また会いましょう

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コラム
トップアスリートが抱えるメンタルの問題は非常に根深い

誰もが
トップアスリートは一流のメンタルを持っているので
精神的にも強靭であると考えられがちですが
決してそんなことはありません

もちろん、一般の方と生活している環境が違いますし
経験している重圧の量、質、集中力なども違いますので
単純な比較は難しいでしょう。

しかし、私たちと同じ人間である以上
すべてが万能なわけでもなく
調子の悪いときもあれば、また病気にもなります。

今回大坂なおみ選手を襲った病気は、
世界中の誰もが目を疑う内容でもありました。

そして
アスリートはメンタルも一流という固定観念が
さらに状況を悪化させる結果に至ってしまったのです。

さっそく経緯を見ていきたいと思います。

事の始まりは全仏オープンの前日の5/27
大坂なおみが、全仏オープンの記者会見を拒否する
とコメントを表明したことに始まります。

すぐに大会主催者は
記者会見に出席しなければ罰金を科すと警告を発します。

5/30 大坂なおみは宣言通りに
初戦終了後の記者会見をボイコットします。

即座に反応した主催者側は、今度は4大会の主催者の立場から

「このままメディアへの義務を無視し続けると、さらに違反につながる。
違反を繰り返すと、大会からの追放、多額の罰金、
4大大会への出場停止など、より厳しい制裁を受けることになる」

と表明をする形となりスポーツ界を揺るがすほどの大騒ぎとなりました。

以前より
記者会見では
記者が試合とまったく関係ない質問をしたり
著しく品位をけなす発言が繰り返されており
その内容自体も問題視されていた経緯がありました。

でもなぜか
彼女が事前に宣言をしたうえで
当日欠席をしたことに対して
まるで非があるかのように受け取られ
大会主催側は、その理由も聞かずに制裁を科してしまったのです。

ここにこそ今回のすべての要因があるように思えます。
実際の真意は公表されていないのでわかりませんが。。

その後
大坂なおみは改めてコメントを発表。

実は以前よりうつ状態であることを告白しています。

なぜそれを先に言わないかと
マスメディアは再び彼女を非難したが、
それこそマスメディアの傲慢のように感じざるを得ません。

うつ病を患っている人間が
それを乗り越えようと必死にテニスに打ち込み
自分を守るための最善の策として
記者会見を拒否すると宣言し
また自分がうつ病を患っていると告白することが
どれほど大変な決断であったかを
大会主催者側がもっと親身に考える必要があったのではないかと思います。

プロアスリートと言うのは、
いわゆる職業の一つとなりますので、
当然として賞金、スポンサー料などが、
そのプロの生活のための収入となります。

そして
大坂なおみほどのアスリートとなれば
賞金の他にも、スポンサーからの契約料(広告宣伝費)
などが大きな比率を占めています。

スポンサーにとっては少しでも自社の宣伝広告活動を行ってほしい
という要求がありますので、アスリートの露出と
宣伝効果としての勝利が求められるのです。

ですので
アスリートとしてはそれに応える義務があり
その期待に応えなければいけないと言う
もう一人の自分が存在します。

そのもう一人の自分が、
体調のすぐれない時、熱がある時、
もしくはケガを負ってしまっている状態の時に出現し、
少し自分を休ませたいと思う本来の自分と葛藤します。

しかし義務感を追ってしまっている自分は、時として判断を誤ります。

ギリギリの精神状態の中ででも無理をして結果を出そうとすることで
最終的にはフィジカルもメンタルもボロボロになってしまうのです。

きっと
大坂なおみも、うつ病を自覚する自分と、
結果を出して期待に応えなければならない自分との葛藤の中で
できうる最善の選択をしていたのでしょう。

それがまさに今回のケース
つまり、テニスは全力で戦いながらも、
記者会見は欠席し、メンタルを守ると言う決断だったのです。

また一方
近年の記者会見の内容にも問題があります。

記者は本来、事実を正確に伝えるべき立場にあるはずです。

しかし
完全に商業ベースに乗り
大きく肥大化してしまったマスメディアは本来の目的を忘れ
ただ注目されたいだけの下世話なゴシップ
に走ってしまっているのが現状です。

そのため、記者会見でも試合の内容ではなく、
無意味に選手を挑発したり、プライベートを暴露し、侮辱したり、
嘘やデマをそのまま流したりと本来の目的を完全にかけ離れています。

対して、それをコントロールする立場にある大会主催者側にも
問題があります。

本来であれば記者会見ボイコットの理由を
大坂なおみに問いかけ、主張を理解した上で
現在の記者会見の進め方の課題を見直し
両者が納得できる形で声明を出すべきであったのです。

しかし大会主催者側はマスメディアの挑発に便乗する形で
即日警告を出してしまいました。
非常に残念でなりません。

さらに悪いことに
一連の行動を真に受けたファンまでもがSNSを通して
大坂なおみに対して一方的な誹謗中傷を行い
バッシングをしてしまっているのです。

それでもようやく
大会主催者側も過ちを認め、記者会見のやり方を見直したり
スポンサーもメンタルサポートの表明を行ってきたりと
良い方向に動き出しました。

本来プロスポーツは、
その技術の高さ、美しさ、そのプロセスの厳しさの先にある
最高のパフォーマンスを見ることで
観戦している側が、人生の活力、勇気を与えられるべきものです。

プロアスリートはそのために莫大な時間を練習と自己鍛錬に費やし、
努力を重ねることで自らを高めているのです。

「みなさんが元気で安全に過ごすことを願っています。
みなさん愛しています。また会いましょう 大坂なおみ」

十分な治療を乗り越え
再びあの愛くるしい笑顔が見れることを心より願っています

私は彼女の勇気ある行動と告白に
心より敬意を表したいと思っています

written by Kaz Okayasu

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