一粒万倍日の効果が倍増するとされ、これらの日は一年の中でもそう多くはありません。
こちらもせっかくなら、見ておいて損をするということはないと思います。

③天赦日(てんしゃにち)

天赦日は、日本の歴の上で最上の吉日とされており、年に5~6回しかありません。
wikipediaによると、
「この日は、百神が天に昇り、天が万物の罪を赦(ゆる)す日とされ、最上の大吉日である。そのため、天赦日にのみ「万(よろづ)よし」とも注記される。」
とも書かれており、貴重な開運日です。

④不成就日

一方で、避けたほうが良い日もあります。
前述の六曜では、一般的に知られている仏滅などがそれにあたりますが、もう一つ、注意しなければいけないのが、「不成就日」です。
不成就日とは、何事も成就しない日とされ、結婚・開店・子供の命名・移転・契約など、事を起こすことが凶とされる日です。
選日という暦の日取り方法のひとつで、これは一粒万倍日と同じ種類のものです。

⑤節税を考慮

こちらは、今までの①から④とは全く違う視点での話しですので、今までの内容には特に関心がないといったかたでも、知っておくとよいかもしれません。

このことは意外と知られていませんが、会社の設立日を1日(ついたち)以外の日にすることで、節税になります。(※最初の1期のみ/赤字決算の場合)
これは、法人住民税の均等割りという、会社が赤字の場合でも支払う義務のある税金についてです。
この税金は月割計算となっていて、設立して1か月に満たない月がある場合、その月は切り捨てとなります。
ですので、1日(ついたち)以外の日を設立日にした場合、その月の法人住民税は掛からないことになります。
計算上は6000円前後ですが、創業時にとっては大切な資金です。
販売促進に充てて、しっかりと売り上げを上げてから、その分たっぷりと納税したほうが、社会にとっても得策と言えるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回の記事は、前回の記事

からの続きのようなイメージで書きましたが、それぞれ単体でも十分活用できる内容となっています。
何度も申し上げていますが、「具体的な日にち」まで決めることで、ゴールからの逆算でのスケジュール管理ができるようになります。
そうすれば、より具体的な「行動」ができるようになり、おのずと一本の道が自分の前に現れるのではないでしょうか。
決して会社設立がゴールとは考えてほしくないですし、自分もそうは考えていませんが、節目節目の身近な目標として、この「会社設立日」を根拠をもって決めてみてはいかがでしょうか。
法人設立への道しるべとして、是非参考にしていただけたらと思います。

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