ワイ「現役の採用担当として言いたいことがあります。」
助手「勝手に言ってれば。」
ワイ「聞いてください。大切なことですから。」
助手「なんなのよ。」
ワイ「採用に関わる者は常にアンテナを立てておかなければなりません。」
助手「どういう意味?」
ワイ「新しい手法やトレンド・求職者ニーズに対してです。」
助手「そういう姿勢は大切だと思うよ。」
ワイ「実は内定者の懇親会に向けてアイディアを練っていました。」
助手「そういえばこの前も同じこと言ってなかった?」
ワイ「言いましたよ。」
助手「まったく進んでないってこと?」
ワイ「そんなことありません。進展がありました。」
助手「良い案が浮かんだの?」
ワイ「浮かびませんでした。」
助手「おい。」
ワイ「なので私は考えました。人に聞けば良いと。」
助手「やるべきことを放棄したね。」
ワイ「ということで新卒社員10名ほど電話をかけました。」
助手「ただの迷惑電話だね。」
ワイ「多くのコメントを集めることができました。そしてその中の一つに私の類い稀なる感性が反応しました。」
助手「あ、そう。」
ワイ「ヒントがあればアイデアに繋がります。そこからクリエイトするのが私の役割ですからね。」
助手「で、結局何に反応したのよ。」
ワイ「NASAゲームって知ってますか?」
助手「聞いたことない。」
ワイ「インターンシップとかで使われるコンテンツみたいです。」
助手「そうなんだ。どんなものなの?」
ワイ「宇宙飛行士が母船から遠く離れたところに不時着するのが起点です。与えられたカードが15枚あって、それに優先順位をつけて帰還を目指すというものです。」
助手「なんか面白そう。」
ワイ「与えられたカードに優先度を付けます。まずは個人。そして次にチームを組み全員の総意で解答を出すと言う流れです。正解を目指すよりも合意形成のプロセスを見ることが重視されるゲームです。」
助手「そこを見られてるんだ。」
ワイ「これは使える!と思いましたね。」
助手「どうせそのまま使うんでしょ。」
ワイ「私のクリエイター魂が騒ぎ出しました。」
助手「そもそもアナタはクリーチャーって感じだけど。」
ワイ「このままだと参加する学生が体験済みと言うことも想定されるのでシーンから作り直しです。」
助手「どんなのにしたのよ。」
ワイ「ストーリーは『自社製品に異物が混入。それがSNSにアップされてて拡散が止まらない』がストーリーの始まりです。」
助手「リアルに怖いよ。」
ワイ「リアリティに拘りました。用意されたカードに優先順位をつけるのはNASAゲームに倣っています。」
助手「そうなんだ。」
ワイ「加えて使ってはいけないカードを5枚ほど仕込みました。」
助手「いやらしいね。アナタの性格が出てるわね。」
ワイ「多くの企業・経営者がやってしまいそうな失敗例を作り込みました。なので現実味がありますよ。」
助手「どこまでリアリティを追求するのよ。」
ワイ「このゲームに取り組むことで、炎上鎮火のプロセスを学べます。またSNSを通じた情報リテラシーの大切さまで会得できる素晴らしいコンテンツに仕上がったのではないでしょうか。」
助手「本当に面白いかはギモンだけどね。」
ワイ「まずはやってみることが大切です。」
助手「言ってることはもっともだけどね。」
ワイ「NASA(為さ)ねば成らぬですよ。」
助手「NASA(情)けない結果にならないことを祈ってるわ。」