気楽に読んでください、呼吸のおはなし ~その53~

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今日もお読みくださりありがとうございます。
昨日の背中と過去の話、かなり突拍子も無い展開かと思います。本来ならばもう少し理詰めで段階を踏んで、○○が○○で○○だから、それによって背中が過去と言えるんですよ、と、こんな感じで書き進められれば良かったのですが、なんか上手く文章に落とし込めませんでした。
多くの時間を感覚の世界に生きておられる方には、逆に余り語らない方が良いというのもありますが。
それで今日は、本当に良質の補足になるかに関しては甚だ心許無いのですが、もう少し、ほんの少しだけ違った切り口で書いてみようかと思います。
これまで声が上手く出ない、上手く扱えない方々とたくさん出会って来て、まず取り組むことは下半身の活性化と、そして背中のケアです。
下半身の活性化は自分で出来ます。簡単に手で触れられますし、曲げたり伸ばしたりと、説明して実際のやり方を示して差し上げれば取り敢えずは一人でも実行可能です。下手すると、歩き回るだけでも相当な効果が出る場合すらあります。
ところが背中のケアはなかなか自分一人だけでは満足には行きません。なのでこちらがちょっとした手技によってアシストすることとなります。
するとどうなるか。一つは、眠気が襲って来る。そしてもう一つが、とにかくよく喋ります。
突然饒舌になって、過去の色んな話が溢れ出すことも結構あります。
何かこう、浸け置き洗いの衣類の如く、繊維の奥から汚れが浮き出てくるように、凝り固まった筋繊維の隙間から、閉じ込められていた想いや感情の一部が沁み出して来るような感じです。
このような時に、話が込み入れば込み入る程、しっかりと聞き届けてあげるのが話し出すきっかけを作ったこちら側の責任となります。これを言わせっぱなし、語らせっぱなしにしておいたのではその人の声の復調・成長に繋がらないどころか、却って更に声が出難くなってしまうかも知れません。
このような経験を多く持ってしまうと、背中と過去の繋がりが理屈抜きに当たり前のようになっていて、よりアプローチも慎重に、そしてゆっくりと時間を掛けて行うように、自然とそうなってしまうものです。
そのように少しでも柔らかさを取り戻した背中でもって、いよいよ第二パターンの呼吸では体がどのように動こうとするのかを、高い質で実体験出来る条件が一つ整います。
他にも背中には、躾という厄介な課題が内包されている場合が多いです。それは、姿勢に付いて子供の頃から執拗に注意を受け過ぎたことです。
胸を張って、肩を引いて、背中も反り気味に、それを、“ 良い姿勢 ” だと刷り込まれ続けて来たのです。
そう、良い姿勢なんて、本当は一種類の単純なことでは無いのにです。その状況状況に合わせて、色んな良い姿勢があるのが実際です。
なのにそのような勘違いも甚だしい典型的な “ 良い姿勢 ” を教育されて、それを素直に聞き入れてしまった人は、仙骨や背中の力を抜くことは容易ではありません。
尊敬すべき目上の方にお会いする時の姿勢と、仕事の合間にほっと一息つく時の姿勢が違っても良い、違って当たり前、寧ろそれが自然というものでしょう。
それが、人が生まれながらに備えている人体各部の純粋で正常な可動域・可動性なのですから。
その教育と言う名の根深過ぎる枷を取り去ることも、第二パターンの呼吸をスムーズに発動させる為には必要となってくる場合が、それはそれは結構多くあるのです。
このような手厚いケアを焦れずに丁寧に施し続けて、現代を生きる人の多くは、漸く背後の空気の層へと背中を怖がらずに預けることが可能となって来るのです。
背中側にある空気の層をイメージ出来るだけでも相当な進歩であることも多く、更に、実際には空気以外には何も無いその空間を信じて、まるでそこにカスタムメイドのソファでもあるかのように、力を抜いて預けてみることが出来るかどうか、こんな繊細な取り組みから、本格的な第二パターンの呼吸への目覚めは始まります。
昨日の突拍子も無い精神面からの話が、ほんの少しだけでも突拍子も無いことは無いといった状況へ駒を進められたでしょうか。

つづく


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