卵とゲル ~卵の特殊な性質とタンパク質~

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卵はゲルなのか?
そう思ってしまうほど、卵(主に鶏卵)の卵白と卵黄は他のゲルとは事なる性質を持っています。
液体のようで液体ではない、なんとも不思議なゲルだと思います。
その正体はタンパク質のコロイド溶液
タンパク質の微小な集合体が水中に分散した溶液です(下図)。

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その集合体どうしが分子間力や水素結合などの弱い結合で繋がり、ゲルを形成しています。
そして、卵白の90%は水です。一方、卵黄は50%。
卵黄と卵白で含水率が違うのは面白いですね。

ゲルとは、高分子の網目構造体が水などの溶媒を含んだ、ソフトでウェットな材料のことです。
スケッチ-198.jpg
水を含んだゲルを、ハイドロゲルと呼びます。
卵はタンパク質で出来ていますが、タンパク質は多数のアミノ酸がつながってできた高分子の一種です。
つまり、タンパク質でできたハイドロゲルなわけですね。

流動性が高いので気付き難いですが、卵白や卵黄に力(せん断力)を加えるとタンパク質の集合体の大きさが変化し、ゲルの粘度も変わります。力を加えるのをやめると元に戻ります。ダイラタンシー現象と呼ばれるものです。
また、力を加えるとゲル構造が崩れて流動性が発現する、チキソトロピー性も持っています。

ダイラタンシー現象

ダイラタンシー現象とは、水と片栗粉を混ぜたものや、水を含んだ砂などに見られる現象です。
水と片栗粉を混ぜて作る、片栗粉スライムを使って説明します。

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片栗粉と水を1:1で混ぜると、泥のような状態になります。

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